日本の80歳代における認知症の割合は、厚生労働省の調査などによると、5人に1人以上とされています。
近年、認知症と診断される方は増加傾向にあり、もはや誰もが直面する可能性のある問題です。家族が認知症になったとき、介護費用や日々の生活費はどうすればよいのでしょうか? 多くの方が知らない、「預金凍結」という深刻な問題と、それを未然に防ぐための対策について解説します。
1. 認知症になると「財産が凍結」される?その恐ろしい仕組みとは
ご本人の判断能力が低下すると、銀行は口座の不正利用を防ぐために預金口座を凍結する可能性があります。たとえご家族であっても、本人の意思が確認できない状態では預金を引き出すことはできません。これは、ご本人の判断能力がない状態での契約は法的に無効と判断されるためです。
その結果、「介護費用が払えない」「施設への入所費用が用意できない」といった深刻な事態を招き、大切なご家族の生活が立ち行かなくなる恐れがあります。
2. 「財産凍結」を防ぐための法的対策
このリスクを未然に防ぐためには、ご本人の判断能力が低下する前に法的な対策を講じることが不可欠です。以下に代表的な3つの方法をご紹介します。
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家族信託: 認知症になった後でも、家族が財産を管理・運用できるよう、ご家族を信頼して財産を託す仕組みです。
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財産管理委任契約: 判断能力があるうちに、信頼できる人に財産管理を任せる契約です。
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任意後見制度: ご本人が、判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ信頼できる人を後見人として選んでおく仕組みです。
これら3つの対策はすべてご本人との契約に基づいているため、判断能力が低下してからでは利用できません。後悔しないためにも、早期の対策が重要となります。
3. なぜ行政書士に相談すべきなのか
これらの手続きは専門的な知識が必要で、ご家族だけで進めるのは非常に大きな負担となります。
行政書士は、ご家族の状況を丁寧にヒアリングし、最適な対策(家族信託、財産管理委任契約、など)をご提案できます。また、煩雑な契約書の作成や公証役場での手続きを代行することで、ご家族が安心して介護に専念できるようサポートいたします。