建設業許可申請・変更届更新・経審
 

設業許可は、建設業者にとって事業を拡大し、会社の信頼性を高める上で非常に大きな「武器」となります。将来的な事業の成長や安定を考える上で、取得するメリットはデメリットを大きく上回ると言えます。

建設業許可が必要となるのは以下のいずれかの条件に該当する場合です。

 

1.  請負金額が一定額以上の場合

 

★建築一式工事の場合

1件の請負代金の額が1,500万円(税込)以上(材料費、運送費含む)または、請負代金の額にかかわらず、木造で延べ面積が150㎡以上の工事

建築一式工事以外の工事の場合

1件の請負代金の額が500万円(税込)以上(材料費、運送費含む)の工事

2. 公共工事を請け負う場合

  • 請負金額にかかわらず、公共工事(国や地方公共団体が発注する工事)を直接請け負う場合は、原則として建設業許可が必要です。
  • 多くの自治体や公共機関では、入札参加資格の条件として建設業許可の取得を義務付けています。
  • 「1件の」とは、契約書1枚ごとの金額ではなく、一体の工事として行われる総額を指します。例えば、契約書を細かく分けても、実態として一つの大きな工事であれば合算して判断されます。

下請契約の場合でも、元請からの請負代金が上記の基準を超えれば許可が必要です。この基準は、建設業を営む上で非常に重要であり、知らないで請け負ってしまうと建設業法違反となり、罰則の対象となる可能性があります。

「一式工事」と「専門工事」は全く別の許可業種と考えます。「一式工事」の許可を受けた建設業者でも、500万円以上の専門工事を請け負う場合には、その専門工事の許可が必要になります。 つまり、一式工事の許可があれば、包括的に他の専門工事業に属する工事を行うことができるようになるわけではありません。

区分 業種名 工事内容の例
一式工事 1. 土木一式工事 総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(道路、河川、橋梁、ダム、鉄道などの建設)
  2. 建築一式工事 総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事(住宅、事務所ビル、店舗などの建設)
専門工事 3. 大工工事 木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取り付ける工事
  4. 左官工事 壁土、モルタル、漆喰、プラスター等を用いて工作物の面を塗り仕上げる工事
  5. とび・土工工事 足場の組立て、機械器具・建設資材等の運搬配置、鉄骨・鉄筋組立て、コンクリート打設、くい打ち、地盤改良、盛土、掘削、発破等
  6. 石工事 石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取り付ける工事
  7. 屋根工事 屋根をふく工事
  8. 電気工事 発電設備、送配電設備、電気鉄道、電気通信設備、信号設備などの電気工作物の設置、修繕、撤去工事
  9. 管工事 冷暖房、空調、給排水、衛生等の設備を設置する工事
  10. タイル・れんが・ブロック工事 れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にタイル、コンクリートブロック等を取り付ける工事
  11. 鋼構造物工事 形鋼、鋼板等の鋼材を加工又は組み立てて工作物を建設する工事(鉄骨工事、橋梁工事など)
  12. 鉄筋工事 棒鋼等の鉄筋を加工し、接合し、又は組立てる工事
  13. 舗装工事 道路、広場等の地盤面をアスファルト、コンクリート等で舗装する工事
  14. しゅんせつ工事 河川、港湾等の水底を浚渫する工事
  15. 板金工事 金属薄板等を工作物に取付け、又は工作物に板金加工を施す工事
  16. ガラス工事 ガラスを加工し、工作物に取り付ける工事
  17. 塗装工事 塗料、塗材等を工作物に塗付する工事
  18. 防水工事 アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事
  19. 内装仕上工事 木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装を仕上げる工事
  20. 機械器具設置工事 機械器具の設置、または組立て等により工作物を建設する工事(プラント設備、生産ラインなど)
  21. 熱絶縁工事 建築物や工作物に熱絶縁材を取り付ける工事
  22. 電気通信工事 有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事
  23. 造園工事 植栽、景石、地ならし、園路、広場、噴水、プール等の施設を設置する工事
  24. さく井工事 さく井機械等を用いてさく井を行う工事、又はこれらの工事に伴う揚水設備設置工事等
  25. 建具工事 工作物に木製又は金属製の建具等を取り付ける工事
  26. 水道施設工事 上水道、工業用水道等の取水、浄水、配水等の施設を建設する工事、又は公共下水道の処理施設を建設する工事
  27. 消防施設工事 火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置する工事
  28.清掃施設工事 ごみ処理施設、し尿処理施設等の清掃施設を建設する工事
  29. 解体工事 建築物その他の工作物を解体する工事(平成28年6月1日新設)
 

