相続が発生した際、財産の分配はしばしば感情的な問題や、後のトラブルを引き起こす可能性があります。特に不動産や特定の趣味に関する財産は、配慮を欠くと不満が残りやすいものです。

円滑かつ、ご相続人様皆さまにご納得いただける財産分配のためのポイントを解説いたします。

1. 不動産の分配:「住居の安定」への配慮が最優先

不動産は、その性質上、最も慎重な配慮が求められる財産です。特に、故人様と同居されていたご相続人様が現在もその不動産に居住されている場合、以下の点が重要です。

  • 居住権の尊重: 現在の住まいを失うことは、精神的・経済的に大きな負担となります。そのため、現に居住されているご相続人様がその不動産を相続することは、居住の安定という観点からも、原則として最も望ましい選択肢の一つです。

  • 代償分割の検討: 不動産は高額になりがちで、特定の相続人が単独で取得すると、他の相続人との間に不公平が生じることがあります。この場合、不動産を取得した相続人が、他の相続人に対して金銭(代償金)を支払う「代償分割」を検討することで、公平性の確保が可能です。

  • 売却(換価分割)も選択肢に: 相続人全員がその不動産を利用する予定がなく、代償分割も難しい場合は、売却して現金化し、その現金を法定相続分や遺言に従って分配する「換価分割」も有効な手段となります。

2. 特定の財産(株式・趣味の品)の分配:「興味」と「利用価値」を尊重する

金融資産や趣味に関する財産は、その財産への興味や知識、継続的な利用意向を持つご相続人様に引き継ぐことで、財産の価値を活かし、ご本人様にも喜ばれます。

財産の種類 賢明な分配の視点 メリット
株式・投資信託 投資に関心・知識がある相続人に相続させる。 故人様の運用を継続でき、売却益や配当金といった恩恵も活かせます。知識のない相続人にとっては、管理や売却の手間を回避できます。
ゴルフ会員権・別荘 ゴルフや利用に関心がある相続人に相続させる。 利用しない相続人が持っても意味が薄い財産です。利用する人に譲ることで、財産が「利用価値」を保てます。
美術品・コレクション その価値を理解し、保管・管理できる相続人に相続させる。 適切な管理が財産の価値維持に繋がります。換価価値(売却価格)が不明確な場合も多く、希望者が引き取るのが最善です。

3.  全ての分配に共通する重要なステップ

  1. 正確な財産評価: 特に不動産は、固定資産税評価額だけでなく、路線価、時価(不動産鑑定士等)など、複数の視点から公平な評価を行うことがトラブル防止の第一歩です。

  2. 遺産分割協議: ご相続人様全員が参加し、率直な意見お互いの状況への配慮をもって話し合うことが最も重要です。特定の財産を希望する理由(例:この家に住み続けたい)を明確に伝え合いましょう。

  3. 遺言書の重要性: 上記のような配慮を故人様ご自身の意思として実現するために、生前の遺言書作成が最も確実な方法です。遺言書があれば、後の紛争を劇的に減らすことができます。

円満な相続は、単に法律や金額の問題だけでなく、「故人様の想い」と「ご相続人様間の思いやり」によって実現します。分配の方向性にお悩みでしたら、ぜひ行政書士にご相談ください。

ご自身の人生を振り返ったとき、「前妻との間にも子がいる」「今は後妻と生活しているが、前妻の子とは音信不通だ」という状況にある方は少なくありません。

もしあなたがこの状況で何の対策もせずに亡くなった場合、後に残されたご家族、特に後妻様と前妻のお子様の間で、想像を絶するほどの相続争いが起こる可能性が非常に高いです。

今回は、このような複雑な家族構成を持つ方が、ご自身の死後に家族が争うことを防ぎ、「円満相続」を実現するために、なぜ遺言書が必要なのか、そしてどのような点に注意して作成すべきかを行政書士の視点から解説します。

 

1. なぜ「音信不通の子」との間でトラブルになるのか?

「もう何十年も連絡を取っていないから、あの人は相続を放棄するだろう」と考えるのは危険です。法律上、前妻との間のお子様も、現在のご家族のお子様と全く同じ順位の「法定相続人」です。

  • 子の地位は変わらない: 離婚によって夫婦の関係は解消されますが、親子の関係(血縁)は一生涯続くため、相続権はなくなりません。

  • 遺留分の権利: たとえ遺言書で「全財産を後妻に譲る」と書いても、前妻のお子様には法律で最低限保障された取り分である「遺留分」を請求する権利があります。

  • 話し合いの困難さ: 音信不通の状態では、まず相続人全員で遺産分割協議を行うための連絡すら困難です。もし連絡が取れても、感情的な隔たりや長年の不満が噴出し、冷静な話し合いは期待できません。

相続開始後、このような状況下で後妻様が単独で解決しようとすると、時間的・精神的な負担は計り知れないものとなります。

 

2. 遺言書がトラブル回避に不可欠な理由

遺言書は、あなたの死後、あなたの意思を最も強く実現させるための唯一の手段です。特に複雑な家族構成の場合、遺言書を作成することで以下の目的を達成できます。

 

目的① 財産の分け方を明確に指定する

「誰にどの財産をどれだけ渡すか」を具体的に指定することで、遺産分割協議の必要性をなくす、または範囲を最小限に抑えることができます。

 

 目的② 紛争の予防

あなたの「なぜその分け方にしたのか」という理由や、ご家族への感謝の気持ちなどを「付言事項(ふげんじこう)」として書き残すことで、相続人たちの感情的な対立を和らげ、争いを予防する効果が期待できます。

 

 目的③ 相続手続きをスムーズにする

音信不通の相続人がいる場合、預貯金の解約や不動産の名義変更などの手続きは、全員の署名・捺印が必要なため非常に煩雑になります。遺言書で「遺言執行者」を指定しておけば、その執行者が単独で手続きを進めることができ、残されたご家族の負担を大幅に軽減できます。

 

3. このケースで特に注意すべき2つのポイント

 

ポイント1:遺留分への配慮

前妻のお子様にも遺留分があることを念頭に置いた財産配分を検討してください。遺留分を無視した遺言書は無効にはなりませんが、結局は遺留分侵害額請求をされることになり、トラブルの火種になります。

遺留分を計算し、その分に見合う財産(現金など)を指定することで、後妻様が生活の基盤となる自宅などを守りやすくなります。

 

ポイント2:必ず「公正証書遺言」を作成する

ご自身で書く自筆証書遺言は手軽ですが、形式不備で無効になるリスクや、偽造を疑われるリスク、そして何より家庭裁判所での「検認手続き」が必要になるというデメリットがあります。

音信不通の相続人がいる場合、検認手続きの通知すら困難になることが想定されます。

公証役場で作成する公正証書遺言であれば、形式が完璧で証拠能力が高く、検認も不要なため、相続発生後の手続きが圧倒的にスムーズになります。複雑な相続関係にある方ほど、公正証書遺言を選択すべきです。

 

最後に

遺言書作成は、ご自身の死後の家族への「最後の思いやり」です。特に前妻のお子様との関係性が複雑な場合、遺言書作成には専門的な知識が不可欠です。

当事務所では、お客様の状況を詳しくヒアリングし、将来のトラブルを未然に防ぐための最適な遺言書作成をサポートしております。少しでも不安を感じた方は、ぜひ一度ご相談ください。

遺言書は単なる財産分配の文書ではなく、残されたご家族への「最後の思いやり」と「愛のメッセージ」

今回は、行政書士の視点から、遺言書を作成する真の意味と目的を3つのポイントに分けて解説します。

 

1. 故人の「最終的な意思」を法的に実現するため

遺言書は、亡くなった方(遺言者)の最終の意思表示を、法律上の効力を持たせて実現するための唯一の手段です。

 

財産分配の自由な指定

民法で定められた法定相続分とは異なる形で、「誰に」「どの財産を」「どれだけ」渡すかを自由に指定できます。

  • 例えば、「長男には家を、二男には預金を」と具体的に指定する。

  • 事業を承継する特定の後継者に、株式や事業用資産を集中させる。

 

 法定相続人以外への財産の継承(遺贈)

法律上の相続人ではない方へも財産を渡すことができます。

  • 内縁の配偶者や、世話になったお孫さん、または特定の慈善団体への寄付など、ご自身の意思を反映させることができます。

 

 身分に関する重要な行為

遺言でしかできない、身分に関する重要な行為を行うことができます。

  • 認知(婚姻関係にない間に生まれたお子さんを自分の子と認めること)

  • 未成年後見人の指定(自身に万一のことがあった際、未成年の子どもの後見人を指定しておく)

 

2. 相続人同士の「トラブル(争い)」を未然に防ぐため

遺言書がない場合、相続人全員で遺産の分け方について話し合う**「遺産分割協議」**が必要です。相続人同士の利害が対立し、この協議がまとまらないことで、深刻な家族間の争いに発展するケースは少なくありません。

 

