建設業許可における鋼構造物工事について、掘り下げて解説します。
鋼構造物工事の定義と他の工事との違い
鋼構造物工事は、形鋼、鋼板などの鋼材を加工または組み立てて、工作物を建設する工事です。具体的には以下のようなものが含まれます。
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鉄骨造の建築物: 鉄骨を骨組みとして使用する工場や倉庫、オフィスビルなど。
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橋梁: 鋼製の橋。
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鉄塔: 送電線や通信用の鉄塔。
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プラントのタンク: 化学プラントなどで使われる鋼製タンク。
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水門、閘門: 河川や運河の水量を調節するための鋼製の門。
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広告塔: 巨大な鋼製の広告看板。
他の工事との混同を避けるためのポイント
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とび・土工・コンクリート工事: とび・土工工事は、足場の組立て、重量物の運搬、くい打ち、土砂の掘削など、多岐にわたりますが、建物の鉄骨を組み立てる工事も含まれます。ただし、鋼構造物工事は「鋼材の加工」や「溶接」を含む、より専門的な範囲を指します。
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鉄筋工事: 鉄筋工事は、コンクリートの中に埋め込む鉄筋を加工・組み立てる工事です。一方、鋼構造物工事は、建物の骨組みそのものとなる鉄骨などを組み立てる工事であり、使用する材料や工事の目的が根本的に異なります。
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建築一式工事: 建築一式工事は、複数の専門工事を組み合わせて、一つの建物や工作物を完成させる工事です。鉄骨工事やコンクリート工事など、様々な専門工事を含みますが、鋼構造物工事は、あくまでその専門工事の一つです。
鋼構造物工事の許可取得要件
建設業許可を取得するには、主に「経営業務の管理責任者」と「専任技術者」の2つの要件を満たす必要があります。
1. 経営業務の管理責任者(通称:経管)
法人の役員、または個人事業主として、建設業の経営経験がある人が求められます。 以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
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5年以上の経営経験: 許可を受けようとする建設業(この場合は鋼構造物工事)に関して、役員や個人事業主として5年以上の経営経験があること。
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6年以上の経営補佐経験: 許可を受けようとする建設業に関して、役員に次ぐ地位で6年以上経営を補佐した経験があること。