こんにちは!行政書士の山本です。
ここ数年、建設業界の皆様とお話ししていると、必ずと言っていいほど話題に上がるのが「資材の高騰」です。現場のコスト負担が重くなっているのはもちろんですが、実はこの資材高騰、単なる利益の圧迫にとどまらず、「建設業許可の維持」や「経営事項審査(経審)」の点数にまで深刻な影響を及ぼすことをご存知でしょうか?
今回は、建設資材高騰の最新の動向と、それが建設業許可にどう絡んでくるのか、そして私たちが取るべき対策について解説します。
1. 止まらない資材高騰の現在地
「昔に比べて資材が高くなった」という肌感覚は、データにもはっきりと表れています。
建設物価調査会のデータ等によると、2021年頃から急激に上がり始めた建設資材物価は、ここ数年で約30〜40%も上昇しており、2026年現在も高止まり、あるいはじわじわと上昇を続けています。
特に銅などの非鉄金属、コンクリート製品、木材などは高い水準で推移しており、「受注金額は変わらないのに、仕入れコストだけが跳ね上がっている」という状態が多くの企業で起きています。
2. 建設業許可への影響:忍び寄る「財産的基礎要件」の壁
資材高騰分を施主や元請けに価格転嫁できず、コストアップ分を自社で被ってしまうと、当然ながら工事ごとの利益率が低下し、最悪の場合は「赤字工事」になります。これが続くと、建設業許可の維持に黄色信号が点灯します。
建設業許可を取得・更新するためには「財産的基礎要件」を満たす必要があります。一般建設業の場合、以下のいずれかを満たさなければなりません。
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自己資本の額が500万円以上あること
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500万円以上の資金調達能力があること(銀行の残高証明書等で証明)
赤字が続いて純資産が目減りし、自己資本が500万円を下回ってしまった場合、更新時や新たな業種を追加する際に、慌てて銀行から500万円以上の残高証明書を取得しなければならなくなります。資金繰りが悪化している状態では、この「瞬間風速的な500万円の用意」すら大きな負担になるケースが少なくありません。
3. 経営事項審査(経審)への大ダメージ
公共工事への入札参加を考えている企業にとって、資材高騰は経営事項審査(経審)の総合評定値(P点)にも直結します。
単価が上がって一時的に「売上高(完成工事高)」が増えたように見えても、利益が伴っていなければ経審の点数はシビアに下がります。
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X2点(自己資本額・利益額)の低下: 営業利益や経常利益が減れば、そのまま点数ダウンに直結します。
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Y点(経営状況分析)の悪化: 利益率の低下や借入の増加によって、売上高経常利益率や純支払利息比率といった財務指標が悪化し、Y点が大きく下がってしまいます。
「一生懸命工事をこなしているのに、経審の点数が下がって入札ランクが落ちてしまった」という事態を防ぐためにも、適切な利益確保は必須です。
4. 対策:法改正を活用し「適切な価格転嫁」を
「そうは言っても、元請けや施主に値上げ交渉なんてできないよ…」という声もよくお聞きします。しかし、国もこの事態を重く見ており、建設業法の改正に動いています。
2024年12月に施行された改正建設業法では、「おそれ情報の通知義務」と「価格変更の協議」がルール化されました。
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契約前の通知義務: 受注者は契約前に、資材高騰などで請負代金に影響が出る「おそれ」がある場合、そのリスクを注文者に通知しなければなりません。
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契約後の変更協議: 実際に資材が高騰した場合、受注者は価格変更の協議を申し入れることができ、注文者(発注者や元請)は誠実に協議に応じる努力義務を負います。
【行政書士からのアドバイス】 口約束ではなく、見積書や請負契約書に「価格変動(スライド)条項」をしっかり盛り込むことが何より重要です。「主要な資材が〇%以上変動した場合は、請負代金の変更協議を行う」といった一文を入れておくことで、いざという時の交渉の強力な根拠になります。
契約書の整備や、適切な書面交付を行うことは、建設業法上のコンプライアンス(不当に低い請負代金の禁止など)を守る上でも不可欠です。
まとめ
建設資材の高騰は、もはや「現場のやりくり」だけで解決できるレベルを超えています。利益の減少は、建設業許可の要件喪失や経審のランクダウンという「会社の根幹」を揺るがすリスクを孕んでいます。
適正な価格での受注と、法に則ったしっかりとした契約書の作成が、これからの建設業者には今まで以上に求められます。もし「うちの契約書、今のままで大丈夫かな?」「次の更新に向けて財務状況が不安だ」といったお悩みがあれば、ぜひ一度、建設業に強い行政書士にご相談ください。書類作成の代行だけでなく、御社の経営基盤を守るためのサポートをさせていただきます!