〒933-0005 富山県高岡市能町南3-26-2(能町小学校横/駐車場あり)
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設業許可は、建設業者にとって事業を拡大し、会社の信頼性を高める上で非常に大きな「武器」となります。将来的な事業の成長や安定を考える上で、取得するメリットはデメリットを大きく上回ると言えます。
建設業許可が必要となるのは以下のいずれかの条件に該当する場合です。
1件の請負代金の額が1,500万円(税込)以上(材料費、運送費含む)または、請負代金の額にかかわらず、木造で延べ面積が150㎡以上の工事
★建築一式工事以外の工事の場合
1件の請負代金の額が500万円(税込)以上(材料費、運送費含む)の工事
2. 公共工事を請け負う場合
下請契約の場合でも、元請からの請負代金が上記の基準を超えれば許可が必要です。この基準は、建設業を営む上で非常に重要であり、知らないで請け負ってしまうと建設業法違反となり、罰則の対象となる可能性があります。
「一式工事」と「専門工事」は全く別の許可業種と考えます。「一式工事」の許可を受けた建設業者でも、500万円以上の専門工事を請け負う場合には、その専門工事の許可が必要になります。 つまり、一式工事の許可があれば、包括的に他の専門工事業に属する工事を行うことができるようになるわけではありません。
区分 | 業種名 | 工事内容の例 |
---|---|---|
一式工事 | 1. 土木一式工事 | 総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(道路、河川、橋梁、ダム、鉄道などの建設) |
2. 建築一式工事 | 総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事(住宅、事務所ビル、店舗などの建設) | |
専門工事 | 3. 大工工事 | 木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取り付ける工事 |
4. 左官工事 | 壁土、モルタル、漆喰、プラスター等を用いて工作物の面を塗り仕上げる工事 | |
5. とび・土工工事 | 足場の組立て、機械器具・建設資材等の運搬配置、鉄骨・鉄筋組立て、コンクリート打設、くい打ち、地盤改良、盛土、掘削、発破等 | |
6. 石工事 | 石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取り付ける工事 | |
7. 屋根工事 | 屋根をふく工事 | |
8. 電気工事 | 発電設備、送配電設備、電気鉄道、電気通信設備、信号設備などの電気工作物の設置、修繕、撤去工事 | |
9. 管工事 | 冷暖房、空調、給排水、衛生等の設備を設置する工事 | |
10. タイル・れんが・ブロック工事 | れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にタイル、コンクリートブロック等を取り付ける工事 | |
11. 鋼構造物工事 | 形鋼、鋼板等の鋼材を加工又は組み立てて工作物を建設する工事(鉄骨工事、橋梁工事など) | |
12. 鉄筋工事 | 棒鋼等の鉄筋を加工し、接合し、又は組立てる工事 | |
13. 舗装工事 | 道路、広場等の地盤面をアスファルト、コンクリート等で舗装する工事 | |
14. しゅんせつ工事 | 河川、港湾等の水底を浚渫する工事 | |
15. 板金工事 | 金属薄板等を工作物に取付け、又は工作物に板金加工を施す工事 | |
16. ガラス工事 | ガラスを加工し、工作物に取り付ける工事 | |
17. 塗装工事 | 塗料、塗材等を工作物に塗付する工事 | |
18. 防水工事 | アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事 | |
19. 内装仕上工事 | 木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装を仕上げる工事 | |
20. 機械器具設置工事 | 機械器具の設置、または組立て等により工作物を建設する工事(プラント設備、生産ラインなど) | |
21. 熱絶縁工事 | 建築物や工作物に熱絶縁材を取り付ける工事 | |
22. 電気通信工事 | 有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事 | |
23. 造園工事 | 植栽、景石、地ならし、園路、広場、噴水、プール等の施設を設置する工事 | |
24. さく井工事 | さく井機械等を用いてさく井を行う工事、又はこれらの工事に伴う揚水設備設置工事等 | |