知事許可

  • 許可を出す機関: 営業所が1つの都道府県内のみに存在する場合に、 その都道府県の知事が許可を出します。
  • 例: 富山県内に本店と支店が複数あっても、それらがすべて富山県内にあるのであれば、富山県知事の許可となります。
  • 許可の範囲:許可を受けた都道府県内だけでなく、全国どこでも工事を請け負うことができます。工事を行う場所に制限はありません。

大臣許可(国土交通大臣許可

  • 許可を出す機関: 営業所が2つ以上の都道府県にまたがって設置されている場合に、国土交通大臣が許可を出します。
  • 例: 富山県に本店があり、石川県に支店があるような場合
  • 許可の範囲: 
  • 知事許可と大臣許可の違いは、あくまで営業所の所在地のみにあります。
  • こちらも知事許可と同様に、全国どこでも工事を請け負うことができます。工事を行う場所に制限はありません。
  • 知事許可と大臣許可の違いは、あくまで営業所の所在地のみにあります。  *営業所とは、本店もしくは支店または常時建設工事の請負契約を結ぶ事務所(実態的な業務を行っている)を言います。

  • 一般建設業

特定建設業以外の場合は、一般建設業の許可が必要です。

  • 特定建設業

発注者から直接工事を請け負う者(元請け)が1件の工事につき下請け代金の額(下請け契約が2以上ある場合はその総額)が4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上になる下請け契約を結び工事を行っている場合。

この4つの区分と、先に挙げた29種類の工事(業種)を組み合わせて、必要な建設業許可を取得することになります。

〈一般建設業の許可と特定建設業の許可の区分〉
許可分類のまとめ
 

1つの都道府県の区域内に営業所

営業所が複数の都道府県に存在する
一般建設業 一般建設業・都道府県知事許可 一般建設業・国土交通大臣許可
特定建設業 特定建設業・都道府県知事許可 特定建設業・国土交通大臣許可

 

5つの建設業の許可要件

建設業に係る経営業務の管理を適正に足りる能力を有する者がいること

これは簡単に言うと、会社をちゃんと経営できる能力がある人が会社にいることという意味です。建設業は、大きな金額が動き、安全面や品質管理、下請けとの関係など、専門的な経営判断が求められる事業です。そのため、ずさんな経営で事故を起こしたり、下請けに迷惑をかけたりしないように、知事や大臣が許可を出す際にこの能力があるかを確認します。

具体的にいうと

  • 法人の場合、常勤の役員等であること。個人の場合、事業主等であること。なおかつ、許可を受けようとする建設業に関して、5年以上の経営業務の管理経験がある人。

営業所に専任の技術者がいること

れは簡単に言うと、「ちゃんと工事の技術的なことを理解していて、いつでも相談に乗ったり、指示を出したりできる人が、会社の事務所にいますよ」という状態であることを意味します。建設業は、設計図を読んだり、施工方法を決めたり、品質や安全を管理したりと、専門的な技術知識が不可欠です。そのため、知事や大臣は、申請する会社がその専門知識をきちんと持っているかを、この「専任の技術者」という要件で確認するんです。

「専任」とは?

その人がその営業所で、その会社の業務にのみ、常勤で従事していることを指します。具体的には、以下のような状態を指します。

  • 他の会社の仕事はしていない(兼業していない)
  • 他の営業所の専任技術者と兼務していない
  • 現場の主任技術者や監理技術者と兼務していない(ただし、一定の要件を満たす小規模な工事などでは、兼務が認められる場合があります。)
  • 毎日、その営業所に出勤している
  • 社会保険に加入している(常勤の証明として重要視されます)

「専任技術者」とは?