 遺産分割協議の不要化とスムーズな手続き

有効な遺言書があれば、原則として遺産分割協議を行う必要がなく、遺言書の内容に従ってスムーズに財産の名義変更などの手続きが進みます。

 

家族の精神的・時間的負担の軽減

「父(母)が本当はどうして欲しかったのかわからない」「遺産のことで兄弟姉妹と揉めてしまった」といった、残されたご家族が直面する精神的な負担や、話し合いにかかる時間的コストを大幅に軽減することができます。

 

3. 相続手続きを「円滑」に進めるため

遺言書は、財産を分けるだけでなく、その後の手続きを円滑に進めるための具体的な指示書としての役割も果たします。

 

遺言執行者の指定による手続きの円滑化

遺言書で「遺言執行者」を指定しておくと、その執行者が預金の解約や不動産の名義変更などの手続きをすべて担ってくれます。これにより、ご家族が煩雑な手続きに追われることなく、スムーズに相続を完了できます。

 

 法律を超えた「付言事項」で家族の心も救う

遺言書の末尾に書き残す「付言事項」には、法的効力はありませんが、家族への感謝の気持ち、なぜそのような財産の分け方にしたのかという理由、葬儀やお墓の希望などを自由に記載できます。

  • 「長男に多くした理由を理解して欲しい」「家族みんな仲良く暮らして欲しい」

このメッセージが、遺言の内容をめぐって一時的に感情的になったご家族の心を鎮め、円満な相続へ導くための重要な役割を果たすのです。

 

遺言書は「最後の思いやり」です

遺言書を書く行為は、「ご自身の意思を実現し」「残された家族の負担と争いを減らし」、「手続きをスムーズにする」ための、ご自身からご家族への「最高のギフト」です。

当事務所では、ご依頼者様の状況やお気持ちを丁寧にヒアリングし、ご家族の皆様が安心して将来を迎えられるよう、最適な遺言書作成のサポートを行っております。

ご自身の思いを形にするための第一歩を、私たち行政書士と一緒に踏み出しませんか?

遺言書は、将来の相続トラブルを防ぎ、ご自身の想いを確実に残すための大切な書類です。

しかし、「自筆証書遺言と公正証書遺言って何が違うの?」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。

今回は行政書士の視点から、それぞれの特徴・メリット・デメリットを分かりやすくまとめてご紹介します。

 

◆ 自筆証書遺言とは

自筆証書遺言は、その名の通り 遺言者が自分の手で書く遺言書 です。

 メリット

  • 思い立ったときに気軽に作成できる
    特別な手続きは必要なく、紙とペンさえあればすぐに書き始められます。

  • 費用が基本的にかからない
    公証役場の費用が不要なため、経済的な負担が少ない点も魅力です。

デメリット

  • 紛失・改ざん・偽造のリスクがある
    自宅で保管する場合、誤って処分されたり、改変される可能性があります。

  • 内容不備で無効になることがある
    手軽に書ける分、法律的な不備が起きやすく、結果的に遺言が効力を持たないことも。

  • 深く考えずに書いてしまうことがある
    思いつきで書き始めると、長期的な相続の影響を見落としがちです。

 

◆ 公正証書遺言とは

公正証書遺言は、公証人が遺言者の意思を確認し、公証役場で作成する遺言書 です。
証人2名の立会いも必要となります。

 メリット

  • 安心・確実に作成できる
    公証人によって内容を確認しながら作成するため、法律的な不備で無効になる心配がほとんどありません。

  • 内容を深く・冷静に検討できる
    事前のヒアリングを重ねることで、遺言内容を整理し、より納得のいく形にできます。

  • 保管も公証役場にて行われ安全
    紛失・改ざんのリスクが極めて低く、後日「遺言が見つからない」といった問題も回避できます。

  • 証人2名+公証人が関与するため、疑義が生じにくい
    遺言の真正さが高まり、相続人間のトラブル抑止にも効果的です。

デメリット

  • 手数料がかかる
    遺言内容に応じて公証役場の費用が発生します。

  • 作成までに時間がかかる
    事前打ち合わせ・証人の手配など、準備に一定の時間が必要です。

 

 どちらを選ぶべき?

遺言書は「簡単に残したいのか」「確実に残したいのか」で選択が分かれます。

  • 手軽さ重視 → 自筆証書遺言

  • 確実性・安全性重視 → 公正証書遺言

特に財産が多い場合や、相続人間にトラブルが懸念される場合は、公正証書遺言が強く推奨されます。

行政書士としては、将来の安心のためにも 公正証書遺言を検討される方がより安全 と感じています。

費用と安心を守る!契約書「4つの視点」をシンプル解説

特にトラブルになりやすいポイントを、「費用」「もしもの時」「退去」「安定性」の4つの視点に分けて解説します。

 

 視点1:費用と金銭の「払い方」をチェック

この視点では、「いくら払うのか」だけでなく、「払ったお金がどうなるのか」、そして「突然費用が増えないか」を確認します。

  • 落とし穴①:入居一時金(前払金)の「償却ルール」

    • 一番高額なこの費用は、施設に預ける積立金ではありません。入居と同時に使われ始めるお金です。

    • 【確認すべき点】

      • 初期償却(入居した瞬間に返ってこなくなるお金)の割合が何%か?

      • 残りが何年間でゼロになるのか(償却期間)

    • もしもの時に返ってくるお金(返還金)は、この償却期間と、退去したタイミングで決まります。期間が長すぎると、早く退去してもほとんど返ってきません。

  • 落とし穴②:施設の倒産リスクへの備え(保全措置)

    • 高額な一時金が、施設が倒産した時に守られる仕組みがあるか確認します。契約書に「保全措置」に関する記載がなければ要注意です。

  • 落とし穴③:月額費用に「どこまで含まれるか」

    • 「管理費」の中に、居室の水道光熱費や日常消耗品費が含まれているか確認します。

    • 【隠れた出費】 おむつ代、理美容代、外部の専門医にかかる費用などは、月額費用とは別に請求されます。月々の総支払額を計算する際、これらを見落とさないように注意が必要です。

視点2:医療・介護の「限界点」をチェック

入居者の状態が悪化し、より手厚いケアが必要になったとき、施設がどこまで対応できるか、つまり施設の「キャパシティ」を確認します。

  • 確認点①:職員の「配置人数」と「夜間体制」

    • 日中の職員体制だけでなく、深夜の最低配置人数を確認しましょう。夜間に転倒や急変があった際、迅速に対応できる人数が確保されているかが命に関わります。

    • 【見るべき数字】 介護職員1人あたりの入居者数(例:2:1、3:1など)

  • 確認点②:医療連携と「どこまで対応可能か」

    • 協力医療機関の名前や診療科目を確認し、入居者の持病に対応できるか確認します。

    • 【最重要】 胃ろう、透析、インスリン注射などの特別な医療処置が、施設内で可能か、契約書に具体的に記載されているかを確認します。

  • 確認点③:最後の時の「看取り」対応

    • 「終末期ケア」「看取り」について、施設が明確な方針と体制を持っているかを確認します。最期まで住み慣れた場所で過ごしたいという希望に応えられるかが分かります。

 

視点3:退去させられる「条件」をチェック

施設側から契約を一方的に解除され、退去を求められる条件は、最も恐ろしいリスクの一つです。特に曖昧な表現がないか、詳しく見てください。

  • 落とし穴:施設の対応能力を「超えた」とは?

    • 契約解除の条件に「他の入居者へ迷惑をかける行為」「施設の提供できる介護レベルを超えた場合」といった表現がないかを確認します。

    • 【確認すべき点】 「介護レベルを超えた」とは具体的にどういう状態を指すのか(例:医療処置が〇種類以上になった場合、常に2人体制が必要になった場合など)、具体的な線引きを職員に質問し、メモに残しましょう。

    • 長期の利用料滞納はもちろん退去理由になりますが、金銭以外の理由で追い出されないよう、基準を明確にしておくことが重要です。

  • 確認点:身元引受人・連帯保証人の「責任範囲」

    • 身元引受人は、緊急時の連絡や退去時の身柄引き取りを担うのが一般的です。

    • 連帯保証人は、入居者の利用料滞納に対し、金銭的な責任を負います。この2つの役割が契約書で明確に分けられているか、または一人が両方の責任を負うのかを確認しましょう。

 

 視点4:法人の「安定性」をチェック

契約の相手である運営法人が、長期的に安定して施設を運営できる体力があるかを確認することも、費用と安心を守る上で欠かせません。

  • 確認点:法人の財務状況

    • 「重要事項説明書」には、法人の直近3年間の事業実績などが記載されているはずです。経営が安定しているか、赤字が続いていないかを確認しましょう。

    • 入居一時金保全措置が講じられていることは、この安定性のリスクを補う重要な要素です。

  • 確認点:居室の権利形態

    • 居室の契約が、「賃貸借契約」「利用権契約」かを確認します。

      • 賃貸借契約は、アパートを借りるのと同じく、居住権が強く守られます。

      • 利用権契約は、居室の利用と介護サービスを受ける権利がセットになったもので、施設運営者の意向が反映されやすい側面があります。

 

最後に:契約書にサインする前に…

複雑な契約書や重要事項説明書は、専門家であっても読み込むのに時間がかかります。ご家族だけで全てを理解し、施設の担当者に詳細な質問をするのは大きな負担です。

当事務所では、これらの契約書を法的な視点からチェックし、特にリスクの高い条項を抽出し、ご家族に代わって「何を質問すべきか」を明確化するサポートを行っています。

富山県内で老人ホーム入居契約の最終確認でお困りの際は、お気軽にご相談ください。専門家の視点で、大切なご家族の「安心」を一緒に守ります。

ご自身の「最期のその後」について、具体的に考えたことはありますか?