25. 建具工事 | 工作物に木製又は金属製の建具等を取り付ける工事 | |
26. 水道施設工事 | 上水道、工業用水道等の取水、浄水、配水等の施設を建設する工事、又は公共下水道の処理施設を建設する工事 | |
27. 消防施設工事 | 火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置する工事 | |
28.清掃施設工事 | ごみ処理施設、し尿処理施設等の清掃施設を建設する工事 | |
29. 解体工事 | 建築物その他の工作物を解体する工事(平成28年6月1日新設) |
知事許可
大臣許可(国土交通大臣許可)
一般建設業
特定建設業以外の場合は、一般建設業の許可が必要です。
特定建設業
発注者から直接工事を請け負う者(元請け)が1件の工事につき下請け代金の額(下請け契約が2以上ある場合はその総額)が4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上になる下請け契約を結び工事を行っている場合。
この4つの区分と、先に挙げた29種類の工事(業種)を組み合わせて、必要な建設業許可を取得することになります。
1つの都道府県の区域内に営業所 | 営業所が複数の都道府県に存在する | |
一般建設業 | 一般建設業・都道府県知事許可 | 一般建設業・国土交通大臣許可 |
特定建設業 | 特定建設業・都道府県知事許可 | 特定建設業・国土交通大臣許可 |
これは簡単に言うと、会社をちゃんと経営できる能力がある人が会社にいることという意味です。建設業は、大きな金額が動き、安全面や品質管理、下請けとの関係など、専門的な経営判断が求められる事業です。そのため、ずさんな経営で事故を起こしたり、下請けに迷惑をかけたりしないように、知事や大臣が許可を出す際にこの能力があるかを確認します。
具体的にいうと
これは簡単に言うと、「ちゃんと工事の技術的なことを理解していて、いつでも相談に乗ったり、指示を出したりできる人が、会社の事務所にいますよ」という状態であることを意味します。建設業は、設計図を読んだり、施工方法を決めたり、品質や安全を管理したりと、専門的な技術知識が不可欠です。そのため、知事や大臣は、申請する会社がその専門知識をきちんと持っているかを、この「専任の技術者」という要件で確認するんです。
「専任」とは?
その人がその営業所で、その会社の業務にのみ、常勤で従事していることを指します。具体的には、以下のような状態を指します。
「専任技術者」とは?
ちなみに、技術者には、専任技術者のほかに配置技術者がいます。配置技術者とは、施工現場に配置して技術上の管理を行う一定の資格・経験を有するものです。これには「主任技術者」と「監理技術者」がこれに該当します。
この「専任技術者」は、誰でもなれるわけではありません。その人が、建設業に関する一定の専門知識や経験を持っていることを証明する必要があります。これは主に以下の2つの方法で証明します。
1.国家資格を持っていること
2.一定期間以上の実務経験があること
指定された学科を卒業している場合
高等学校(指定学科)卒業後、許可を受けたい建設業に関する5年以上の実務経験
改正(令和5年7月1日施行後の主な要件): 以下のいずれかを満たすこと実務経験が短縮されました。(以前は、国家資格がない場合や指定学科を卒業していなければ10年以上の実務経験が必要でした。今回の改正で、「技術検定の第一次検定合格者(技士補)」が、学歴がある者と同等とみなされるようになりました。)
1級技術検定第1次検定合格者(1級技士補)+ 合格後3年以上の実務経験。 *指定建設業(土、建、電、管、鋼、舗、園)及び電気通信工業は除く
2級技術検定第1次検定合格者(2級技士補)+ 合格後5年以上の実務経験。 *指定建設業(土、建、電、管、鋼、舗、園)及び電気通信工業は除く
改正ポイント: 技術検定合格者を指定指定学科の卒業者と同等(1級1次合格者を大学指定学科卒業者と同等、2級1次合格者を高校指定学科卒業者と同等)とみなし、第一次検定の合格により、実務経験年数が、合格後3年(1級)又は5年(2級)に短縮されました。 *一般建設業許可の専任技術者または主任技術者の場合
これらの改正は、建設業界の担い手確保、生産性向上、そして若手技術者の育成を促進することを目的としています。特に技術検定の第一次検定合格者を要件に加えたことは、資格取得のハードルを下げ、建設業への参入を促す効果が期待されています。
3..上記以外10年以上の実務経験