ちなみに、技術者には、専任技術者のほかに配置技術者がいます。配置技術者とは、施工現場に配置して技術上の管理を行う一定の資格・経験を有するものです。これには「主任技術者」と「監理技術者」がこれに該当します。

この「専任技術者」は、誰でもなれるわけではありません。その人が、建設業に関する一定の専門知識や経験を持っていることを証明する必要があります。これは主に以下の2つの方法で証明します。

1.国家資格を持っていること

  • 例:1級・2級建築士、1級・2級施工管理技士など
  • 業種によって必要な資格は異なります。例えば、建築一式工事なら1級建築士や1級建築施工管理技士など。その資格が申請したい建設業の種類(業種)に対応していれば、学歴や実務経験の年数を問わず、専任技術者になることができます

2.一定期間以上の実務経験があること

指定された学科を卒業している場合

  1. 大学・短大等(指定学科)卒業後、許可を受けたい建設業に関する3年以上の実務経験 
  2. 高等学校(指定学科)卒業後、許可を受けたい建設業に関する5年以上の実務経験 

  3. 改正(令和5年7月1日施行後の主な要件): 以下のいずれかを満たすこと実務経験が短縮されました。(以前は、国家資格がない場合や指定学科を卒業していなければ10年以上の実務経験が必要でした。今回の改正で、「技術検定の第一次検定合格者(技士補)」が、学歴がある者と同等とみなされるようになりました。)

1級技術検定第1次検定合格者(1級技士補)+ 合格後3年以上の実務経験。                  *指定建設業(土、建、電、管、鋼、舗、園)及び電気通信工業は除く

2級技術検定第1次検定合格者(2級技士補)+ 合格後5年以上の実務経験。                   指定建設業(土、建、電、管、鋼、舗、園)及び電気通信工業は除く

改正ポイント: 技術検定合格者を指定指定学科の卒業者と同等(1級1次合格者を大学指定学科卒業者と同等、2級1次合格者を高校指定学科卒業者と同等)とみなし、第一次検定の合格により、実務経験年数が、合格後3年(1級)又は5年(2級)に短縮されました。                      *一般建設業許可の専任技術者または主任技術者の場合

これらの改正は、建設業界の担い手確保、生産性向上、そして若手技術者の育成を促進することを目的としています。特に技術検定の第一次検定合格者を要件に加えたことは、資格取得のハードルを下げ、建設業への参入を促す効果が期待されています。

3..上記以外10年以上の実務経験 

誠実性を有していること

建設業許可の要件にある「誠実性を有すること」は、一言で言うと「嘘をついたり、ごまかしたりしない、真面目で信頼できる会社であること」を意味します。建設工事は、契約金額が大きく、工期も長く、万が一トラブルが起きれば社会に大きな影響を与える可能性があります。そのため、許可を出す行政(国や都道府県)は、その会社が過去に不正行為をしていないか法律をきちんと守ってきたか、といった点を厳しくチェックして、信頼できる業者にのみ許可を与えようとします。

 

「誠実性がない」と判断される主なケース

主に、申請者やその役員などが、過去に建設業法や他の法律に違反して罰を受けていたり、不正な行為があったりするような場合に「誠実性がない」と判断されます。

不正な手段で許可や登録を取得・維持しようとした場合

虚偽の申請書を提出したり、重要な事実を隠して許可を受けようとしたりすると、誠実性がないと判断されます。

  • 例: 実際にはいない専任技術者がいるかのように書類を偽造して申請した。

建設業法などに違反して罰金以上の刑を受けている場合

建設業法に違反して、罰金以上の刑(懲役刑や罰金刑)を受けてから、まだ5年が経過していない場合です。

  • 例: 無許可で建設工事を請け負い、建設業法違反で罰金刑を受けた。
  • 例: 下請け業者への代金を不当に減額し、建設業法に違反して罰金刑を受けた。

反社会的勢力と関係がある場合

申請者や会社の役員の中に反社会的勢力者がいたり、反社会的勢力と不当な関係を持っていたりする場合です。これは社会全体に対する信頼性に関わるためです。

刑法などの特定の法律に違反して罰金以上の刑を受けている場合

建設業法以外でも、以下のような法律に違反して、罰金以上の刑を受けてからまだ5年が経過していない場合です。

  • 刑法: 詐欺罪、脅迫罪など
  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
  • 建築基準法、宅地建物取引業法、労働基準法、労働安全衛生法、独占禁止法 など、建設業に関連の深い法律

公正契約の確保をしない場合

元請けとして、下請け業者に不当な負担を強いたり、契約内容を一方的に変更したりするなど、下請けを保護すべき義務を果たさなかった場合です。

  • 例: 工事中に、下請け業者への支払いを正当な理由なく遅延したり、無理やり値引きを要求したりした。

 

財産的基礎又は金銭的信用を有していること

建設業許可の要件の一つである「財産的基礎または金銭的信用を有していること」は、簡単に言うと「会社として、工事をちゃんと進められるだけのお金や信用がありますよ」ということを意味します。