私たち行政書士は、ご本人の意思を尊重し、安心した終末期を迎えられるようサポートしています。特に近年、「おひとりさま」の方や、ご家族に負担をかけたくないという思いから、「死後事務委任契約」をご希望される方が増えています。

この契約は、遺言書ではカバーできない、「死後の具体的な事務手続き」を円滑に進めるための、非常に有効な手段です。

 

1.  死後事務委任契約とは?

死後事務委任契約とは、ご本人が生前に、ご自身が信頼する人(受任者)と契約を結び、ご自身の死後に行う事務手続き(葬儀、納骨、役所への届出、各種解約など)を委任するものです。

  • 効力発生: ご本人が亡くなった瞬間に効力が発生します。

  • 最大のメリット: ご本人の「こうして欲しい」という生前の希望を、法的な根拠をもって確実に実行できます。また、親族や友人に、感情的・手続き的な負担をかけずに済みます。

 

2.  契約で委任できる具体的な事務(例)

委任できる内容は、契約で自由に定めることができますが、一般的に重要な項目は以下の通りです。

項目 具体的な事務の例
葬儀・供養 葬儀の形式、規模の決定、斎場・火葬場の手配、費用の支払い、納骨や永代供養の手続き。
各種手続き 死亡診断書・死亡届の提出、健康保険証などの返還、年金受給資格抹消の手続き。
契約・精算 病院・施設費用の精算、賃貸住宅の解約と明け渡し、電気・ガス・水道・携帯電話などの解約。
遺品整理 家財道具の処分や整理(遺品整理)、デジタル遺品(PC、SNSアカウントなど)の処理。

3.  遺言・任意後見との違い

死後事務委任契約は、他の終活の契約と組み合わせることで、「切れ目のないサポート」を実現できます。

  • 任意後見契約: 生前の財産管理・身上監護(介護・医療の契約など)を委任します。死亡と同時に終了します。

  • 死後事務委任契約: 死後の事務処理を委任します。

  • 遺言書: 死後財産の分配についてのみ効力があります。事務手続きは委任できません。

この3つをセットで準備することで、ご自身の判断能力があるうちから、判断能力が低下した後、そして亡くなった後に至るまで、全てご自身の意思に基づいたサポート体制を構築できます。

 

4.  行政書士に相談するメリット

死後事務委任契約は、その性質上、公正証書で作成することが強く推奨されます。公正証書にすることで、契約内容の明確性執行の確実性が高まります。

行政書士は、ご依頼者様の「最期の願い」を丁寧にヒアリングし、法的要件を満たし、かつ実行しやすい公正証書原案の作成をサポートいたします。また、受任者(実際に事務を行う人)との連携や、他の終活準備(任意後見や遺言)との調整も合わせて行うことができます。

ご自身の死後、「誰にも迷惑をかけたくない」「希望通りの形で送られたい」という願いを実現するために、ぜひ一度ご相談ください。

このブログ記事で、死後事務委任契約の概要をご理解いただけたでしょうか?

もし、「費用はどのくらいかかるのか」「誰を受任者に選ぶべきか」といった具体的な点にご興味があれば、引き続きご質問ください。

お気軽にお問い合わせください。

なぜ行政書士はコスモスのバッジをつけているのか

皆さまは、私たちが胸につけている行政書士のバッジをご覧になったことがあるでしょうか?

この金色のバッジに刻まれているのは、秋に咲く美しい花「コスモス」の姿です。

私がこのバッジを初めて胸につけた時、背筋が伸びると同時に、改めてその重みを感じました。なぜなら、コスモスには行政書士として守るべき「調和と真心」という深い誓いが込められているからです。

この記事では、バッジに隠された意味と、高齢社会を支えるもう一つの「コスモス」の活動について解説し、行政書士の社会的な役割をお伝えします。

 

1.  役割その1:バッジに込められた「調和と真心」

行政書士のバッジは、コスモスの花弁の中に、篆書体(てんしょたい)の「」の文字を配したデザインになっています。このデザインには、コスモスの花言葉がそのまま行政書士の使命として込められています。

 

【行政書士バッジが象徴する精神】

象徴 意味 行政書士の使命
コスモスの花言葉 調和真心 社会の調和を図り、誠意をもって公正・誠実に職務を行うこと
「行」の文字 行政 国民と行政の「絆」としての役割

 

行政書士の役割:国民と行政の「橋渡し役」

 

このバッジは、私たちが単に書類を作成するだけでなく、複雑な行政手続きや法律問題に対し、国民の皆さまの側に立って、行政との間で円滑かつ公正な「調和」を生み出すことを誓う証です。

私たちは、この「調和と真心」の精神に基づき、皆さまの権利利益の実現と、社会全体の繁栄進歩に貢献することを使命としています。

 

2. 役割その2:成年後見を支える「コスモス成年後見サポートセンター」

もう一つの重要な「コスモス」は、私たち行政書士が中心となって設立・運営している「公益社団法人 コスモス成年後見サポートセンター」の名称です。

当センターは、行政書士の専門知識と全国的なネットワークを活かし、成年後見制度を通じて高齢者や障がいのある方の生活を支援することを目的としています。

 

【コスモス成年後見サポートセンターの主な活動】

活動内容 期待される役割
後見人の養成と推薦 成年後見に関する研修を重ね、高い専門性と倫理観を持つ行政書士を家庭裁判所に推薦します。
財産管理と身上保護 認知症などで判断能力が不十分な方を代理し、財産管理介護・医療に関する契約などを行います。
普及啓発活動 成年後見制度に関する無料相談会などを開催し、制度の利用促進と社会貢献に努めます。

 行政書士の役割:「寄り添い型の専門職後見人」

行政書士は、遺言・相続・契約書作成といった「権利義務・事実証明に関する書類作成」の専門家です。その知識を活かし、ご本人の意思を最大限尊重しながら、地域・医療・福祉などの関係各所と協力・調整を行う「寄り添い型」の成年後見業務を実践しています。

「成年後見制度」というデリケートで複雑な手続きにおいて、安心と信頼を提供できるのが、私たち行政書士の第二の「コスモス」の役割なのです。

コスモスの精神で皆さまをサポートします

私たち行政書士は、日頃からコスモスのバッジに込められた「調和と真心」を胸に、皆さまの身近な法律家として活動しています。

そして、人生の終盤の安心を支える「コスモス成年後見サポートセンター」の活動を通じて、社会に貢献し続けています。

許認可や相続、成年後見など、複雑な行政手続きや法的な不安がございましたら、いつでも「コスモスの精神」を持つ私たち行政書士にご相談ください。

私たち行政書士は、日頃からコスモスのバッジに込められた「調和と真心」を胸に、皆さまの身近な法律家として活動しています。

そして、人生の終盤の安心を支える「コスモス成年後見サポートセンター」の活動を通じて、社会に貢献し続けています。

許認可や相続、成年後見など、複雑な行政手続きや法的な不安がございましたら、いつでも「コスモスの精神」を持つ私たち行政書士にご相談ください。

安心と信頼をもって、皆さまの権利利益の実現をサポートいたします。

 

ご相談ください!当事務所がサポートできる具体的なサービス

行政書士は、「街の法律家」として、官公署に提出する書類権利義務・事実証明に関する書類の作成を通じて、皆さまの生活とビジネスをサポートしています。

特に以下のようなお悩み・手続きについて、迅速かつ正確に対応いたします。

 

1. 終活・相続・成年後見に関するご相談

サービス項目 具体的なお悩み例
遺言書作成支援 財産をめぐる家族間の争いを避けたい。公正証書遺言の作成をサポートしてほしい。
相続人・財産調査 相続人が誰か分からない。不動産や預貯金など、相続財産を正確に把握したい。
遺産分割協議書作成 相続人間で話し合いがまとまったので、法的に有効な書面を作成したい。

成年後見制度の申立ての書類作成や相談支援

認知症の家族の財産管理ができず困っている。家庭裁判所への申立書類を作成してほしい。
任意後見契約支援 将来に備え、元気なうちに信頼できる人に財産管理を任せる契約を結びたい。

2. 会社・事業に関するご相談(許認可・契約)

サービス項目 具体的なお悩み例
各種営業許可申請 飲食店、古物商、建設業、運送業などを始めたいが、必要な許可や届出がわからない。
法人設立手続き 株式会社やNPO法人などを設立したい。定款作成や認証手続きを代行してほしい。
各種契約書作成 土地建物の賃貸借契約、金銭消費貸借契約、業務委託契約など、トラブル防止のための契約書を作成したい。
内容証明郵便作成 債権回収やクーリングオフなど、法的な意思表示を証拠として残したい。

まずは【無料相談】をご利用ください

どんな些細なことでも構いません。「これって行政書士に頼めるのかな?」と感じたら、まずは一度ご連絡ください。

安心と信頼をもって、皆さまの権利利益の実現をサポートいたします。

「遺言書が見つかった!」その後の「開示」は誰がする?