建設業許可の要件にある「誠実性を有すること」は、一言で言うと「嘘をついたり、ごまかしたりしない、真面目で信頼できる会社であること」を意味します。建設工事は、契約金額が大きく、工期も長く、万が一トラブルが起きれば社会に大きな影響を与える可能性があります。そのため、許可を出す行政(国や都道府県)は、その会社が過去に不正行為をしていないか、法律をきちんと守ってきたか、といった点を厳しくチェックして、信頼できる業者にのみ許可を与えようとします。
主に、申請者やその役員などが、過去に建設業法や他の法律に違反して罰を受けていたり、不正な行為があったりするような場合に「誠実性がない」と判断されます。
不正な手段で許可や登録を取得・維持しようとした場合
虚偽の申請書を提出したり、重要な事実を隠して許可を受けようとしたりすると、誠実性がないと判断されます。
建設業法などに違反して罰金以上の刑を受けている場合
建設業法に違反して、罰金以上の刑(懲役刑や罰金刑)を受けてから、まだ5年が経過していない場合です。
反社会的勢力と関係がある場合
申請者や会社の役員の中に反社会的勢力者がいたり、反社会的勢力と不当な関係を持っていたりする場合です。これは社会全体に対する信頼性に関わるためです。
刑法などの特定の法律に違反して罰金以上の刑を受けている場合
建設業法以外でも、以下のような法律に違反して、罰金以上の刑を受けてからまだ5年が経過していない場合です。
公正契約の確保をしない場合
元請けとして、下請け業者に不当な負担を強いたり、契約内容を一方的に変更したりするなど、下請けを保護すべき義務を果たさなかった場合です。
建設業許可の要件の一つである「財産的基礎または金銭的信用を有していること」は、簡単に言うと「会社として、工事をちゃんと進められるだけのお金や信用がありますよ」ということを意味します。
建設工事は、材料費や人件費など、まとまったお金が必要になります。また、時には予期せぬトラブルで追加費用が発生することもあります。もし会社に十分な資金力がなければ、工事が途中で止まってしまったり、下請けへの支払いが滞ったりするリスクがありますよね。そういった事態を防ぐため、国や都道府県は、申請する会社が経済的に安定しているか、信用力があるかを確認するんです。
この要件は、取得したい許可の種類(一般建設業か特定建設業か)によって、求められるレベルが大きく異なります。
一般建設業許可では、以下のいずれかの基準を満たせばOKです。比較的、基準は緩やかです。
自己資本が500万円以上あること
500万円以上の資金を調達する能力があること
過去5年間、継続して建設業を営業した実績があること
特定建設業許可では、一般建設業許可に比べて、非常に厳しい財産的基礎の要件が課されます。これは、特定建設業が大規模な工事を元請けとして請け負い、多くの下請け業者を統括するため、その下請け業者を保護する責任があるからです。
以下の全ての基準を満たす必要があります。
欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
流動比率が75%以上であること
資本金が2,000万円以上、かつ自己資本が4,000万円以上であること
建設業は、公共の安全や国民生活に大きく関わる事業です。そのため、過去に犯罪を犯したり、不誠実な行為で行政処分を受けたりしたような会社や個人には、許可を与えないことで、トラブルを未然に防ぎ、業界全体の信頼性を守ろうとしています。
「欠格要件」とは、許可を受けたい人や会社が、特定の悪い条件に当てはまっていないかをチェックする項目です。もし一つでも該当してしまうと、他の要件(経営経験、技術者、財産など)をどんなに満たしていても、許可は下りません。
主に、申請者(法人であればその役員、個人事業主であればその本人、支配人、支店長、営業所長等)が、過去に以下のような特定の「問題行動」を起こしていたり、「問題のある状態」にある場合に該当します。
特定の法律に違反して刑罰を受けた場合
建設業許可が取り消されてから5年が経過していない場合
営業停止処分を受けている場合
暴力団員または暴力団と関係がある場合
成年被後見人や被保佐人、破産者で復権を得ていない場合
建設業を廃業する旨の届出をせずに合併や解散した場合
新規許可申請(知事・一般)の場合
要件の確認と準備
まず、申請前に「許可が取れる会社かどうか」をしっかり確認します。これまでに説明した以下の要件をすべて満たしているかを確認し、不足があれば準備を進めます。
要件を満たしていることを確認したら、膨大な量の書類を集め、作成していきます
主な書類は以下の通りです(法人の場合の一例)。
必要書類がすべて揃ったら、富山県土木センターに提出します。
審査の結果、要件を満たしていると判断されれば、許可が決定されます。その後、会社に「建設業許可通知書」が郵送されてきます。これが届いたら、晴れて建設業許可取得となります!