建設工事は、材料費や人件費など、まとまったお金が必要になります。また、時には予期せぬトラブルで追加費用が発生することもあります。もし会社に十分な資金力がなければ、工事が途中で止まってしまったり、下請けへの支払いが滞ったりするリスクがありますよね。そういった事態を防ぐため、国や都道府県は、申請する会社が経済的に安定しているか信用力があるかを確認するんです。

この要件は、取得したい許可の種類(一般建設業か特定建設業か)によって、求められるレベルが大きく異なります。


一般建設業許可の場合

一般建設業許可では、以下のいずれかの基準を満たせばOKです。比較的、基準は緩やかです。

  1. 自己資本が500万円以上あること

    • 会社の自己資本(純資産額)が、貸借対照表(バランスシート)上で500万円以上あることを証明します。
    • 例: 会社の預金が500万円以上ある、または、会社の資産(不動産、機械など)から負債(借入金など)を差し引いた純資産が500万円以上ある。
  2. 500万円以上の資金を調達する能力があること

    • 金融機関から500万円以上の融資を受けられる証明書(預金残高証明書など)を提出することで、この能力があることを示します。
    • 例: 金融機関が発行した、申請日直前の残高が500万円以上ある預金残高証明書を提出する。この場合、一時的な残高ではなく、継続してその金額を維持できる見込みがあるかも見られます。
  3. 過去5年間、継続して建設業を営業した実績があること

    • 過去5年間、途切れることなく建設業の営業を続けており、その間、事業を継続する上で特に問題がなかったと認められる場合です。
    • 例: 既に建設業許可を持っていて、過去5年間、毎年欠かさず事業報告書などを提出し、適切に事業を営んできた。

特定建設業許可の場合

特定建設業許可では、一般建設業許可に比べて、非常に厳しい財産的基礎の要件が課されます。これは、特定建設業が大規模な工事を元請けとして請け負い、多くの下請け業者を統括するため、その下請け業者を保護する責任があるからです。

以下の全ての基準を満たす必要があります。

  1. 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと

    • 会社の欠損金(損失の累積額)が、資本金(または出資金)の20%を超えていないことです。
    • 例: 資本金が3,000万円の会社なら、欠損金が600万円(3,000万円 × 20%)を超えていない。
  2. 流動比率が75%以上であること

    • 流動比率とは、「流動資産 ÷ 流動負債 × 100」で計算される指標です。会社の短期的な支払い能力を示します。これが75%以上である必要があります。
    • 例: 1年以内に現金化できる資産(現金、預金、売掛金など)が1,000万円あり、1年以内に支払うべき負債(買掛金、短期借入金など)が1,200万円ある場合、流動比率は約83.3%となり、基準を満たします。
  3. 資本金が2,000万円以上、かつ自己資本が4,000万円以上であること

    • 会社の資本金(または出資金)が2,000万円以上であること。
    • かつ、会社の自己資本(純資産額)が4,000万円以上であること。

欠格要件に該当しないこと

建設業許可の要件にある

欠格要件に該当しないこと」は、簡単に言うと

「法律上、建設業を営むことが認められないような、重大な問題がないこと」を意味します。

建設業は、公共の安全や国民生活に大きく関わる事業です。そのため、過去に犯罪を犯したり、不誠実な行為で行政処分を受けたりしたような会社や個人には、許可を与えないことで、トラブルを未然に防ぎ、業界全体の信頼性を守ろうとしています。

「欠格要件」とは、許可を受けたい人や会社が、特定の悪い条件に当てはまっていないかをチェックする項目です。もし一つでも該当してしまうと、他の要件(経営経験、技術者、財産など)をどんなに満たしていても、許可は下りません。


どのような場合に「欠格要件に該当する」と判断されるの?

