保温・保冷・ラッキング工事は、建物の省エネルギー化と設備の安全維持に不可欠です。しかし、事業をさらに発展させるためには、ある大きな壁があります。それが「建設業許可」です。
本記事では、熱絶縁工事業の皆様が知っておくべき建設業許可の基本と、取得の重要なポイントを、行政書士が解説します。
1. 熱絶縁工事業とは?改めて工事の内容を整理
まず、建設業法における熱絶縁工事の定義を再確認しましょう。
熱絶縁工事業とは、「工作物(建物)やその設備を熱から絶縁(遮断)する工事」を行う業種です。
| 工事の種類 | 概要 | 目的 |
| ① 保温工事 | 蒸気配管やダクトなどにグラスウールなどの保温材を巻き付ける。 | 熱が逃げるのを防ぎ、エネルギー効率を向上させる。火傷防止。 |
| ② 保冷工事 | 冷媒管などにウレタンフォームなどの保冷材を巻き付ける。 | 外部の熱侵入を防ぎ、結露による設備の腐食や水滴の落下を防ぐ。 |
| ③ ラッキング工事 | 保温・保冷材の上から金属板などでカバー(外装)を行う。 | 断熱材の保護と耐久性の向上。 |
これらの工事は、工場、商業施設、病院など、温度管理が重要なあらゆる場所で行われます。
2. なぜ熱絶縁工事業で「建設業許可」が必要なのか?
「軽微な工事しかしていないから大丈夫」と思っていませんか?
建設業許可が必要になる最も重要な基準は、請負金額です。
許可が必要になる基準(原則)
1件の工事の請負代金が500万円(税込)以上になる場合、熱絶縁工事業の許可が必要です。
許可を取得する3つの大きなメリット
許可を取得することで、会社の経営基盤と信用力は飛躍的に向上します。
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事業規模の拡大: 500万円以上の大きな工事を合法的に請け負うことが可能になり、元請けや大手企業からの受注チャンスが格段に増えます。
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会社の信用力アップ: 許可業者は経営体制や技術力が国(または都道府県)に認められている証拠であり、金融機関や発注者からの信用が得やすくなります。
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入札への参加: 公共工事の入札参加資格を得るための前提条件となります。
3. 熱絶縁工事業の許可取得に必須の3つの要件
建設業許可を取得するには、主に以下の要件をクリアする必要があります。特に「営業所専任技術者」の要件は複雑になりがちです。
① 経営業務の管理責任者(役員等の経験)
法人の役員や個人事業主として、熱絶縁工事を含む建設業の経営経験が5年以上ある人物が必要です。
② 営業所1専任技術者の確保(技術・経験の証明)
営業所ごとに、熱絶縁工事に関する専門的な知識と経験を持つ技術者が必要です。以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
| ルート | 要件の例 |
| 資格ルート | 1級・2級熱絶縁施工技能士、技術士(建設部門等)などの国家資格を保有している。 |
| 経験ルート | 熱絶縁工事に関する10年以上の実務経験がある。 |
③ 財産的基礎(資金力)
自己資本の額が500万円以上、または500万円以上の資金調達能力があること(一般建設業の場合)。
4. まとめ:許可取得は行政書士にお任せください!
熱絶縁工事業の建設業許可は、未来の事業拡大のための必須投資です。
特に「10年の実務経験証明」や「必要書類の準備」は非常に専門的で手間がかかり、不備があると審査が大幅に遅れる原因になります。
当事務所では、熱絶縁工事業の許可申請を多数サポートしております。貴社が本業に専念できるよう、複雑な書類作成と申請手続きを全面的に代行いたします。まずはお気軽にご相談ください!