ご家族が亡くなられ、遺品整理の中で遺言書が見つかった、あるいは「遺言書がある」と知らされたとき、相続人の皆さまは「中に何が書かれているのだろう?」「いつ見ることができるのだろう?」と、大きな不安と期待を抱かれることと思います。

この「遺言書の内容を相続人に知らせる(開示する)」という手続きは、その後の円滑な相続手続きを進めるための非常に重要な第一歩です。

しかし、遺言書の「種類」や「執行者」の有無によって、その開示方法や義務を負う人が変わってくることをご存知でしょうか?

 

遺言書の開示義務を負うのは「遺言執行者」です

遺言書に「遺言執行者」が指定されている場合、遺言書の開示(通知)義務を負うのは、原則としてこの遺言執行者です。

民法第1007条第2項には、以下のように定められています。

「遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。」

つまり、遺言執行者は、就任を承諾したら速やかに相続人全員に対して、遺言書の内容を知らせる義務があります。これによって、相続人の方々は初めて公式に遺言の内容を知ることになります。

 

遺言執行者の主な役割

  • 相続人全員に遺言書の内容を通知する。

  • 相続財産の目録を作成し、相続人に交付する。

  • 遺言書に書かれた内容(不動産の名義変更、預貯金の解約・分配など)を実現する

 

遺言書の種類と開示の流れ

遺言書の開示方法は、主に以下の3つのパターンで異なります。

 

1. 遺言執行者が指定されている場合(公正証書遺言・自筆証書遺言問わず)

 

  • 遺言執行者が、就任後、速やかに相続人全員に遺言書の写しなどを送付し、内容を通知します。

  • 公正証書遺言であれば、遺言執行者が公証役場で正本や謄本を取得し、それを通知に使用します。

 

2. 自筆証書遺言で遺言執行者が指定されていない場合

  • 発見者保管者は、勝手に開封せず、遅滞なく家庭裁判所に提出して「検認」を請求しなければなりません(法務局保管の遺言書を除く)。

  • 検認手続きでは、裁判所から相続人全員に期日が通知され、相続人立会いのもとで開封・内容確認が行われます。これが実質的な「開示」となります。

 

3. 公正証書遺言で遺言執行者が指定されていない場合

  • 公正証書遺言は検認が不要なため、相続人のどなたかが公証役場で正本や謄本の交付を受け、それを他の相続人に示すことで開示となります。

  • ただし、交付請求できるのは、相続人や受遺者、遺言執行者などの利害関係人に限られます。

 

注意!勝手に遺言書を開封するのはNGです

特にご自身で作成された「自筆証書遺言」を発見した場合、たとえご家族であっても、勝手に開封してはいけません!

  • 法務局に預けていない自筆証書遺言を検認前に開封すると、5万円以下の過料に処される可能性があります(民法第1004条)。

  • 遺言の偽造や変造を防ぎ、遺言書の内容を保全するために、必ず家庭裁判所の検認手続きを経る必要があります。

 

 

行政書士がお手伝いできること

遺言執行者が指定されていない場合や、指定されていてもご親族の方が手続きに不慣れな場合、私たち行政書士は、相続人の皆様に代わって円滑な手続きをサポートいたします。

  • 相続人調査相続財産調査

  • 家庭裁判所への遺言検認申立てのサポート

  • 遺言執行者選任申立てのサポート

  • 公正証書遺言の謄本取得サポート

  • 相続関係説明図や財産目録の作成

  • その他、遺産分割協議書の作成などの相続手続き全般

「遺言書が見つかったけれど、次に何をすれば良いのか分からない」 「遺言執行者になってしまったが、手続きに自信がない」

このようなお悩みをお持ちの際は、ぜひお気軽にご相談ください。皆様の「争続」「想続」へと導くために、行政書士が適切なサポートをご提供いたします。

相続が発生すると、多くの方が直面するのが「遺産分割協議」です。これは、誰がどの財産をどれだけ受け取るか、相続人全員で話し合って決める重要なプロセスです。

しかし、家族や親族だからこそ、感情的なわだかまりが生まれやすく、話がこじれてしまうケースも少なくありません。

私たち行政書士は、この遺産分割協議を円滑に進め、そして、将来にわたってトラブルの種を残さないためのサポートを提供しています。

 

 行政書士が遺産分割協議で「公平な立場」を保てる理由

遺産分割協議において、行政書士が介入することの最大のメリットは、その「公平な立場」にあります。

  • 特定の相続人の代理人ではない: 弁護士相続人の代理人として交渉を行うのに対し、行政書士は「中立な立場」で、あくまで協議の合意内容を正確に文書化することを使命としています。

  • わだかまりを残さない調整役: 協議の際、親族間で感情的な対立が生まれることがありますが、行政書士は感情論に流されることなく、冷静に法的根拠(法定相続分など)に基づいて話し合いの進行を促します。

  • 全員が納得できる合意形成をサポート: 相続人それぞれが抱える想いや希望を伺いながらも、その内容が法的に適切であるか、後の手続きで不備がないかをチェックします。これにより、特定の相続人に偏ることのない、客観的な合意形成をサポートします。

その結果、協議後に「あの時、不利な条件を飲まされた」といったわだかまりが残りにくいのです。

 

 納得の合意内容を「確かな文書」に落とし込むプロ

行政書士の専門性は、合意を形成するプロセスだけでなく、その「結果」を形に残すことにあります。

相続人全員が合意した内容は、必ず「遺産分割協議書」として書面に残さなければなりません。

  • 【法律の知識に基づいた助言】

    • 行政書士は相続に関する法律を理解しています。そのため、協議の過程で「この財産はどのように評価すべきか」「特定の相続人が先に受け取った生前贈与(特別受益)はどう扱うべきか」といった法律的な判断が必要な場面で、適切な情報や法的枠組みを助言できます。

  • 【正確な遺産分割協議書の作成】

    • この協議書は、不動産の名義変更(相続登記)や、預貯金・株式などの名義変更手続きを行う際の必須書類となります。

    • 行政書士は、相続人全員が合意した内容を、後々の手続きで不備や無効になることがないよう法律的に正確な表現で協議書に落とし込みます。

  • 【全員が納得した「証」】

    • 行政書士のサポートのもと、相続人それぞれが内容を深く理解し、「これで間違いなく自分の意思が反映された」と納得したうえで、署名捺印をしていただくことができます。この確かなプロセスが、後のトラブルを未然に防ぎます。

 

「もめない相続」のために行政書士をご活用ください

遺産分割協議は、未来の家族関係に影響を与える重要な手続きです。

行政書士は、専門的な法律知識と、特定の方に肩入れしない公平な立場で、皆様の話し合いが円満にまとまるよう、そしてその合意が確かな遺産分割協議書として残るよう尽力いたします。

手続きの煩雑さだけでなく、「話し合いの進め方」に不安を感じている方は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。

価値のない不動産は、今後さらに「処分が難しいお荷物」となる可能性が高いと考えられます。

近年、相続財産の中に「負動産」(維持費や管理コストの方が価値を上回る不動産)が含まれるケースが増えています。「まさかこんなもので揉めるとは」と仰るご相談者様が多いのですが、実は価値のない不動産こそが、親族間の争い(争族)の大きな原因になりやすいのです。

負動産が相続を難航させ、親族間の溝を深める、主な2つの理由を解説します。

 

理由1: プラスの財産と違い、「負債の押し付け合い」になる

通常の相続では、現金や優良な不動産といった「プラスの財産」の取り分をめぐって協議が行われますが、負動産の場合はまったく逆です。

負動産は、単なる固定資産ではなく、以下のような「負債」の塊として扱われます。

  • 毎年発生する固定資産税

  • 定期的な草刈りや修繕などの管理コスト

  • 老朽化による倒壊・事故発生時の損害賠償リスク

この「負債」を誰が引き受けるのか、という「負の押し付け合い」が相続協議の中心になってしまうのです。

 

「私には関係ない」という主張が事態を悪化させる

特に、遠方に住んでいる相続人などから「実家に住んでいた人が引き取るべき」「利用していない私には管理責任はない」といった主張が出ると、協議はすぐにストップします。

しかし、法律上、遺産分割が完了するまでは、相続人全員が不動産全体に対して責任を負うのが原則です。誰か一人が勝手に処分することもできず、問題解決が遠のいてしまいます。