主に、申請者(法人であればその役員、個人事業主であればその本人、支配人、支店長、営業所長等)が、過去に以下のような特定の「問題行動」を起こしていたり、「問題のある状態」にある場合に該当します。

  1. 特定の法律に違反して刑罰を受けた場合

    • 建設業法等に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行が終わってから5年が経過していない場合。
    • 禁錮以上の刑(懲役や禁錮)に処せられ、その執行が終わってから5年が経過していない場合。
    • 例: 詐欺罪や横領罪で懲役刑を言い渡され、刑務所を出てから5年以内。
    • 例: 無許可で建設工事を請け負い、建設業法違反で罰金刑を受け、その罰金を払ってから5年以内。
  2. 建設業許可が取り消されてから5年が経過していない場合

    • 過去に建設業許可を持っていたが、不正行為などによって許可を取り消され、その日からまだ5年が経過していない場合。
    • 例: 虚偽の申請をして許可を得たことが発覚し、許可を取り消されたばかり。
  3. 営業停止処分を受けている場合

    • 建設業法違反などにより、現在、営業停止処分を受けている期間中である場合。
    • 営業停止期間が終了しても、処分内容によっては一定期間許可が下りないことがあります。
  4. 暴力団員または暴力団と関係がある場合

    • 申請者や会社の役員の中に暴力団員がいたり、暴力団と不当な関係を持っていると判断される場合。これは、社会的な信頼性を著しく損なうとみなされます。
  5. 成年被後見人や被保佐人、破産者で復権を得ていない場合

    • 精神上の障害により判断能力が著しく不十分な状態にあると判断され、後見人や保佐人が付いている場合。
    • 自己破産をして、まだ免責(借金の支払い義務が免除されること)が確定していない場合。
  6. 建設業を廃業する旨の届出をせずに合併や解散した場合

    • 会社の合併や解散に際して、適切な手続き(廃業の届出)を怠った場合。

許可申請の流れ

新規許可申請(知事・一般)の場合

事前相談

要件の確認と準備

まず、申請前に「許可が取れる会社かどうか」をしっかり確認します。これまでに説明した以下の要件をすべて満たしているかを確認し、不足があれば準備を進めます。

  1. 経営業務の管理を適正に足りる能力を有する者がいること
    • 経験豊富な役員がいるか、補佐役がいるかなどを確認します。
  2. 営業所に専任の技術者がいること
    • 取得したい業種に対応する国家資格者または実務経験者がいるか確認します。
    • その人が常勤しているか(社会保険加入状況なども重要)を確認します。
  3. 誠実性を有すること
    • 過去に不正行為や法律違反がないか、役員等に欠格要件に該当する人がいないかを確認します。
  4. 財産的基礎または金銭的信用を有していること
    • 一般建設業の場合、自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力(預金残高証明書などで証明)があるかを確認します。
  5. 欠格要件に該当しないこと
    • 申請者、役員などが、破産者で復権していない、刑罰を受けてから5年以内など、法律で定められた欠格要件に該当しないことを確認します。
  6. 適切な営業所があること
    • 建設業を営むための実体のある営業所(事務所)があるかを確認します。賃貸の場合は賃貸借契約書、自社所有の場合は登記簿謄本などが必要になります。

必要書類の収集・作成

要件を満たしていることを確認したら、膨大な量の書類を集め、作成していきます

主な書類は以下の通りです(法人の場合の一例)。

  • 建設業許可申請書(様式第1号)
  • 役員等の一覧表
  • 経管証明書、略歴書、証明書
  • 専任技術者証明書、略歴書、資格証明書または実務経験証明書
  • 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書
  • 営業所一覧表
  • 収入証紙(富山県収入証紙9万円)
  • 工事経歴書
  • 直前3年の各事業年度における工事施工金額
  • 誓約書(欠格要件に該当しないことなど)
  • 定款
  • 健康保険等の加入状況(社会保険加入の証明書類)
  • 財務諸表(貸借対照表、損益計算書など直近1年間の決算書)
  • 営業の沿革
  • 所属建設業者団体名(あれば)
  • 主要取引金融機関名
  • 預金残高証明書(財産的基礎の証明用)
  • 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 納税証明書(法人事業税など)
  • 身分証明書(市区町村役場で発行される、成年被後見人等でないことの証明)
  • 登記されていないことの証明書(法務局で発行される、成年被後見人等でないことの証明)
  • その他、実務経験を証明する契約書や注文書など

 

申請書の提出・審査

必要書類がすべて揃ったら、富山県土木センターに提出します。

  1. 窓口での提出・受理: 作成した申請書類一式を窓口に提出します。この際、担当者によるチェックが行われます。書類に不備がなければ受理され、申請手数料を納付します。
    • 富山県知事許可(新規)の申請手数料は9万円(富山県収入証紙で納付)です。
  2. 本審査: 書類が受理された後、行政庁による本格的な審査が開始されます。提出された書類の内容を詳細に確認し、要件を満たしているかどうかが審査されます。場合によっては、追加資料の提出を求められたりします。営業所の事務所調査が行われます。                                   審査期間について: 富山県知事許可の場合、申請書類が受理されてから許可が下りるまでの標準処理期間は、おおむね30日〜1ヶ月程度とされています(実際の審査期間は行政庁の混雑状況や書類の複雑さ、補正の有無によって変動します)

許可通知書の交付

審査の結果、要件を満たしていると判断されれば、許可が決定されます。その後、会社に「建設業許可通知書」が郵送されてきます。これが届いたら、晴れて建設業許可取得となります!

