営業所(専任)技術者とは、建設業者が請負工事を施工するにあたり、各営業所に常勤する、担当業種の技術責任者です。その役割は非常に重要で、豊富な知識や経験を活かし、見積もりや契約内容の検討、工事の適正な履行までを一貫して管理し、発注者の期待に応える責任を担います。
専任性が求められる具体的な要件
この営業所(専任)技術者には「専任性」が求められます。これは、その技術者が常時その営業所に勤務し、他の業務と兼任せず、その職務に専念することを意味します。具体的に、以下のようなケースでは専任性があると認められません。
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勤務地からの距離: 住所が勤務する営業所の所在地から著しく離れており、通常の通勤が困難な場合。
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他の業務との兼任:
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他の営業所(他の建設業者の営業所も含む)で専任を要する職務を兼任している場合。
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建築士事務所を管理する建築士や、専任の宅地建物取引士など、他の法令により特定の事務所等で専任を要する職務についている場合。
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個人で事業を行っている者や、他の法人の常勤役員である場合。
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その他、専任に近い状態にあると判断される場合。
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専任性を証明するための確認書類
営業所(専任)技術者の常勤性を証明するためには、以下の書類が求められます。
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法人の場合:
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健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書: 会社が従業員の健康保険料と厚生年金保険料を計算するために、各人の標準報酬月額が記載された一覧表です。通常、毎年10月下旬から11月上旬ごろに会社に届き、社会保険に加入していることを証明する重要な書類です。
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住民税特別徴収税額通知書: 会社が従業員に代わって住民税を給与から天引きし、市区町村へ納付するために使われる書類です。会社向けの通知書には、全従業員の氏名と住民税額が一覧で記載されており、会社に在籍していることと給与が支払われていることを確認できます。
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個人事業主の場合: 確定申告書(第一表、第二表)および決算書など。
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確定申告書第一表
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「職業」の欄に、会社員や個人事業主などの職業を記載します。
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「事業所得」や「給与所得」の金額が記載されており、その収入源を明らかにします。
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・確定申告書第二表
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扶養家族の情報などを記載します。
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この書類単体で勤務先を特定することは難しいですが、第一表と合わせて、その人物の主な収入源が何かを証明する根拠となります。
これらの書類は、特に個人事業主が建設業許可申請をする際に、その事業の実態や収入を証明するために重要な役割を果たします。
建設業許可の取得や維持には、この営業所(専任)技術者の要件を正しく理解し、証明書類を適切に準備することが不可欠です。この記事が、営業所(専任)技術者の専任性に関する理解を深める一助となれば幸いです。もしご不明な点や、さらに詳しい情報が必要な場合は、専門家へのご相談をお勧めします。