 

 代償分割も難航!「損したくない」心理

「負動産を引き取る代わりに、他の預貯金を多くもらう(代償分割)」という解決策もありますが、これも簡単ではありません。

  • 「この負動産を将来処分するために、いくら費用がかかるか?」

  • 「特定空家等に指定された場合、税金が何倍になるか?」

といった将来のリスクや不明瞭な価値をめぐって意見が対立し、交渉が難航するケースが多発します。誰もが「最終的に損をするのは自分ではないか」という心理に囚われ、合意に至らなくなるのです。

 

理由2: 誰も引き取らない結果、「共有名義」での放置が確定する

 

遺産分割協議で取得者が決まらない場合、とりあえず相続人全員の「共有名義」として登記されることがあります。

これは、その場しのぎで「公平」に見えますが、行政書士として最も避けたい「最も危険な選択肢」の一つです。

 

 意思決定の麻痺とリスクの温存

不動産を売却したり、解体したり、大規模なリフォームをしたりする行為は、原則として共有者全員の合意が必要です。

  • 共有名義になった途端、関心の薄い共有者が非協力的になる

  • 連絡が取れない共有者が一人でもいる

  • 費用負担をめぐって意見が対立する

このような状況に陥ると、その不動産は「永遠に誰も手を出せない」状態になり、結局、放置され続けます。

 

負の連鎖の加速

この共有名義のまま、さらに次世代の相続が発生するとどうなるでしょうか?

所有権は孫やひ孫の代へと雪だるま式に細分化し、権利関係は複雑を極めます。最終的には数十人規模の共有者となり、処分はほぼ不可能になります。これは、親が抱えた問題を次世代に「負の遺産」として引き継がせることに他なりません。

 

負動産による争いを防ぐために

負動産の相続で揉めないための最大の対策は、「早期の決断」と「全員の同意形成」です。

  1. 相続開始を知ってから3ヶ月以内の判断:負動産の負担があまりにも大きい場合、他のプラス財産も含めた相続放棄を検討する。

  2. 売却や有償引き取りの検討:「売れない」と決めつけず、隣接地の所有者への打診や、専門の買取業者など、あらゆる売却・処分手段を模索する。

  3. 専門家への相談:行政書士や弁護士といった専門家を交え、冷静に費用対効果を試算することで、「誰が引き取って、代わりにいくらの金銭を清算するか」という道筋を明確にする。

ご自身やご家族が抱える負動産の問題は、先送りせずに早期に対処することが、将来のトラブルを回避する最善の策です。

抱え込んだままでは解決しません。まずは、ご家族の未来のために一歩踏み出し、当事務所へお声がけください

行政書士に遺産分割協議書作成を依頼するときの利益相反リスク

遺産分割協議において、相続人全員から一人の相続人(または第三者)に、遺産分割協議に関する交渉や合意の権限を与える委任状が交付された場合、それだけをもって直ちに利益相反行為になるとは限りませんが、注意が必要です

利益相反行為となる可能性があるケース

利益相反(りえきそうはん)行為とは、代理人が本人(委任者)の利益と相反する行為をすることを指します。遺産分割協議では、各相続人は自分の取り分を最大限にしたいと考えるため、基本的に利害が対立しています。

  • 未成年者とその親権者(法定代理人)が共同相続人である場合

    • これは最も典型的な利益相反行為に該当します。親権者が未成年者の代理人として遺産分割協議に参加すると、親自身の取り分を増やすために未成年者の取り分を減らすおそれがあるためです。

 

なぜ利益相反になるのか?

想像してみてください。親権者は、自分の取り分と子の取り分を決めなければなりません。

親権者は、自分の利益(多く財産を得たい)と、子の利益(多く財産を得させてあげたい)という、相反する二つの目的を一つの頭で判断しなければなりません。

この状況では、親がどうしても自分の利益を優先してしまい、未成年者の子の権利が不当に侵害される危険性が極めて高いと法律は考えます。

もし親権者が「子の取り分を多くする」と決めれば、親自身の取り分は減ってしまいます逆に、親権者が「自分の取り分を多くする」と決めれば、それは子の不利益になります。この場合、親権者は子の代理人になれず、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求しなければなりません。

  • 成年被後見人と成年後見人が共同相続人である場合

    • これも利益相反行為となるため、成年後見人は被後見人の代理人にはなれず、特別代理人または後見監督人が代理することになります。

  • 一人の相続人が、他の複数の相続人全員の代理人となり、遺産分割協議を合意まで進める場合

    • 形式上は委任状により代理権を与えられていますが、代理人である相続人は、自分自身の利益と、他の相続人全員の利益(それぞれ異なる利害を持つ)を調整するという、非常に困難な状況に置かれます。

    • 代理人である相続人が、他の相続人たちの取り分について自己に有利な内容で合意を成立させた場合などは、実質的に利益相反の疑いが生じ、後に委任者である他の相続人から無効を主張されるリスクがあります。

 

利益相反行為となりにくいケース

  • 単なる「連絡」「情報収集」「書類の受領」などの事務的な行為を委任する場合。

  • 合意内容が確定しており、その確定した内容を遺産分割協議書に落とし込む署名押印するといった形式的な行為のみを委任する場合。

  • 専門家に委任し、かつその専門家がすべての相続人に対し中立的な立場で職務を遂行する場合(ただし、この場合でも専門家は利益相反の可能性について依頼者に説明し、理解を得るのが一般的です)。

 

重要なポイント

遺産分割協議の委任状は、誰が誰に、何を委任するかの内容が重要です。

  • 単に登記手続きなど遺産分割協議後の手続きを委任するだけであれば、通常は問題ありません。

  • 遺産分割の内容を決める行為(交渉・合意)を委任する場合、特に一人の相続人が他の相続人全員を代理するときは、利益相反のリスクを避けるため、委任状には具体的な分割方法が明記されている、または事前にその内容について委任者全員が了解していることが非常に重要です。

既に相続人全員の合意が成立している場合は、行政書士に依頼しても利益相反の問題は生じません

  • 行政書士は、その合意内容を正確に反映した遺産分割協議書を作成するという、事務的な業務を行うことができます。

 委任する上での注意点

  • 相続人全員が個々に行政書士と委任契約を結び、遺産分割協議書の作成を依頼することは問題ありませんが、以下の点にご注意ください。既に合意が成立しているため、行政書士に依頼することで、煩雑な書類作成や戸籍収集などを円滑かつ正確に進めることができるメリットがあります。

    1. 争いがない(紛争性がない):

      • 既に全員が「誰がどの財産を相続するか」で合意しているため、行政書士が特定の相続人に有利になるような交渉や調整を行う余地がありません

      • 行政書士の役割は、合意内容を文書化するという中立的なものです。

    2. 業務範囲内である:

      • 行政書士の業務は、権利義務または事実証明に関する書類を作成することです。

      • 遺産分割協議書は、まさにこの権利義務に関する書類に該当するため、行政書士の正当な業務範囲内となります。

    • 登記手続きは別途必要: 不動産(土地や建物)が含まれている場合、遺産分割協議書に基づいて名義変更(相続登記)を行う必要がありますが、これは司法書士の独占業務です。行政書士は登記手続きの代理はできません。

    • 税務申告は税理士へ: 相続税の申告が必要な場合、これは税理士の独占業務です。

    • 内容の変更は不可: 契約後に相続人間で「やっぱりこの分割方法を変えたい」といった意見の対立が生じた場合、行政書士はその後の交渉や仲介には関与できません。その時点で紛争性が発生したとみなされ、弁護士に相談し直す必要があります。

​​遺産分割協議は、ご家族の想いを形にする大切な手続きです。合意が成立している状況であれば、行政書士が中立的かつ正確に「遺産分割協議書」を作成することで、後の手続きをスムーズかつ確実に進めることができます。ご心配な点や複雑な相続関係がある場合は、ぜひ一度ご相談ください。

それぞれの概要と、法定後見人・任意後見人におけるカルテ開示の扱いについてご説明します

法定後見人 と 任意後見人 の違い

成年後見制度は、認知症や精神上の障害などにより判断能力が不十分な方を、法律的に保護し支援するための制度です。大きく「法定後見」と「任意後見」の2種類があります。

項目 法定後見制度 任意後見制度

制度開始のタイミング

判断能力が既に不十分になった後。 判断能力が十分あるうちに契約。
後見人等を選ぶ人 家庭裁判所が選任(申立人が候補者を推薦することは可能)。 ご本人が将来の任意後見人となる人(任意後見受任者)を契約で決める。

支援の内容・権限

法律で定められた権限(取消権がある)。判断能力に応じて後見・保佐・補助の3類型がある。 任意後見契約で定めた内容が基本(代理権の範囲を本人と受任者が決める)。取消権はない
監督 家庭裁判所が選任する後見監督人保佐監督人、または補助監督人がつく場合がある。 制度開始後、家庭裁判所が必ず任意後見監督人を選任し、その監督を受ける。
目的 判断能力が不十分な方を保護する側面が強い。 将来に備えてご本人の意思を尊重し、生活を支援する側面が強い。

