遺言書は、将来の相続トラブルを防ぎ、ご自身の想いを確実に残すための大切な書類です。
しかし、「自筆証書遺言と公正証書遺言って何が違うの?」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
今回は行政書士の視点から、それぞれの特徴・メリット・デメリットを分かりやすくまとめてご紹介します。
◆ 自筆証書遺言とは
自筆証書遺言は、その名の通り 遺言者が自分の手で書く遺言書 です。
メリット
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思い立ったときに気軽に作成できる
特別な手続きは必要なく、紙とペンさえあればすぐに書き始められます。 -
費用が基本的にかからない
公証役場の費用が不要なため、経済的な負担が少ない点も魅力です。
デメリット
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紛失・改ざん・偽造のリスクがある
自宅で保管する場合、誤って処分されたり、改変される可能性があります。 -
内容不備で無効になることがある
手軽に書ける分、法律的な不備が起きやすく、結果的に遺言が効力を持たないことも。 -
深く考えずに書いてしまうことがある
思いつきで書き始めると、長期的な相続の影響を見落としがちです。
◆ 公正証書遺言とは
公正証書遺言は、公証人が遺言者の意思を確認し、公証役場で作成する遺言書 です。
証人2名の立会いも必要となります。
メリット
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安心・確実に作成できる
公証人によって内容を確認しながら作成するため、法律的な不備で無効になる心配がほとんどありません。 -
内容を深く・冷静に検討できる
事前のヒアリングを重ねることで、遺言内容を整理し、より納得のいく形にできます。 -
保管も公証役場にて行われ安全
紛失・改ざんのリスクが極めて低く、後日「遺言が見つからない」といった問題も回避できます。 -
証人2名+公証人が関与するため、疑義が生じにくい
遺言の真正さが高まり、相続人間のトラブル抑止にも効果的です。
デメリット
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手数料がかかる
遺言内容に応じて公証役場の費用が発生します。 -
作成までに時間がかかる
事前打ち合わせ・証人の手配など、準備に一定の時間が必要です。
どちらを選ぶべき?
遺言書は「簡単に残したいのか」「確実に残したいのか」で選択が分かれます。
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手軽さ重視 → 自筆証書遺言
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確実性・安全性重視 → 公正証書遺言
特に財産が多い場合や、相続人間にトラブルが懸念される場合は、公正証書遺言が強く推奨されます。
行政書士としては、将来の安心のためにも 公正証書遺言を検討される方がより安全 と感じています。