1,なぜ「水道施設工事」の許可が必要なのか?
「水道管の工事をしているから、きっと『管工事』の許可で大丈夫だろう」
そうお考えの建設業者様はいらっしゃいませんか?実は、水道工事には大きく分けて『管工事』と『水道施設工事』の2つの業種が存在します。
もし、貴社の行っている工事が「水道施設工事」に該当するにもかかわらず、その許可を取得していない場合、法律違反として罰則の対象となる可能性があります。また、公共工事の入札参加や大きな民間工事の受注も難しくなり、企業の信頼性を損ねてしまうことにもなりかねません。
本記事では、公共のインフラを支える重要な業種である「水道施設工事」の建設業許可について、その定義、他業種との違い、そして取得するための具体的な要件を、行政書士の視点から分かりやすく解説します。適切な許可を取得し、企業の安定的な成長を目指しましょう。
2. 「水道施設工事」の定義と対象となる工事
建設業許可における施設工事」は、主に公衆衛生と密接に関わる大規模な水道インフラを整備する工事を指します。
具体的には、上水道や工業用水道などのための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事、または公共団体が設置する上水道・工業用水道の配水管を布設する工事が該当します。
| 施設の種類 | 具体的な工事例 |
| 取水施設 | 取水堰、取水塔の築造 |
| 浄水施設 | 沈殿池、ろ過池、調整池の築造 |
| 配水施設 | 配水池、ポンプ場の築造 |
| 幹線管路 | 浄水場内・場外の導水管・送水管・配水管の布設工事 |
【ポイント】
「水道施設工事」は、水道水を各家庭や工場へ届けるための基幹的な施設や幹線ルートを建設・整備する工事を担います。
3. 間違いやすい!「水道施設工事」と他業種との区分け
水道工事に携わる事業者様が最も戸惑うのが、「水道施設工事」と「管工事」の区分けです。
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「管工事」:建物(家屋・ビル)内の給排水・冷暖房設備などの設備配管工事や、公道下の下水道管(汚水・雨水)の布設工事などを指します。
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「水道施設工事」:前述の通り、公共団体が管理する浄水場や幹線配水管など、広域的な水道供給のための施設工事を指します。
この区分で重要なのは、「誰が設置し、どのような役割を果たすか」という点です。
例えば、公道下で行う工事でも、公共団体が設置する給水のための配水管を布設する工事は「水道施設工事」ですが、各建物へ飲用水を導くための引込管や、下水道のための下水管の布設工事は「管工事」または「土木一式工事」に分類されることが多いです。
貴社の行っている工事がどちらに該当するか、慎重な判断が求められます。
4. 許可取得のための主要な要件
「水道施設工事」の建設業許可(一般建設業)を取得するためには、主に以下の要件を満たす必要があります。
① 経営業務の管理責任者(経管)
原則として、許可を受けようとする業種に関し、5年以上の経営経験がある方が必要です。
② 専任技術者(専技)
水道施設工事の知識と技術を証明できる方が営業所ごとに常勤している必要があります。
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特定の資格を保有する場合(実務経験不要):
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1級または2級の土木施工管理技士
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技術士(建設部門、上下水道部門など)
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その他、国土交通大臣が定める資格
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資格がない場合:
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指定学科(土木工学など)を卒業後、3年または5年以上の実務経験
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指定学科以外を卒業、または学歴がない場合、10年以上の実務経験
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③ 誠実性・財産的基礎
誠実性(請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがないこと)と、財産的基礎(一般建設業では自己資本500万円以上または資金調達能力があること)も必須の要件です。
5. 行政書士に依頼するメリット
「水道施設工事」の許可申請は、その業種の特殊性から、特に「管工事」との線引きや専任技術者の実務経験証明において専門的な判断が求められます。
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適切な業種の特定:ヒアリングを通じて、貴社の工事実態に最も適した許可業種を正確に判断し、必要な場合は複数の業種同時取得もサポートします。
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必要書類の確実な収集・作成:10年分の実務経験を証明する資料収集や、煩雑な申請書類の作成を代行し、ミスなく一発で許可取得を目指します。
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経営の効率化:お客様は本業に専念でき、許可取得にかかる時間と労力を大幅に削減できます。
6. まとめと次のステップ
「水道施設工事」の許可取得は、企業にとって信用力の証であり、さらなる成長のための大きな一歩となります。特に、公共工事への参入をお考えであれば、この許可は必須です。
当事務所では、「水道施設工事」の許可要件を満たせるかどうかの無料診断から、申請手続きのすべてを代行しております。
貴社の事業展開に合わせて最適な許可取得プランをご提案しますので、まずはお気軽にご相談ください。