それぞれの概要と、法定後見人・任意後見人におけるカルテ開示の扱いについてご説明します。
法定後見人 と 任意後見人 の違い
成年後見制度は、認知症や精神上の障害などにより判断能力が不十分な方を、法律的に保護し支援するための制度です。大きく「法定後見」と「任意後見」の2種類があります。
重要なポイント:
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法定後見は、既に判断能力が不十分な方のために、家庭裁判所主導で支援者を決める「事後的な保護」の制度です。
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任意後見は、判断能力があるうちに、将来のために自分で支援者と支援内容を決めておく「事前の準備」の制度です。
カルテ開示(診療記録の開示)について
カルテ開示は、患者さんご本人や、ご本人に代わる方が、自分の診療情報(カルテ、検査記録など)の開示を医療機関に求めることです。
開示請求ができる主な人
診療情報の開示請求ができるのは、原則として患者さんご本人です。 ただし、ご本人が判断能力を欠く場合など、やむを得ない事由がある場合は、以下の代理人等が請求できます。
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患者さんの法定代理人(患者さんが成年被後見人の場合の成年後見人など)
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診療契約に関する代理権が付与されている任意後見人
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患者さんから委任を受けた代理人
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患者さんが死亡している場合のご遺族(配偶者、子、父母など)
後見制度とカルテ開示
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法定後見人(成年後見人)
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成年後見人は、患者さんの法定代理人として、原則としてカルテ開示の請求権を持ちます。
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これは、成年後見人がご本人の財産管理や身上保護に関する契約等を代理して行うために、ご本人の医療情報を把握する必要があるからです。
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任意後見人
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任意後見人は、法定後見人と異なり、当然にはカルテ開示の請求権を持つわけではありません。
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カルテ開示の請求権を持つためには、任意後見契約書の中で、「診療契約に関する代理権」や「医療情報開示請求に関する代理権」が明確に付与されている必要があります。契約書にその定めがなければ、単に任意後見人という立場だけでは開示請求はできません。
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カルテ開示の手続きや必要書類(身分証明書、後見人であることを証明する書類、任意後見契約書など)は、医療機関ごとに異なりますので、請求先の医療機関に事前に確認が必要です。