建設業法第40条には、「建設業者は、その店舗及び建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令で定めるところにより、許可を受けたことを証する標識を掲げなければならない。」と定められています。

この「許可を受けたことを証する標識」が、一般的に金看板と呼ばれるものです

金看板を設置する場所

営業所の目立つ場所。通常は、事務所の入り口付近や、お客様が来訪する部屋に設置します。

 

金看板に記載する内容

金看板には、法律で定められた以下の情報を記載する必要があります。

  • 商号又は名称:会社の名前
  • 代表者の氏名:代表取締役の氏名
  • 一般建設業又は特定建設業の別:取得した許可が「一般」か「特定」か
  • 許可年月日:建設業許可を受けた日付
  • 許可番号:富山県知事許可(般-〇)第〇〇〇〇〇号といった許可番号
  • 建設業の種類:取得した建設業の種類(例:土木工事業、建築工事業、とび・土工工事業など)

許可後の変更届出書

建設業許可後の変更届とは?

 

会社や事業に関する以下のような情報に変更があった場合に、許可行政庁(富山県知事許可の場合は富山県)にその内容を報告する書類です。

  • 会社の基本情報(商号、所在地など)
  • 役員の変更
  • 経営業務の管理責任者等や専任技術者の変更
  • 事業年度終了報告(毎年必須)
  • 建設業の種類(業種)の追加
  • 決算内容の変更 など

主な変更届の種類と提出期限、変更の内容によって、提出期限が異なります。期限を過ぎると、遅延理由書の提出を求められたり、行政指導の対象となることがありますので注意が必要です。

  1. 事業年度終了報告書(決算変更届)

    • 内容: 毎事業年度(会社の決算期)が終了した後に、財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)や工事施工実績などを報告するものです。
    • 提出期限: 毎事業年度経過後4ヶ月以内
    • 重要性: 毎年必ず提出が必要な書類です。これがないと、5年後の更新申請ができません。会社の経営状況や工事実績を行政が把握するための重要な情報源です。
  2. 役員の変更届

    • 内容: 役員(取締役、監査役など)の就任、退任、交代、氏名変更などがあった場合。経営業務の管理責任者等に該当する役員の変更は特に重要です。
    • 提出期限: 変更があった日から30日以内
    • 注意点: 経営業務の管理責任者等が変更になる場合は、新しい方が要件を満たしているか確認が必要です。
  3. 商号(社名)、営業所の所在地、資本金の変更届

    • 内容: 会社の名前が変わった、本店や支店が移転した、資本金を増資または減資した、などの場合。
    • 提出期限: 変更があった日から30日以内
    • 注意点: 営業所の移転で管轄の都道府県が変わる場合は、現在の許可を廃業し、新しい都道府県で新規申請し直す必要があります(大臣許可は除く)。
  4. 専任技術者の変更届

    • 内容: 専任技術者が交代した、退職した、氏名が変わった、など。
    • 提出期限: 変更があった日から14日以内(速やかに)
    • 重要性: 専任技術者は許可の重要要件の一つなので、変更があった場合は迅速な対応が必要です。もし、交代する人がいないなど、専任技術者が不在になる期間が発生すると、その期間は許可要件を満たさないことになり、許可が取り消される可能性があります。
  5. 営業所の新設・廃止の届出

    • 内容: 新たに営業所を設置した場合や、既存の営業所を閉鎖した場合。
    • 提出期限: 変更があった日から30日以内
    • 注意点: 新設する営業所には、新たに専任技術者の配置が必要です。
  6. 建設業の種類(業種)の追加(業種追加申請)

    • 内容: 現在持っている許可業種とは別の業種の許可を新たに追加で取得したい場合。
    • 提出期限: いつでも可能(ただし、要件を満たしていることが前提)
    • 費用: 申請手数料 5万円(富山県収入証紙)
    • 注意点: 新規許可申請と同様に、追加したい業種に対応する専任技術者や経営業務の管理責任者等の要件を満たす必要があります。

