ご両親がお亡くなりになり、ご実家を整理する必要が生じたとき、何から手をつけて良いか分からず途方に暮れてしまう方は少なくありません。

私の実家は九州の大分にあります。余計なものは買わない主義らしく、綺麗に整っています。一方で、夫の実家は令和6年能登半島地震で被災しており、片付けはより複雑で慎重な対応が求められます。頭を抱えています。

「大量の荷物を前にどうすればいいんだろう?」 「どこに貴重品があるか分からない…」 「業者に頼むのは少し不安…」

こうしたお悩みをお持ちの方へ向けて、今回は相続とご実家の整理・遺品整理をスムーズに進めるためのポイントと、注意すべき点をお話しします。

 

1. 遺品整理の前に、まず「相続」を考える

多くの方が「片付け」から始めようとされますが、その前に絶対にやっておくべきことがあります。それが相続の手続きと財産の確認です。

故人の遺品は、法的には相続人全員の「共有財産」となります。そのため、ご自身の独断で物を処分してしまうと、後々の遺産分割協議でトラブルに発展する可能性があります。

【片付けを始める前に確認すべきこと】

  • 遺言書の有無の確認: まずは遺言書を探しましょう。遺産分割に関する故人の意思が記されている可能性があります。

  • 財産に関する重要書類の捜索: 預金通帳、銀行カード、不動産の権利証、株券、保険証券、年金手帳など、相続手続きに不可欠な書類は、片付けを始める前に必ず探して確保してください。

タンスや金庫、引き出しの中など、故人が大切に保管していた場所を、ご家族で協力して探すことをお勧めします。

 

2. 遺品整理業者との賢い付き合い方

「遺品整理は自分たちだけでは無理だ…」と感じたとき、専門の業者に依頼するのは非常に有効な選択肢です。しかし、一部には残念ながら、不当な高額請求や金品の持ち出しといった悪質な行為を行う業者も存在します。

安心して依頼するために、以下の3つのポイントを押さえて業者を選びましょう。

【1】「遺品整理士」の在籍を確認する 「遺品整理士」は、故人と遺族の気持ちに寄り添い、法律を遵守して適切な作業を行うための民間資格です。この資格を持つ従業員が在籍している業者は、信頼できる目安の一つとなります。

【2】「古物商許可」の有無を確認する 遺品整理業者の中には、故人の品物を買い取るサービスを提供している会社も多くあります。しかし、この「買い取り」には古物商許可が必須です。この許可を持たずに買い取りを行うことは法律違反となります。許可の有無は、その業者が法律を遵守しているかを見極める重要なポイントです。

【3】必ず複数の業者から見積もりを取る 一社だけでなく、複数の業者から相見積もりを取ることで、料金やサービス内容を比較検討することができます。極端に安すぎる、あるいは高すぎる見積もりには注意が必要です。

 

3. トラブルを避ける一番の秘策は「事前の整理」

それでも、やはりご不安な気持ちが残る方もいらっしゃるでしょう。そうした方にお勧めしたいのが、「ご家族である程度整理してから業者に依頼する」という方法です。

業者に依頼する前に、ご家族で協力して、以下のような作業を事前に済ませておきましょう。

  • 金品・貴重品・重要書類の回収: まずは現金や通帳など、お金に関わるものを確実に回収してください。

  • 思い出の品の選別: 写真、手紙、日記など、ご家族にとって大切な品は、事前に持ち出すか、業者に「絶対に処分しないでほしい」と明確に伝えておきましょう。

  • 大まかな仕分け: 「捨てるもの」「残すもの」を大まかに分類しておくことで、業者の作業量が減り、結果的に費用を抑えることにも繋がります。

このように事前に準備しておくことで、悪意のある業者による盗難リスクを最小限に抑え、また、ご自身にとって本当に大切なものと向き合う時間も確保できます。

 

最後に

遺品整理は、故人との思い出を整理する大切な時間でもあります。物理的な片付けだけでなく、心の整理も並行して進める必要があります。

ご実家の整理や相続手続きについてご不安な点、お困りの点がございましたら、お一人で抱え込まず、お気軽に当事務所にご相談ください。専門家として、皆様が安心して手続きを進められるよう、全力でサポートさせていただきます。

知っておきたい!意外な相続財産と見落としがちな手続き

相続というと、多くの方が現金や預貯金、不動産を思い浮かべるでしょう。しかし、財産はそれだけではありません。故人が残した意外なものも、相続の対象となることがあります。遺産分割や相続税申告で困らないよう、知っておくべきポイントを解説します。

 

1. 意外な相続財産の例

 

ゴルフ会員権・リゾート会員権

多くのゴルフ会員権やリゾート会員権は相続の対象です。ただし、会則によっては会員資格が失われる場合もあるため、事前に運営会社に確認が必要です。また、相続税の課税対象となり、取引相場や預託金の有無によって評価額が異なります。

 

著作権・特許権

故人が作家や発明家であった場合、著作権や特許権といった知的財産権も相続財産です。これらの権利は、今後も使用料やライセンス料を生み出す可能性があるため、その価値を正確に評価することが重要です。

 

仮想通貨

近年、問題となることが多いのが仮想通貨(暗号資産)です。故人が保有していた仮想通貨も相続財産となります。しかし、その存在やウォレットのパスワードが分からないと、相続人がアクセスできず、事実上「宙に浮いた財産」となってしまう可能性があります。

また、仮想通貨は価値の変動が激しいため、相続開始時(被相続人が亡くなった日)の価格で評価された後に、暴落してしまうリスクがあります。これにより、売却して得られる金額以上の相続税を支払う事態も起こり得るため、その扱いは慎重に行う必要があります。