重要なポイント:

  • 法定後見は、既に判断能力が不十分な方のために、家庭裁判所主導で支援者を決める「事後的な保護」の制度です。

  • 任意後見は、判断能力があるうちに、将来のために自分で支援者と支援内容を決めておく「事前の準備」の制度です。

カルテ開示(診療記録の開示)について

カルテ開示は、患者さんご本人や、ご本人に代わる方が、自分の診療情報(カルテ、検査記録など)の開示を医療機関に求めることです。

 

開示請求ができる主な人

診療情報の開示請求ができるのは、原則として患者さんご本人です。 ただし、ご本人が判断能力を欠く場合など、やむを得ない事由がある場合は、以下の代理人等が請求できます。

  1. 患者さんの法定代理人(患者さんが成年被後見人の場合の成年後見人など)

  2. 診療契約に関する代理権が付与されている任意後見人

  3. 患者さんから委任を受けた代理人

  4. 患者さんが死亡している場合のご遺族(配偶者、子、父母など)

 

後見制度とカルテ開示

  • 法定後見人(成年後見人)

    • 成年後見人は、患者さんの法定代理人として、原則としてカルテ開示の請求権を持ちます。

    • これは、成年後見人がご本人の財産管理や身上保護に関する契約等を代理して行うために、ご本人の医療情報を把握する必要があるからです。

  • 任意後見人

    • 任意後見人は、法定後見人と異なり、当然にはカルテ開示の請求権を持つわけではありません

    • カルテ開示の請求権を持つためには、任意後見契約書の中で、「診療契約に関する代理権」や「医療情報開示請求に関する代理権」が明確に付与されている必要があります。契約書にその定めがなければ、単に任意後見人という立場だけでは開示請求はできません。

カルテ開示の手続きや必要書類(身分証明書、後見人であることを証明する書類、任意後見契約書など)は、医療機関ごとに異なりますので、請求先の医療機関に事前に確認が必要です。

「遺産分割協議がまとまらない...」泥沼化を防ぐための3つのステップ

なぜまとまらない?主な原因を知る

  • 感情的な対立: 昔の不満や、故人への関わりの濃淡(寄与分)など、法律では割り切れない感情。

  • 財産評価の意見の相違: 特に不動産の評価額で意見が割れるケース。

  • 特別受益・寄与分の主張: 特定の相続人が故人から生前に利益を受けていた(特別受益)や、貢献した(寄与分)という主張がある。

  • 単なる知識不足: 法定相続分や手続きの流れに関する誤解。

 

【行政書士の役割】話し合いがまとまらない時の初期対応

  • 遺産分割協議がまとまらない場合、最終的な解決は家庭裁判所の調停・審判に進むことになりますが、その前段階に行政書士がサポートできることがあります。

  • 事実関係の整理:

    • 相続人調査: 誰が相続人なのかを確定する(戸籍謄本等の収集)。

    • 相続財産目録の作成: 財産を漏れなく、客観的にリスト化し、評価額の根拠(固定資産税評価額など)を明確にする。「財産の見える化」は、冷静な議論の土台作りに非常に重要です。

  • 遺産分割協議書の作成準備:

    • 協議がまとまりかけた際の合意内容の文書化。行政書士は、法的に有効な遺産分割協議書の作成をサポートできます。

    • 注意点: 行政書士は交渉の代理人にはなれません。交渉代理は弁護士の業務です。あくまで書類作成と事実整理の専門家であることを明確にしましょう。)

 

次のステップ:調停・審判への移行

  • 調停(家庭裁判所): 話し合いで解決できない場合、次のステップは家庭裁判所への遺産分割調停の申立てであることを説明する。

    • 裁判官や調停委員という第三者が間に入り、合意形成を促す手続きです。

    • 行政書士は調停申立に必要な書類作成のサポートが可能です。

  • 審判(家庭裁判所): 調停でも合意に至らない場合、裁判官が最終的に分割方法を決定する遺産分割審判に移行することを説明する。

 

 まとめと行動の呼びかけ

  •  協議がまとまらなくても、決して諦める必要はないこと。

  • 行政書士にできること: 客観的な事実整理と、次のステップ(調停など)へのスムーズな移行準備をサポートすることで、時間と労力の浪費を防げること。

遺産分割でお困りの際は、まずはお気軽にご相談ください

手続きの確実性と家族の絆、その両方を守るために

協議書作成の必要性と行政書士への期待

遺産分割協議書は単なる書類ではない! 行政書士が「公平」と「円満」を守る理由

相続が発生した後、被相続人(故人)の遺言がない場合、相続人全員で「遺産分割協議」を行い、誰がどの財産をどれだけ受け取るかを決定する必要があります。

この話し合いの結果を正式な文書としてまとめたものが、「遺産分割協議書」です。

この協議書は、単に家族間の約束事というだけでなく、その後の不動産の名義変更(相続登記)預貯金の解約・払い戻しを行う際に、金融機関や法務局へ提出が必須となる重要な書類です。

相続人の皆様が自力で作成しようとすると、法的な要件を満たせず手続きがストップしたり、感情的な対立が長期化したりするリスクがあります。だからこそ、行政書士のサポートが不可欠なのです。

 

役割1:【専門家】としての役割 — 法的な不備をなくし、確実な手続きを保証

「手続きが止まらない」確実性。行政書士は専門家として何をするのか?

遺産分割協議書は、記載内容に一つでも不備があると、その後の公的な手続きが全て滞ってしまいます。

行政書士は、行政手続きと法律文書作成の専門家として、以下の確実性を保証します。

  • 正確な財産目録の作成:不動産の正確な地番や預貯金の口座特定など、登記や解約に必要な財産目録の正確性を確保します。

  • 法的な有効性の担保:協議書が民法や戸籍法などの法律に基づき、法的に有効であることを確認します。

  • 要件の充足:署名、押印(実印)、印鑑証明書の添付といった法的な要件を完全に満たし、その後の登記や金融機関での手続きが確実に完了できるように導きます。

役割2:【中立】・【公平】としての役割 — 感情論ではなく、事実に基づく合意形成をサポート

 

争いを未然に防ぐ「調整役」。行政書士は中立・公平な立場で貢献します

相続の話し合いが、感情的な対立から「争い」に発展してしまうケースは珍しくありません。

行政書士は、相続人の誰か一人の代理人ではなく、文書作成のプロとして、中立的な立場を維持します。(※なお、個別の交渉や紛争性の高い案件は弁護士の領域となります)

  • 客観的な基盤の提供:相続人それぞれの主張や感情論に流されることなく、客観的な事実(財産評価、法定相続分など)に基づいた冷静な話し合いを促す基盤を提供します。

  • 公平な意見の反映:全ての相続人の意見を公平に文書に反映し、協議書の内容が偏ったものではないことを明確にします。

  • 記録の保全:後から「言った」「言わない」の争いにならないよう、合意内容を正確かつ明確に記録として残します。

役割3:【円満】としての役割 — 将来を見据えた、家族の絆を守るサポート

家族の「わだかまり」を残さないために。行政書士が目指す円満な終結

遺産分割協議の真の目的は、単に財産を分けることだけではありません。将来にわたって家族の絆を守り、故人の思いを円満に引き継ぐことにあります。

  • 将来のトラブル予防策の記載:単に財産を分けるだけでなく、「なぜその分け方になったか」という背景や、将来の祭祀承継(お墓や仏壇の管理)についての取り決めも文書に残すことで、将来的な親族間のトラブルを防ぎます。

  • 冷静な視点の導入:行政書士の中立的な関与は、感情的になりがちな話し合いに冷静な視点を導入します。これにより、話し合いをスムーズに進行させ、円満な合意形成を助ける「クッション材」の役割を果たします。

私たちは、財産を巡る「争続(そうぞく)」ではなく、故人の思いを受け継ぎ家族の絆を大切にする「想続(そうぞく)」へと導くことを使命としています。

行政書士に任せる安心感

手続きの確実性と家族の絆、その両方を守るために

相続は、誰にとっても一生に一度の大切な手続きです。遺産分割協議書は、相続人全員の合意と意思を後世まで残す、大変重要な「証」となります。

この重要な文書の作成を、中立的かつ専門的な行政書士にご依頼いただくことで、手続きの確実性はもちろん、「公平」で「円満」な家族関係を守ることに繋がります。

遺産分割協議書の作成はもちろん、その前提となる相続人調査財産目録の作成、さらには改葬許可申請(墓じまい)といった各種手続きでお困りの際は、ぜひ当行政書士事務所にご相談ください。

確実な手続きと、心穏やかな解決のために、私たち行政書士が全力でサポートさせていただきます。

富山県特有の文化と相続の現実

富山県は、全国トップクラスの持ち家率を誇り、「結婚したら新築の一戸建てを建てる」という文化が根付いています。この堅実な文化は素晴らしいものですが、残念ながら、親世代から子世代への相続という局面で、新たな問題を生み出しています。

