故人の想いを繋ぐ「墓じまい」と相続の切っても切れない関係性
墓じまいは、お墓を撤去・解体し、墓地を管理者に返還することを指します。行政手続きは、主に以下の流れで進めます。
1. 埋葬されている遺骨の取り出しと改葬許可の申請
墓じまいを始める前に、まず現在お骨が埋葬されているお墓から取り出す必要があります。遺骨を別の場所へ移す「改葬」を行うために、行政手続きが必要になります。
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「改葬許可申請書」を入手
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富山県高岡市の公式サイトで「改葬許可申請書」をダウンロードすることができます。
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必要書類の準備
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改葬許可申請書: 墓地の管理者と新しい受け入れ先の両方から署名・捺印をもらう必要があります。
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埋蔵証明書: 現在お骨が埋葬されている墓地の管理者に発行してもらいます。
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受入証明書: 新しいお骨の埋蔵先(お寺、霊園、納骨堂など)に発行してもらいます。
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申請者の本人確認書類: 運転免許証やマイナンバーカードなど。
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改葬許可証の交付
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上記の書類を揃えて役所に提出し、問題がなければ改葬許可証が交付されます。
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2. 墓石の撤去と墓地の返還
改葬許可証が交付されたら、墓石を撤去し、墓地を更地にする作業を行います。
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石材店への依頼
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お墓を撤去・解体する専門の石材店に作業を依頼します。この際、墓地の管理者が指定する石材店がある場合が多いので、事前に確認が必要です。
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遺骨の取り出し
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石材店が墓石を撤去する際、改葬許可証を提示し、遺骨を取り出します。
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墓地の返還
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墓地を更地に戻し、管理者に返還します。
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3. 新しい場所への遺骨の埋蔵
新しい納骨先が発行した「受入証明書」を揃えて、高岡市役所の市民生活課に提出します。書類に不備がなければ、「改葬許可証」が交付されます。
取り出した遺骨を、事前に決めておいた新しい場所(お寺、納骨堂など)に埋蔵します。この時、発行された改葬許可証を新しい埋蔵先に提出します。
手続きの流れは地域や墓地の管理者によって異なる場合があります。
特に近年、少子高齢化や核家族化が進む中で、「お墓の承継者がいない」「遠方に住んでいてお墓の管理が難しい」といった理由から、お墓を整理する「墓じまい」の相談が増えています。今回は、相続と墓じまいの関係についてお話ししたいと思います。
墓じまいは「相続財産」ではない?
まず知っておいていただきたいのは、お墓(墓地利用権)や祭祀財産は、民法上の「相続財産」には含まれないということです。
お墓や仏壇、位牌などは、祭祀承継者が引き継ぐことになります。祭祀承継者は、故人様の指定があればその方が、指定がなければ慣習に従って、または家庭裁判所の調停・審判によって決められます。
つまり、遺言書で「長男にすべての財産を相続させる」と書かれていても、お墓は必ずしも長男が引き継ぐとは限らないのです。この点が、一般的な相続と墓じまいの手続きを複雑にする要因の一つとなります。
墓じまいには「親族間の合意」が不可欠
墓じまいは、単にお墓を撤去するだけの話ではありません。故人様やご先祖様の供養に関わる非常に重要な決断です。そのため、法的な義務はありませんが、トラブルを避けるために親族全員の合意を得ることが不可欠です。
特に、遺骨の移転先や費用負担について、親族間で意見が分かれるケースは少なくありません。事前に丁寧な話し合いを重ね、合意書を作成しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
墓じまいの行政手続きは行政書士へ
墓じまいを行うには、「改葬許可申請」など、市区町村への複雑な行政手続きが必要です。
当事務所では、これらの手続きを代行し、皆様がスムーズに墓じまいを進められるようサポートしています。相続問題と合わせてご相談いただくことで、法的な側面だけでなく、ご家族の想いを尊重した最適な解決策をご提案いたします。
お墓のことでお悩みの方は、どうぞお気軽にやまもと行政書士事務所にご相談ください。