建築一式工事は「建物の総合プロデューサー」
建設業許可の業務に携わる中で、いつも不思議に思っていたことがあります。それは、「建築一式工事」が具体的にどのような工事を指すのか、という点です。
専門書やガイドラインには、「1件の請負代金が1,500万円以上の工事(税込み)」、または「請負金額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150㎡以上の工事」がこれに該当すると記されています。
もちろん、新築工事や大規模な改修工事がこれに当てはまるのは一般的ですが、「その他にはどんな種類があるのだろう?」と疑問に思うようになりました。
このブログでは、私が専門家として学んだ知識と、実務を通じて得た知見をもとに、その疑問を紐解いていきたいと思います。
【行政書士の疑問】「建築一式工事」は新築・改修以外にもある?
1. 導入:建築一式工事は「建物の総合プロデューサー」
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「一式工事」というと大規模なものと想像しがちですが、その本質は「総合的なマネジメント」にあることを先に示します。
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建築一式工事は、建物をゼロからつくる新築工事や大規模な改修工事を、全体を管理・調整しながら進める工事であると説明します。
2. 建築一式工事の具体的な工事内容
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「建築一式工事」に該当する具体的な工事を分かりやすく解説します。
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新築工事:
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木造住宅、マンション、商業施設など、建築確認を必要とする建物を、基礎から完成まで一貫して請け負う工事です。
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ポイント: 基礎、大工、内装、電気、配管など、複数の専門工事を有機的に組み合わせて一つの建物を作り上げる点が、一式工事たる所以です。
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大規模な増改築・改修工事:
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建物の主要構造部(柱や壁など)の過半数に手を加えたり、増築後の床面積が基準を超えるような大規模なリフォーム工事も、建築一式工事に該当します。
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ポイント: 一つの建物内で複数の専門工事を同時に進めるため、総合的な管理・調整が不可欠であることを強調します。
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3. 許可の考え方:元請け工事と「総合的な企画・指導・調整」
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建築一式工事の許可が、他の専門工事の許可とどう違うのかを明確に説明します。
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原則は「元請け工事」:
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建築一式工事の許可は、発注者から工事全体を一括して請け負う元請けの立場で必要となる許可です。
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例えば、発注者から住宅の新築工事を請け負い、基礎工事はA社、大工工事はB社、電気工事はC社に発注する、というケースです。この場合、元請けであるあなたの会社が建築一式工事の許可を持つ必要があります。
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「総合的な企画・指導・調整」の重要性:
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これが一式工事の核心です。複数の下請け業者を管理し、工程や品質、安全を全体として調整する能力が求められることを解説します。
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4. 専門工事との違いと注意点
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読者が最も疑問に思う点、「建築一式」の許可があれば何でもできるのか、という問いに答えます。
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専門工事の許可は別途必要:
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「建築一式工事」の許可は、「建築物全体の管理」を請け負うためのものです。
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特定の専門工事だけを単体で請け負う場合(例:内装工事だけ、電気工事だけなど)は、それぞれの専門工事(内装仕上工事、電気工事)の許可が別途必要になります。
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この点を明確にすることで、読者の誤解を防ぎ、記事の信頼性を高めます。
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許可の本質は「信頼」
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建築一式工事の許可は、単なる手続きではなく、発注者に対して「この会社なら、複雑な工事全体を安心して任せられる」という信頼を与えるためのものであることを強調します。複雑な許可申請で消極的なられている社長さん、まずはお気軽にご相談ください。