更新

 建設業許可は、

会社の状況(経営状態、技術力法律遵守など)が、許可基準を満たしているかどうかを継続的に確認するための制度です。5年ごとに再審査を行うことで、許可を受けた会社が、その後も適正に事業を継続できる状態にあるかをチェックします。

もし更新を怠ると、許可は失効し、建設業法違反となる可能性があります。

更新の流れ

  1. 更新期限の確認: 許可の有効期間は、許可を受けた日から5年後の同じ日の前日までです。許可通知書に記載されている有効期間を必ず確認してください。 満了日が土日祝の場合: 満了日が土日祝日などの行政庁の休業日であっても、満了日は変わりません。この場合、実質的な期限日は直前の行政機関の営業日となりますので、注意が必要です。
  2. 更新申請の準備: 更新期限の30日前までに、更新申請を行う必要があります。
  3. 申請書の提出: 準備した書類を、富山県庁の土木センター担当部署に提出します。更新申請手数料は、新規申請よりも安く、5万円です。(富山県収入証紙で納付)
  4. 審査: 提出された書類に基づいて、審査が行われます。
  5. 許可通知書の交付: 審査の結果、要件を満たしていると判断されれば、新しい許可通知書が交付されます。

 

更新を忘れるとどうなる?

更新期限を過ぎてしまうと、その時点で許可は失効します。失効後も建設業を続ける場合は、改めて新規の許可を取り直す必要があります。また、許可が切れた状態で建設業を営むと、建設業法違反となり、罰則の対象となる可能性があります。

 

更新の注意点

  • 早めの準備: 更新期限の30日前までに申請すれば良いのですが、書類の準備には時間がかかるため、余裕をもって準備を始めることをおすすめします。
  • 継続的な情報更新: 許可を受けている間も、会社の情報(役員、所在地、専任技術者など)に変更があった場合は、速やかに変更届を提出する必要があります。これを怠ると、更新時に問題となることがあります。

期間内にきちんと行うことが重要です。

経営事項申請(経審)

経審とは、公共工事の入札に参加したい建設業者が必ず受けなければならない審査のことです。

国や地方公共団体などの発注機関は、公共工事を発注する際に、入札に参加する建設業者の「客観的な能力」を評価し、点数化します。この客観的な評価が「経営事項審査」です。

審査結果は点数化され、「総合評定値(P点)」として通知されます。発注機関は、このP点に加えて、それぞれの発注機関が独自に定める評価(主観点)を合算して、入札参加資格の順位付けや格付けを行います。

経審の有効期間は、審査基準日(直前の決算日)から1年7ヶ月です。 公共工事に継続して参加するためには、毎年決算後、切れ目なく経審を受ける必要があります。


経審の目的

 

  • 公正な入札機会の確保: 建設業者の経営状態、技術力、社会性などを客観的に数値化することで、不透明な評価をなくし、公正な競争環境を保ちます。
  • 不良不適格業者の排除: 経営状況が不安定な業者や、技術力のない業者が公共工事を請け負うことによる品質低下や工期遅延などのリスクを低減します。
  • 発注者のリスク軽減: 信頼できる業者を選定することで、公共工事の品質と安全を確保し、納税者の利益を守ります。

 

経営事項審査の評価項目(P点の構成)

 

経審では、主に以下の5つの項目を評価し、それぞれに点数(評点)が付けられます。これらの評点を合計して、総合評定値(P点)が算出されます。

項目 評価内容 主な評価対象
X1: 完成工事高 過去2年間または3年間の平均完成工事高 会社の売上規模。業種ごとの工事高も評価され、規模が大きいほど高得点。
X2: 自己資本額<br>・利益額 会社の財産状況と利益状況 自己資本額(純資産額)、純利益、利払い前税引き前償却前利益(EBITDA)など。会社の財務的な安定性や収益力を評価。
Y: 経営状況 経営状況(負債の状況、利益率、キャッシュフローなど)を数値化したもの 会社の財務状況を多角的に評価する指標(負債抵抗力、収益性、資金繰りなど)。
Z: 技術力 技術職員数、元請完成工事高、継続学習(CPD)の取り組みなど 会社の技術者の数やレベル、元請としての実績、技術者の育成や能力向上への取り組みを評価。
W: その他の審査項目 社会性・信頼性に関する項目 労働福祉の状況(社会保険加入状況)、建設業の営業継続の状況、防災協定締結の有無、法令遵守の状況、営業停止処分や指示処分の有無、ワークライフバランスへの取り組みなど。

