「相続」と聞くと、まず戸籍を収集して法定相続人を調べる、というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか?実は、この 「戸籍」という制度は、世界的に見るととても珍しい、日本独自の仕組みなんです。

今回は、日本の戸籍制度を軸に、世界の相続事情を比較しながら、それぞれの文化や価値観がどう影響しているかをご紹介します。

 

日本の相続:なぜ「戸籍」が不可欠なのか?

日本の戸籍は、「一組の夫婦とその未婚の子」を単位として、家族の身分関係を記録するユニークな制度です。この仕組みが、相続手続きにおいて非常に重要な役割を果たしています。

【戸籍の役割】

  • 法定相続人を漏れなく特定できる:日本の相続では、被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までのすべての戸籍をたどることで、認知した子養子など、現在の戸籍だけではわからない相続人を見つけ出せます。

  • 手続きの利便性:不動産の名義変更や預貯金の払い戻しなど、あらゆる相続手続きで戸籍謄本が求められます。

このように、戸籍は日本の「家」という概念と深く結びついており、家族の歴史を公的に証明する役割を担っているのです。

 

海外の相続:戸籍がない国ではどうする?

日本の戸籍制度は効率的ですが、その反面、個人のプライバシーが家族全体に公開されてしまうという側面もあります。一方、欧米の多くの国では戸籍制度がなく、個人主義の考え方が色濃く反映されています。

【欧米の相続手続き】

  • 個別証明書が主流:出生、婚姻、死亡といった個々の身分事項は、「出生証明書」「婚姻証明書」といった個別の証明書で管理されます。

  • 「遺言書」が最重要:戸籍がないため、相続人全員を特定することが難しくなります。そのため、被相続人が自身の意思で財産を誰にどのように分配するかを明確に記した 「遺言書」が非常に重要になります。

遺言書を作成することで、相続人の特定をスムーズにし、遺産分割をめぐるトラブルを防ぐことができるのです。

 

韓国の事例:戸籍廃止と「個人」を尊重する社会へ

アジアの中でも、かつて日本の戸籍制度と似た制度を持っていた韓国では、2008年に戸籍制度が廃止されました。

【家族関係登録制度】 韓国が新たに導入した「家族関係登録制度」は、「個人」を単位として身分関係を記録します。戸主(家長)という概念がなくなり、目的別に5種類の証明書(基本証明書、家族関係証明書など)を使い分ける仕組みになりました。

この制度変更は、家父長制の思想から脱却し、個人のプライバシーと権利を尊重する社会へと移行する、大きな一歩だったと言えます。

文化と価値観が作る相続の形

日本の「家」を重んじる文化が戸籍制度に、欧米の「個人」を尊重する文化が遺言書文化に、そして韓国の「個人主義」への移行が戸籍廃止に繋がっています。

このように、相続のルールは、その国の歴史や文化、人々の価値観を色濃く反映しているのです。

ちなみに、日本の戸籍制度も進化を続けており、2024年からは本籍地以外の役所でも戸籍謄本が取れる「広域交付制度」が始まり、利便性が大きく向上しました。戸籍の広域交付制度は、戸籍に記載されている本人、その配偶者、および直系親族(父母、祖父母、子、孫など)であれば、本籍地以外の全国の市区町村の窓口で戸籍謄本を取得できるようになりました。代理人や郵送による請求はできません。

この制度は、2024年3月1日から始まりました。これにより、遠方にある本籍地の役所に出向く必要がなくなり、相続手続きなどで戸籍を収集する際の負担が大幅に軽減されました。

 

氏名へのふりがな制度

2024年5月24日から、氏名にふりがなを記載する制度も始まりました。

  • 氏名の読み方の公的証明: 今までは住民票に記載されるふりがなが通称としての扱いであったのに対し、今後は戸籍にもふりがなが記載されるため、氏名の読み方が公的に証明されるようになります。

  • スムーズな行政手続き: 読み方が正確に登録されることで、行政手続きや金融機関での手続きがより円滑に進むことが期待されています。

これらの改正は、戸籍制度の利便性を高め、国民の生活をより便利にすることを目的としています。

日本の戸籍制度も、利便性を高めるための改正が進んでいます。このブログが、皆さんの身近な「戸籍」や「相続」について、新たな発見をもたらしてくれることを願っています。

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