2026年に入り、建設業界を取り巻く環境は一変しました。特に2月以降のイラン情勢の緊迫化は、単なる「資材高騰」のレベルを超え、「資材が届かない」「現場が止まる」という未曾有の危機(ナフサ・ショック)を招いています。
先日も、ある経営者様から「中東情勢の影響で、完成した特注の造物が輸出できずに港でストップし、資金繰りが苦しい」との切実なご相談をいただきました。
本日は、2026年現在の「イラン情勢」が建設現場に与える影響と、経営を守るための法的・実務的対策を解説します。
1. 2026年「建材・設備有事」の正体
現在、建設現場を揺さぶっているのは、主に以下の3つの要因です。
-
石油化学系資材の「供給停止」: イラン情勢に伴う原油高とホルムズ海峡の封鎖懸念により、原料となるナフサが不足。断熱材、シーリング材、防水材、塗料などが軒並み40%前後の大幅値上げや受注停止に追い込まれています。
-
住宅設備の納期未定: 4月には大手住設メーカーがユニットバスやトイレの受注を一時停止する事態も発生しました。「モノが入らないから工期が守れない」というリスクが現実のものとなっています。
-
エネルギー高騰による「鉄・銅」の値上げ: 中東情勢による電気・ガス料金の跳ね上がりが、鋼材やアルミ、銅の製造コストをさらに押し上げています。
2. 「輸出ストップ」と資金繰りリスク
中東情勢の悪化は、物流網の遮断も引き起こしています。 「製作した造物が輸出できない」という事態は、単に保管場所に困るだけでなく、「納品が完了しない=代金が支払われない」というキャッシュフローの断絶を意味します。
中小建設業者にとって、完成済みの大きな資産がキャッシュに変わらない状態は、非常に危険な経営状態です。
3. 行政書士が推奨する「3つの防衛策」
こうした「有事」においては、これまでの慣習に頼らないリスク管理が求められます。
① 「工事請負契約書」の緊急点検(スライド条項の適用)
資材価格が急激に変動した場合、請負代金を変更できる「スライド条項」や「不可抗力条項」を適切に運用しましょう。特に「中東情勢による物流麻痺」を不可抗力として位置づけ、工期延期や費用負担について発注者と事前に協議しておくことが不可欠です。
② 資金繰り対策と公的支援の活用
輸出ストップや工期延期による支払い遅延に備え、つなぎ融資の確保や、政府が実施する「中東情勢に伴う重要物資安定確保」に関連する助成制度がないか、早急に確認しましょう。
③ 供給網の多角化と「BIM」によるロス削減
2026年から本格化しているBIM(Building Information Modeling)を活用し、必要な資材量を精緻に算出。無駄な発注を抑えるとともに、特定国に依存しない代替建材の検討を急いでください。