「遺言書が見つかった!」その後の「開示」は誰がする?
ご家族が亡くなられ、遺品整理の中で遺言書が見つかった、あるいは「遺言書がある」と知らされたとき、相続人の皆さまは「中に何が書かれているのだろう?」「いつ見ることができるのだろう?」と、大きな不安と期待を抱かれることと思います。
この「遺言書の内容を相続人に知らせる(開示する)」という手続きは、その後の円滑な相続手続きを進めるための非常に重要な第一歩です。
しかし、遺言書の「種類」や「執行者」の有無によって、その開示方法や義務を負う人が変わってくることをご存知でしょうか?
遺言書の開示義務を負うのは「遺言執行者」です
遺言書に「遺言執行者」が指定されている場合、遺言書の開示(通知)義務を負うのは、原則としてこの遺言執行者です。
民法第1007条第2項には、以下のように定められています。
「遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。」
つまり、遺言執行者は、就任を承諾したら速やかに相続人全員に対して、遺言書の内容を知らせる義務があります。これによって、相続人の方々は初めて公式に遺言の内容を知ることになります。
遺言執行者の主な役割
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相続人全員に遺言書の内容を通知する。
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相続財産の目録を作成し、相続人に交付する。
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遺言書に書かれた内容(不動産の名義変更、預貯金の解約・分配など)を実現する。
遺言書の種類と開示の流れ
遺言書の開示方法は、主に以下の3つのパターンで異なります。
1. 遺言執行者が指定されている場合(公正証書遺言・自筆証書遺言問わず)
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遺言執行者が、就任後、速やかに相続人全員に遺言書の写しなどを送付し、内容を通知します。
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公正証書遺言であれば、遺言執行者が公証役場で正本や謄本を取得し、それを通知に使用します。
2. 自筆証書遺言で遺言執行者が指定されていない場合
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発見者や保管者は、勝手に開封せず、遅滞なく家庭裁判所に提出して「検認」を請求しなければなりません(法務局保管の遺言書を除く)。
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検認手続きでは、裁判所から相続人全員に期日が通知され、相続人立会いのもとで開封・内容確認が行われます。これが実質的な「開示」となります。
3. 公正証書遺言で遺言執行者が指定されていない場合
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公正証書遺言は検認が不要なため、相続人のどなたかが公証役場で正本や謄本の交付を受け、それを他の相続人に示すことで開示となります。
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ただし、交付請求できるのは、相続人や受遺者、遺言執行者などの利害関係人に限られます。
注意!勝手に遺言書を開封するのはNGです
特にご自身で作成された「自筆証書遺言」を発見した場合、たとえご家族であっても、勝手に開封してはいけません!
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法務局に預けていない自筆証書遺言を検認前に開封すると、5万円以下の過料に処される可能性があります(民法第1004条)。
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遺言の偽造や変造を防ぎ、遺言書の内容を保全するために、必ず家庭裁判所の検認手続きを経る必要があります。
行政書士がお手伝いできること
遺言執行者が指定されていない場合や、指定されていてもご親族の方が手続きに不慣れな場合、私たち行政書士は、相続人の皆様に代わって円滑な手続きをサポートいたします。
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相続人調査・相続財産調査
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家庭裁判所への遺言検認申立てのサポート
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遺言執行者選任申立てのサポート
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公正証書遺言の謄本取得サポート
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相続関係説明図や財産目録の作成
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その他、遺産分割協議書の作成などの相続手続き全般
「遺言書が見つかったけれど、次に何をすれば良いのか分からない」 「遺言執行者になってしまったが、手続きに自信がない」
このようなお悩みをお持ちの際は、ぜひお気軽にご相談ください。皆様の「争続」を「想続」へと導くために、行政書士が適切なサポートをご提供いたします。