行政書士として、高齢者の方々とお話しする機会が多くあります。その中で感じるのは、ご自身の最期の迎え方や、大切なご家族への想いを形にしておくことの重要性です

現在の日本において、健康寿命と平均寿命の間には、約7年から8年の開きがあると言われています。この期間は、残念ながら医療や介護が必要となる可能性が高く、ご自身の意思を明確に伝えることが難しくなる時期でもあります。

だからこそ、ご自身の財産をめぐる「備え」である遺言書は、心身ともに健康で、ご自身の意思を明確に持っているうちに作成しておくことが、何よりも大切なのです。

 

 遺言書がない場合の「法定相続」が招く問題

「相続は家族で話し合えばいい」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、遺言書がない場合、法律で定められた法定相続分に従って手続きが進みます。この法定相続の規定が、時にご家族の想いとは異なる結果を招くことがあるのです。

1. 相続人間の「力関係」と本音

相続人の中には、ご自身の意向や希望を、他の相続人との力関係でなかなか口に出せない方もいらっしゃいます。遺言書があれば、亡くなった方の明確な意思として財産の分け方が示されるため、特定の相続人が不利益を被ることを防ぎ、円満な相続手続きを進める大きな助けとなります。

 

2. 「子供がいないご夫婦」の落とし穴

特に注意が必要なのが、お子様がいらっしゃらないご夫婦のケースです。

ご夫婦で共に築き上げた財産は、配偶者であるパートナーに全て残したいと考えるのが自然な心情でしょう。しかし、遺言書がないまま配偶者の一方が亡くなった場合、全財産が残された配偶者に渡るわけではありません。

  • 親御様がご健在の場合: 相続人は配偶者と親御様になります。

  • 親御様が既に亡くなっている場合: 相続人は配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹になります。

ご夫婦で築いた大切な財産の一部を、長年疎遠だったかもしれない親御様や兄弟姉妹に相続しなければならない現実に直面し、「こんなはずではなかった」と気持ちがついていかない方は少なくありません。

 

 元気な「今」がベストタイミング

遺言書は、単なる財産の分割方法を記した書類ではありません。それは、「私が亡くなった後も、大切な家族に仲良く暮らしてほしい」という、故人様の最後のメッセージであり、ご家族への愛情の形です。

心身ともに健康な「今」だからこそ、冷静にご自身の財産を見つめ直し、そして何よりも大切なご家族への想いを整理して、遺言書という確かな形に残しておきましょう。

遺言書作成にご不安がある方はご相談ください。皆様の「安心」の未来をサポートいたします。

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