案外知らない葬儀費用についてお伝えします。
こんにちは、やまもと行政書士事務所です。
家族が亡くなり、覚悟はしていたものの一体どうすればいいのか?疑問がたくさんですよね。
ご家族が亡くなられた際、誰もが直面する「葬儀費用」「香典」「相続」という三つの問題。これらは複雑に絡み合っており、知識がないと後々のトラブルに発展する可能性があります。今回は、これらの関係を分かりやすく解説し、スムーズな手続きのためのポイントをお伝えします。
香典は誰のもの?
葬儀でいただく香典は、故人への弔意を示すとともに、葬儀の主催者である遺族への贈与とみなされます。そのため、法的には葬儀を執り行った「喪主」に贈られたものと解釈されるのが一般的です。
香典は故人の遺産ではないため、相続財産として他の相続人と分け合う必要はありません。
葬儀費用は誰が負担する?
葬儀費用は、原則として葬儀を主催した「喪主」の債務です。
しかし、実務上は、相続人全員の合意のもと、故人の預貯金など相続財産から支払われることが一般的です。これは、葬儀費用を相続税の計算で控除できることも理由の一つです。
特に注意が必要なのは、喪主が相続人でない場合です。この場合、故人の銀行口座から直接費用を引き出すことはできないため、喪主が立て替えた費用を後から相続人が精算するなどの対応が必要になります。
故人の銀行口座から葬儀費用を引き出す方法
喪主が故人の法定相続人であれば、故人の銀行口座が凍結されていても、「預貯金の仮払い制度」を利用して、葬儀費用を直接引き出すことができます。
この制度は、2019年の民法改正で新設されたもので、相続人全員の同意を待たずに迅速に費用を準備できる便利な仕組みです。
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引き出し上限額: 故人の預貯金残高と法定相続分に応じた金額、または150万円のうち低い方となります。
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必要書類: 故人や相続人の戸籍謄本、印鑑証明書などが必要です。
この制度を利用する際は、引き出した金額や使途を明確にし、領収書をすべて保管しておくことが大切です。
まとめ:トラブルを防ぐためのポイント
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香典は、原則として喪主のものであり、遺産には含まれません。
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葬儀費用は、原則として喪主の債務ですが、相続財産から支払うケースが多いです。
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喪主が相続人であれば、「預貯金の仮払い制度」で故人の口座から直接費用を引き出せます。
どの方法を選ぶにしても、最も大切なのは、家族や親族間で事前に十分に話し合い、合意を得ておくことです。葬儀や相続手続きでご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。