 

各ステップの詳しい説明

  1. 事業年度終了報告書(決算変更届)の提出

    • 時期: 毎事業年度終了後、4ヶ月以内
    • 内容: 建設業許可を受けている業者は、毎年決算後、必ずこの書類を提出しなければなりません。これには財務諸表や工事実績などが含まれます。経審の基礎となる情報ですので、非常に重要です。
  2. 経営状況分析申請

    • 時期: 決算変更届の作成・提出後、随時。
    • 内容: 経審の評価項目である「Y点(経営状況)」を算出するために、登録経営状況分析機関に財務諸表などを提出して分析してもらいます。これは国に登録された民間の機関(ワイズ等)が行います。
    • 提出先: 国土交通大臣が登録した経営状況分析機関(ワイズ等)
    • 費用: 依頼する分析機関によって異なりますが、一般的には1万円~2万円程度です。
  3. 経営事項審査申請(本審査)

    • 時期: 経営状況分析結果通知書が届いた後、随時。
    • 内容: 経営状況分析結果通知書と、その他の評価項目(X1, X2, Z, W)に関する書類を揃えて、許可行政庁(富山県知事許可の場合は富山県土木センター)に提出します。
    • 提出先: 富山県庁 土木センター。
    • 費用: 申請手数料がかかります(業種数によって異なります)。富山県の場合、1業種あたり11,000円、以後1業種追加ごとに2,500円加算など。
  4. 審査結果通知書の交付

    • 時期: 申請書類受理後、約2~3週間(行政庁による)。
    • 内容: 審査の結果、総合評定値(P点)や各評点(X1, X2, Y, Z, W)が記載された通知書が交付されます。このP点が、公共工事の入札に参加するための重要な指標となります。
  5. 入札参加資格審査申請

    • 時期: 審査結果通知書を受け取った後、各発注機関の受付期間に合わせて申請。
    • 内容: 経審の審査結果通知書を添付し、国、都道府県、市町村、独立行政法人などの各発注機関に対して、それぞれの入札参加資格の申請を行います。この申請をすることで、初めて入札に参加できるようになります。

 

経審に関する注意点

  • 毎年継続して受ける: 公共工事に継続して参加するためには、毎年決算後、切れ目なく経審を受ける必要があります。
  • 決算変更届が前提: 経審を受けるには、毎年の決算変更届がきちんと提出されていることが大前提です。
  • 計画的な準備: 必要書類が多く、経営状況分析から本審査、入札参加資格申請まで一連の流れがあるので、計画的に準備を進めることが重要です。
  • 専門家への相談: 複雑な計算や書類作成が必要となるため、行政書士などの専門家(建設業許可業務を扱っている)に依頼することも一般的です。
  • 経審の具体的な流れ(申請から結果通知まで)

    ステップ 期間・タイミング 何をする? 誰が関わる? 大事なポイント
    1. 決算報告 会社の決算が終わってから4ヶ月以内 毎年、会社の決算内容(売上、利益など)を行政庁に提出します。 あなた/許可行政庁(富山県) これは経審を受けるための準備段階です。これをしていないと、経審には進めません。
    2. 経営状況分析 決算報告の後、いつでも 決算報告書を基に、会社の経営状態(お金の回り方など)を国に登録されている民間の会社(分析機関 ワイズ等)に分析してもらいます。 あなた/経営状況分析機関 経審の点数の一部になる「Y点」を計算してもらいます。これはオンラインで書類を送って手続きできることが多いです。
    3. 経営事項審査(本審査) 分析結果が出た後、いつでも 経営状況分析の結果と、会社の工事実績、技術者の数、社会保険の加入状況などの情報を揃えて、許可をもらった富山県土木センターに提出します。 あなた/許可行政庁(富山県) ここで、会社の総合的な力が評価され、点数(P点)が計算されます。提出書類が多く、間違えやすいので注意が必要です。
    4. 結果通知 審査が終わってから約2~3週間後 都道府県庁から、会社の「総合評定値(P点)」が記載された通知書が届きます。 許可行政庁/(富山県) これが、公共工事の入札に参加するための「通信簿」です! このP点を使って、国や市町村などが入札に参加できる会社を選ぶ時の判断材料にします。
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