それは、「空き家問題の深刻化」です。

 

1. 富山の相続で不動産が空き家になる構造

富山県の相続財産には、全国と同様に不動産(土地・家屋)が高い割合を占めます。

【問題の構造】

親御さんが亡くなり実家を相続する際、相続人である子の多くは既に自分の持ち家(新築)を持っているため、実家に住む必要がありません。結果として、「誰も住まない空き家」となってしまい、管理不全のリスクが高まります。

【空き家率の現状】

富山県の空き家率は全国平均を上回る水準(約15%前後)にあり、この課題は他人事ではありません。あなたの親御さんの家も、将来的に空き家になる可能性があるのです。

 

2. 相続した実家を「負動産」にしないために

相続した空き家を放置すると、以下のようなリスクから、その資産はまさに「負動産」と化します。

  • 経済的な負担: 固定資産税や維持管理費がかかり続ける。

  • 行政指導のリスク: 老朽化が進むと倒壊リスクなどから、行政から「特定空き家」に指定され、指導や罰則の可能性が発生する。

  • 「特定空き家」として市町村から勧告を受けると、土地の固定資産税の「住宅用地の特例」が適用されなくなり、税額が最大6倍に跳ね上がります。これは、固定資産税の優遇措置(小規模住宅用地では課税標準が1/6になる)が適用除外となるためです。

この状況を解決し、資産の価値を守る有力な選択肢が、「中古物件(空き家)のリノベーション」です。

 

3. 空き家リノベーションは富山県に最適

新築志向が強い富山県ですが、空き家をリノベーションして活用することは、多くのメリットがあり、むしろ富山特有の空き家問題に最適な解決策となります。

メリット 富山での具体的な利点
コストメリット 割安な空き家を取得し、新築よりも総費用を抑えて理想の住まいを実現できます。
自由な設計 構造体の制約はありますが、内装や間取りを自由にデザインし、新築に負けない個性的な家が作れます。
行政の支援 富山市をはじめとする各市町村で、空き家の取得・リフォーム省エネ改修に対する補助金制度が充実しています。
地域貢献 地域に増え続ける空き家を再生し、地域の景観維持や活性化に貢献できます。

4.専門家にご相談ください

「新築にこだわる」という富山の文化も素晴らしいですが、増え続ける空き家と向き合い、その活用を考えることも、大切な資産を未来へつなぐ上で非常に重要です。

相続が発生し、空き家の処分や活用、リノベーション計画に悩まれたら、まずは専門家にご相談ください。

当事務所では、空き家活用のための「相続手続き」はもちろん、「不動産の登記手続き(司法書士と連携)」「行政の補助金活用」に関するご相談まで、幅広くサポートしております。

お気軽にお問い合わせください。

遺言書を作成する。それは、多くの方が想像する以上に、骨の折れる、そして深く意義のある作業です。

自分の築いてきた人生を振り返り、ご家族、お世話になった方々への想いを整理し、そしてご自身の築いた財産をどのように次世代へ託すのかを決める、まさに「人生の総仕上げ」ともいえる大仕事だからです。

なぜ、今、遺言書を作成すべきか?

遺言書作成に取り掛かるきっかけは、「家族から促されて」という場合も少なくありません。もちろん、それは一つの動機として良いことです。しかし、遺言書は、ご自身の「最終意思」を最も明確に実現するための法的な文書です。

作成時には、ご自身の意思を正確に反映させるための高い判断能力が必要とされます。そのため、心身ともに健康で、物事をじっくり考える「余裕のある時」に作成されることを心からお勧めします。

「今、書いても大丈夫?」という疑問について

「一度書いたら変えられないのでは?」と不安に思われるかもしれませんが、ご安心ください。遺言書は、後からいつでも(ご自身の判断能力がある限り)内容の変更が可能です。状況の変化に合わせて、見直すことができる柔軟性を持っています。

費用対効果を考える

遺言書にはいくつか種類がありますが、最も確実な「公正証書遺言」を選ばれた場合、公証役場の手数料など費用は発生します。しかし、これはご自身の確固たる意思を法的・公的に担保し、将来的な家族の負担や争いを回避するための、必要不可欠な「先行投資」です。

終わりに:

私たちは、皆様の「人生の総仕上げ」である遺言書作成を、法律の専門家である行政書士として、心を込めてサポートいたします。ご自身の想いを形にするための一歩を、私たちと一緒に踏み出してみませんか。

なぜ今、「尊厳死宣言公正証書」が必要なのか?

まず、私の個人的な経験からお話しさせてください。

私の義父は、生前に延命治療に関する具体的な意思を伝えることなく、病状の悪化により胃ろうや気管切開といった延命措置を受け、最期を迎えました。

その時、私たち残された家族は、「父が本当に望んでいた最期はこれだったのだろうか?」「私たちは正しい判断をしたのだろうか?」と、深い葛藤と心身の負担を抱えることになりました。

ご本人の意思が明確でない場合、ご家族は苦渋の決断を迫られます。

  • 「意識がなくなった後、延命治療をどこまで続けるか、家族に判断を委ねるのは心苦しい」

  • 「自分らしい最期を迎えたいが、その意思を明確に残す方法が分からない」

このような不安を解消し、ご自身の尊厳を守り、そして何よりご家族を悩ませないために、生前に意思を明確にしておくことは、今や欠かせない終活の一環です。

日本の現状では、尊厳死に関する法律はまだ整備されていません。しかし、ご自身の生き方、そして最期を自分で決める「リビング・ウィル(生前の意思)」の重要性は、年々高まっています。

この「リビング・ウィル」を最も強力に残す手段が、今回ご紹介する「尊厳死宣言公正証書」です。

 

尊厳死宣言公正証書とは

尊厳死宣言公正証書とは、「延命治療の拒否」の意思を、国の機関である公証役場公証人に作成してもらう公文書(公正証書)のことです。

 

1. 尊厳死と安楽死の違い(読者の誤解を解消)

尊厳死宣言公正証書を正しく理解するために、混同されやすい2つの言葉を整理しておきましょう。

項目 尊厳死(Dignified Death) 安楽死(Euthanasia)
内容 不治で末期的な状況において、延命措置を差し控える・中止する。 薬物投与などにより、人為的に死期を早める
結果 自然な経過として死を迎える。 人為的な行為により死を迎える。
日本の現状 法制化はされていないが、リビング・ウィルとして意思表示は可能 刑法上、認められていない。

尊厳死宣言公正証書は、あくまで「尊厳死」、つまり苦痛を和らげつつ、自然な経過で最期を迎えることを選ぶ意思を表明するものです。

 

2. 公正証書にするメリットと、法的効力(専門性のアピール)

ご自身の意思を「公正証書」という公文書で残すことには、計り知れないメリットがあります。

 

強力な証拠力と保全性

  • 公証人が本人に意思確認: 公証人が宣言者ご本人に直接意思確認をして作成するため、「本人の真の意思である」ことの証明力が非常に高いです。

  • 偽造・変造の恐れがない: 公文書として作成されるため、後日の紛争リスクが極めて低いです。

  • 原本が公証役場に半永久的に保管: 紛失の心配がなく、いつでも謄本(写し)を取得できます。

 

法的効力

尊厳死宣言公正証書には、遺言書のような直接的な法的強制力はありません

しかし、公証人という国家資格者が厳格な手続きを踏んで作成した文書は、本人の意思を最も明確に示す公的証拠となります。これにより、医療関係者やご家族は安心して本人の希望を尊重しやすくなります。

 

3. 宣言書に記載する主な内容(行政書士のサポート範囲)

宣言書に記載すべき内容は多岐にわたりますが、特に重要なのは以下の点です。

  • どのような状態になったら延命措置を拒否するのか

    (例:不治かつ末期の病気で回復の見込みがない状態、植物状態など)を具体的に特定します。

  • 拒否を希望する具体的な延命措置

    (例:人工呼吸器の装着、胃ろうや点滴による栄養補給、心肺蘇生術など)を明確にします。

  • 苦痛を和らげる措置(緩和ケア)は最大限に希望すること(重要)

    延命措置を拒否しても、苦痛を和らげるための治療は最大限に受ける意思を明記します。

  • 宣言書に基づき行動した医師や家族への免責

    ご自身の意思を尊重して行動した医師やご家族を、刑事上・民事上の責任から免除するよう表明します。

  • 家族の同意を得ている旨の記載

    (行政書士のポイント):家族の同意は必須ではありませんが、実務上、医療現場で意思が実現される可能性を高めるために、事前にご家族と話し合い、同意を得ている旨を記載することが望ましいです。

4. 行政書士に依頼するメリット

ご自身の最期に関わるデリケートな意思表示だからこそ、専門家である行政書士にご相談ください。

  • 適切な原案作成:

    「延命拒否」という抽象的な意思ではなく、医療現場で医師やご家族に伝わる具体的かつ法的に適切な文書の原案作成をサポートします。

  • 公証役場との連携:

    煩雑な公証人との事前打ち合わせや、必要書類の収集・準備を代行し、先生が公証役場へ行く手間を最小限に抑えます。

  • ご家族への配慮:

    デリケートな内容をご家族にどのように伝え、理解を得るかといった、精神的な側面に寄り添ったアドバイスも行います。

終活は「一連の流れ」で考えるのが効率的

尊厳死宣言は、残されるご家族への「最後の思いやり」であり、ご自身の尊厳を守る準備です。

元気なうちに、ご家族と話し合い、意思を明確に残すことが何よりも大切です。

(行政書士としての提案)

「尊厳死宣言公正証書」は、財産承継に関する「遺言書」や、将来の財産管理に関する「任意後見契約」とあわせて、終活の3点セットとして同時に検討されることを強くお勧めします。

これらの文書を同時に作成することで、公証役場に行く手間を一度にでき、時間的・費用的にも効率的に「自分らしい未来と最期」の準備を整えることができます。

当事務所では、これらの文書作成を一貫してサポートし、「最期まで自分らしく」をトータルで実現するお手伝いをいたします。

お気軽にご相談ください。

今日のテーマは、社会問題化している「空き家問題」についてです。

「いつか帰るかもしれない実家」「遠方に残されたままの家」。思い出の詰まった大切な不動産が、気づけば倒壊の危険、景観の悪化、そして税金の負担増という「負動産」に変わってしまう可能性があります。

「どうしたらいいかわからない」「誰に相談すればいいの?」そう立ち止まっている方も多いのではないでしょうか。

私たち行政書士は、空き家問題解決のプロフェッショナルとして、皆さまの悩みを法的な側面から整理し、解決への道筋をつけるお手伝いをしています。

この記事では、「放置は危険」な空き家が「負動産」になる理由と、円満に手放すための手続き、そして行政書士が具体的に何ができるのかを分かりやすく解説します。

 

1. なぜ空き家は「負動産」になるのか?~放置が招く2つの大きなリスク~

空き家問題の根は深く、主な原因は「相続」と「対策の複雑さ」にあります。特に放置していると、将来的に手の施しようがなくなる2つの大きなリスクがあります。

  • 所有者不明化のリスク(手続きの難化): 相続が発生しても、名義変更の手続き(相続登記)がされないと、所有者が曖昧になります。数十年経つと、相続人が数十人に増えてしまい、売却や活用をしたくても全員の合意を得ることが極めて困難になり、身動きが取れなくなってしまいます。

  • 「特定空家等」への指定リスク(税負担の増大): 適切な管理がされていない空き家は、自治体から「特定空家等」に指定される場合があります。指定されると、なんと固定資産税の優遇措置(最大6分の1減額)が解除され、税負担が大幅に増えてしまうのです。

この状態になる前に、手を打つことが何よりも重要です。

 

2. 行政書士ができること - 空き家問題へのアプローチ

空き家を再び「資産」に戻す、または円満に手放すためには、「法的な整理」と「行政との連携」が不可欠です。私たち行政書士は、その両面でサポートします。

 

(1) 権利関係・相続の整理

空き家を円満に手放すための第一歩は、「誰のものか」を明確にすることです。

  • 相続人調査・確定: 複雑な戸籍を読み解き、現在の正しい所有者(相続人)を特定します。

  • 遺産分割協議書の作成支援: 相続人全員の意見を調整し、空き家の所有者を決定するための重要な文書作成をサポートします。これにより、売却や利活用へ向けた土台を築きます。

 

(2) 行政手続きのサポート

空き家を売却・活用したり、公的な支援を受けたりする際には、行政への申請が欠かせません。

  • 空き家バンク登録の支援: 空き家を売りたい・貸したい場合に、自治体の制度を活用するための登録手続きをサポートします。

  • 補助金・助成金の申請代行: 解体やリフォームに関する国や自治体の支援制度を調査し、申請書類の作成を代行することで、費用の軽減をサポートします。

  • 利活用に伴う許認可申請: 例えば、空き家を地域交流スペースや民泊などに転用する場合の、行政への許認可申請をサポートします。

 

(3) 専門家とのスムーズな連携

空き家対策は、行政書士一人で完結するわけではありません。 登記は司法書士、売買の仲介は不動産業者、税金は税理士といったように、私たち行政書士が「ハブ役」となり、皆さまの状況に最適な専門家を紹介し、連携を取りながら迅速な解決を目指します。

 

3. 「いつか」ではなく、「今」ご相談ください

「まだ大丈夫だろう」「どこに相談すればいいか分からない」と問題を先延ばしにしていると、状況は悪化する一方です。空き家対策は、早ければ早いほど選択肢が広がり、費用も抑えられます。

「負動産」化してしまう前に、思い出の詰まったご実家やご自宅を「資産」として未来につなげるために、私たち行政書士にご相談ください。

一歩踏み出す「きっかけ」と「具体的な道筋」を、私が責任をもってご提案させていただきます。

空き家・相続に関する初回無料相談を随時受け付けています。 お気軽にお電話、またはメールフォームからお問い合わせください!

家族のもしもに備える生命保険は、相続発生後、すぐ現金化できる「動く財産」として、納税や代償金の準備に役立ちます。

1. 生命保険が「必須対策」である二つの理由

 

理由① 納税資金の確実な確保(最も重要な役割)

相続税は原則として現金一括で、相続開始から10ヶ月以内に納付が必要です。相続財産の大部分が不動産や非公開株式の場合、納税資金が不足しがちです。

  • 生命保険の役割: 被相続人が契約者・被保険者となり、特定の相続人を受取人とする保険に加入することで、相続発生後、最短数日で受取人(例:不動産を相続する妻)が現金(死亡保険金)を迅速に受け取れます。この現金を納税資金に充てられます。

 

理由② 相続税の非課税枠の活用(合法的な節税効果)

生命保険金は「みなし相続財産」ですが、非課税枠があります。

  • 効果: 現金にはないこの非課税枠を利用することで、相続財産の一部を課税対象から合法的に除外し、相続税を節税できます。

2. 代償分割の原資としての活用(遺産分割の円滑化)

代償分割とは、特定の相続人(後継者など)が分割しにくい現物財産(自社株や自宅)をすべて取得する代わりに、他の相続人に対し現金を支払うことで、相続分や遺留分の公平性を保つ方法です。

  • 生命保険の役割: 不動産や自社株を相続する後継者が、事前に受取人として受け取った死亡保険金を代償金の原資として他の相続人に支払うことで、公平な遺産分割を円滑に進めます。

贈与税リスクの回避

代償金の支払いが贈与とみなされないために、遺産分割協議書(または遺言書)には、「誰がどの財産を取得し、その代償として誰にいくら支払うか」という代償分割の意思を明確に明記することが必須です。相続税の申告書には、遺産分割協議書(または遺言書)を添付します。この際、遺産分割協議書(または遺言書)に以下の情報が明確に記載されていることが、代償金が贈与ではないことの「証拠」となります。

  • 誰がどの財産(例:自社株、自宅不動産)を多く取得したか。

  • その代償として、誰が(財産を多く取得した人)誰に(財産を少なく取得した人)いくら支払うか。

この書類があることで、税務署は「これは相続財産の公平な分割のための精算金であり、単なる無償の贈与ではない」と判断されます。

3. 生命保険を活用した代償分割の仕組み(自社株承継の例)

自社株を後継者(長男)に集中させる場合のモデルケースです。

 
ステップ 内容 ポイント
受取人指定 死亡保険金の受取人を後継者の長男に指定します。 自社株を集中させる後継者に現金を確実に渡すことが重要です。
保険金受取 長男が保険金を現金で受け取ります。 死亡保険金は、原則として相続財産ではなく受取人固有の財産です。
代償金支払い 長男が受け取った現金で、妻や長女の遺留分や法定相続分を調整するための代償金を支払います。 長男は自社株を取得し、他の相続人は現金を得ることで、円満な事業承継が完了します。

メリット:株式分散リスクの解消

死亡保険金は原則として遺産分割の対象外となるため、遺言書で長男に集中させた自社株が、遺産分割協議によって株式が分散されるリスクを回避できます。

この手法を用いることで、長男への経営権の集中と他の相続人への経済的な配慮を両立させ、円満な事業承継を目指すことができます。最適な保険金額や遺言書の作成について、お気軽にご相談ください。

事前予約は不要です。相続や遺言など、ちょっとしたご心配事やお悩みがありましたら、お気軽にお越しください。

相続や遺言のことで、ちょっと誰かに聞いてみたい…」という方へ

明日は、高岡市能町地域交流センター(能町公民館)で無料相談会を行います!

  • 【事前予約は不要です】

  • 場所: 高岡市能町地域交流センター 研修室2

  • 内容: 相続・遺言等に関するお悩み相談

気になることがあれば、どうぞお気軽にお立ち寄りください。

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