建設業法第40条には、「建設業者は、その店舗及び建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令で定めるところにより、許可を受けたことを証する標識を掲げなければならない。」と定められています。
この「許可を受けたことを証する標識」が、一般的に金看板と呼ばれるものです。
金看板を設置する場所
営業所の目立つ場所。通常は、事務所の入り口付近や、お客様が来訪する部屋に設置します。
金看板には、法律で定められた以下の情報を記載する必要があります。
事業年度終了報告書(決算変更届)
役員の変更届
商号(社名)、営業所の所在地、資本金の変更届
専任技術者の変更届
営業所の新設・廃止の届出
建設業の種類(業種)の追加(業種追加申請)
もし更新を怠ると、許可は失効し、建設業法違反となる可能性があります。
更新期限を過ぎてしまうと、その時点で許可は失効します。失効後も建設業を続ける場合は、改めて新規の許可を取り直す必要があります。また、許可が切れた状態で建設業を営むと、建設業法違反となり、罰則の対象となる可能性があります。
期間内にきちんと行うことが重要です。
国や地方公共団体などの発注機関は、公共工事を発注する際に、入札に参加する建設業者の「客観的な能力」を評価し、点数化します。この客観的な評価が「経営事項審査」です。
審査結果は点数化され、「総合評定値(P点)」として通知されます。発注機関は、このP点に加えて、それぞれの発注機関が独自に定める評価(主観点)を合算して、入札参加資格の順位付けや格付けを行います。
経審の有効期間は、審査基準日(直前の決算日)から1年7ヶ月です。 公共工事に継続して参加するためには、毎年決算後、切れ目なく経審を受ける必要があります。
経審では、主に以下の5つの項目を評価し、それぞれに点数(評点)が付けられます。これらの評点を合計して、総合評定値(P点)が算出されます。
項目 | 評価内容 | 主な評価対象 |
---|---|---|
X1: 完成工事高 | 過去2年間または3年間の平均完成工事高 | 会社の売上規模。業種ごとの工事高も評価され、規模が大きいほど高得点。 |
X2: 自己資本額<br>・利益額 | 会社の財産状況と利益状況 | 自己資本額(純資産額)、純利益、利払い前税引き前償却前利益(EBITDA)など。会社の財務的な安定性や収益力を評価。 |
Y: 経営状況 | 経営状況(負債の状況、利益率、キャッシュフローなど)を数値化したもの | 会社の財務状況を多角的に評価する指標(負債抵抗力、収益性、資金繰りなど)。 |
Z: 技術力 | 技術職員数、元請完成工事高、継続学習(CPD)の取り組みなど | 会社の技術者の数やレベル、元請としての実績、技術者の育成や能力向上への取り組みを評価。 |
W: その他の審査項目 | 社会性・信頼性に関する項目 | 労働福祉の状況(社会保険加入状況)、建設業の営業継続の状況、防災協定締結の有無、法令遵守の状況、営業停止処分や指示処分の有無、ワークライフバランスへの取り組みなど。 |
事業年度終了報告書(決算変更届)の提出
経営状況分析申請
経営事項審査申請(本審査)
審査結果通知書の交付
入札参加資格審査申請
ステップ | 期間・タイミング | 何をする? | 誰が関わる? | 大事なポイント |
---|---|---|---|---|
1. 決算報告 | 会社の決算が終わってから4ヶ月以内 | 毎年、会社の決算内容(売上、利益など)を行政庁に提出します。 | あなた/許可行政庁(富山県) | これは経審を受けるための準備段階です。これをしていないと、経審には進めません。 |
2. 経営状況分析 | 決算報告の後、いつでも | 決算報告書を基に、会社の経営状態(お金の回り方など)を国に登録されている民間の会社(分析機関 ワイズ等)に分析してもらいます。 | あなた/経営状況分析機関 | 経審の点数の一部になる「Y点」を計算してもらいます。これはオンラインで書類を送って手続きできることが多いです。 |
3. 経営事項審査(本審査) | 分析結果が出た後、いつでも | 経営状況分析の結果と、会社の工事実績、技術者の数、社会保険の加入状況などの情報を揃えて、許可をもらった富山県土木センターに提出します。 | あなた/許可行政庁(富山県) | ここで、会社の総合的な力が評価され、点数(P点)が計算されます。提出書類が多く、間違えやすいので注意が必要です。 |
4. 結果通知 | 審査が終わってから約2~3週間後 | 都道府県庁から、会社の「総合評定値(P点)」が記載された通知書が届きます。 | 許可行政庁/(富山県) | これが、公共工事の入札に参加するための「通信簿」です! このP点を使って、国や市町村などが入札に参加できる会社を選ぶ時の判断材料にします。 |