高齢の親を持つ皆さま、こんな不安を感じたことはありませんか?
「母が認知症になった後、知らない間に勝手に婚姻届を出されて、相続財産の半分を赤の他人に持っていかれるのではないか…」
「遠方に住んでいるので、母の様子を頻繁に見に行けず、悪質な養子縁組をさせられていないか心配だ…」
これは、ただの心配事ではありません。残念ながら、実際に起きており、決して珍しくない問題です。
実際にあった話:「母の再婚相手」と名乗る見知らぬ男性
これは実際にあったケースです。独り暮らしの母親(80代)が、訪問販売業者と親しくなりました。最初は親切なふりをしていたその男性が、母親が認知症の初期症状を見せ始めたのを見計らって、勝手に婚姻届を提出してしまったのです。
息子や娘は、母親が遠方に住んでいたり、連絡をあまり取っていなかったりしたため、この事実をすぐには知りませんでした。母親が施設に入ることになり、財産整理をしようとして戸籍謄本を取り寄せたところ、見知らぬ男性と婚姻関係にあることが発覚し、問題となりました。
男性は、母親の意思能力が不十分な状態を利用して婚姻届を提出し、法的に配偶者の地位を得て、母親が亡くなった際に遺産を相続するつもりでした。
もし、不正な婚姻届が受理されてしまうと、その男性は法的に母親の配偶者となり、母親が亡くなった場合、遺産の半分を相続する権利を得てしまいます。
この事実を覆すには、家庭裁判所に婚姻無効確認の訴訟を起こす必要があります。しかし、この手続きには多大な時間と費用がかかり、その間、大切な親の財産は凍結されてしまうのです。
不正な届出を確実に防ぐ「不受理申出制度」
このような悲劇を防ぐための公的な制度が「不受理申出制度」です。
これは、あらかじめ役所に「不受理申出書」を提出しておくことで、申出をした本人が役所の窓口に出頭して本人確認ができない限り、特定の戸籍届出(婚姻、離婚、養子縁組など)を受理しないようにするものです。
もし、親の意思に反する婚姻届などが提出されても、この制度を利用していれば、役所はそれを受理せずに返却してくれます。
ただし、この制度にはひとつ大きな注意点があります。それは、「本人が自らの意思で手続きする必要がある」ということです。親がすでに認知症で意思能力が十分にない状態では、この制度を利用できません。
だからこそ、この制度は「親がまだ元気なうちに、将来の不安に備えて、親子で一緒に手続きしておく」ためのものだと考えてください。
まずは専門家である行政書士にご相談ください
大切なご家族の財産を守り、将来にわたる安心を築くためには、早めの準備と行動が何より重要です。
もしご不安な点があれば、お一人で悩まず、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。皆さまの疑問や不安を解消し、安心できる未来を築くお手伝いをさせていただきます。