 

漁協・農協の出資持分

漁業協同組合(漁協)や農業協同組合(農協・JA)に出資していた場合、その出資持分も相続財産です。ただし、株式会社の株とは異なり、組合員の地位は相続されません。相続人は出資持分の払い戻しをそれぞれの協同組合に請求する権利を相続することになります。

 

2. 相続財産ではないが手続きが必要なもの

 

iDeCo・企業型DC

iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC(企業型確定拠出年金)は、相続財産ではありません。これらは「みなし相続財産」として扱われ、相続税の課税対象となります。

死亡一時金を受け取るには、遺族が運営管理機関に請求手続きを行う必要があります。請求期限は故人の死亡から5年以内と定められており、期限を過ぎると受け取れなくなります。また、税制上の注意点として、死亡から3年以内に受け取った場合は、相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が適用されますが、3年を超えてから受け取ると、この非課税枠が適用されず、一時所得として所得税や住民税の課税対象となる可能性があります。

 

企業型DB・国民年金基金等

企業型DB(確定給付企業年金)や国民年金基金に加入していた場合も、遺族が受け取れる一時金があります。これらの制度からの死亡一時金は、みなし相続財産として扱われます。特に、通算企業年金制度では、年金を受け取る前の死亡でも一時金が受け取れる場合がありますので、確認が必要です。

 

故人が受給していなかった年金

故人が年金を受給できる年齢に達していたにもかかわらず、繰り下げ受給などの理由でまだ請求していなかった場合、その未支給の年金は相続財産ではありません。これは遺族が請求できる「未支給年金」として扱われます。遺族が年金事務所に請求することで、故人が生きていれば受け取れたはずの年金(死亡した月までの分)を受け取ることができます。

年金の受給権には時効があり、故人が亡くなった日の翌月から5年以内に手続きをしないと、権利が消滅してしまいます。また、受け取れる年金分は、死亡日までの期間分に加えて、過去5年間にさかのぼって請求することが可能です。

 

サブスクリプションサービス

故人が契約していたサブスクリプションサービスは、自動的に解約されません。料金の請求が続くため、遺族は故人のクレジットカード明細やメール履歴を調べて、一つひとつ解約手続きを行う必要があります。これは金銭的な価値のある「財産」というよりは、「デジタル遺品」として整理すべきものと言えるでしょう。

 

3. スムーズな相続のために

このように、相続財産は多岐にわたります。遺族が故人の残した財産をすべて把握し、適切な手続きを行うことは容易ではありません。特に、故人しか知らない情報(デジタルアカウントのパスワードなど)が多い現代では、より複雑になっています。

このようなトラブルを避けるために、生前にエンディングノートを作成し、財産の一覧や各種アカウント情報をまとめておくことをお勧めします。また、相続に関するご相談は、専門家である行政書士に依頼することで、手続きの負担を軽減し、円滑な相続を進めることができます。

相続財産の調査や名義変更の手続きでお困りの際は、お気軽にご相談ください。

故人の想いを繋ぐ「墓じまい」と相続の切っても切れない関係性

墓じまいは、お墓を撤去・解体し、墓地を管理者に返還することを指します。行政手続きは、主に以下の流れで進めます。

 

1. 埋葬されている遺骨の取り出しと改葬許可の申請

墓じまいを始める前に、まず現在お骨が埋葬されているお墓から取り出す必要があります。遺骨を別の場所へ移す「改葬」を行うために、行政手続きが必要になります。

  1. 「改葬許可申請書」を入手

    • 富山県高岡市の公式サイトで「改葬許可申請書」をダウンロードすることができます

  2. 必要書類の準備

    • 改葬許可申請書: 墓地の管理者と新しい受け入れ先の両方から署名・捺印をもらう必要があります。

    • 埋蔵証明書: 現在お骨が埋葬されている墓地の管理者に発行してもらいます。

    • 受入証明書: 新しいお骨の埋蔵先(お寺、霊園、納骨堂など)に発行してもらいます。

    • 申請者の本人確認書類: 運転免許証やマイナンバーカードなど。

  3. 改葬許可証の交付

    • 上記の書類を揃えて役所に提出し、問題がなければ改葬許可証が交付されます。


2. 墓石の撤去と墓地の返還

改葬許可証が交付されたら、墓石を撤去し、墓地を更地にする作業を行います。

  1. 石材店への依頼

    • お墓を撤去・解体する専門の石材店に作業を依頼します。この際、墓地の管理者が指定する石材店がある場合が多いので、事前に確認が必要です。

  2. 遺骨の取り出し

    • 石材店が墓石を撤去する際、改葬許可証を提示し、遺骨を取り出します。

  3. 墓地の返還

    • 墓地を更地に戻し、管理者に返還します。


3. 新しい場所への遺骨の埋蔵

新しい納骨先が発行した「受入証明書」を揃えて、高岡市役所の市民生活課に提出します。書類に不備がなければ、「改葬許可証」が交付されます。

取り出した遺骨を、事前に決めておいた新しい場所(お寺、納骨堂など)に埋蔵します。この時、発行された改葬許可証を新しい埋蔵先に提出します。

手続きの流れは地域や墓地の管理者によって異なる場合があります。

特に近年、少子高齢化や核家族化が進む中で、「お墓の承継者がいない」「遠方に住んでいてお墓の管理が難しい」といった理由から、お墓を整理する「墓じまい」の相談が増えています。今回は、相続と墓じまいの関係についてお話ししたいと思います。

 

墓じまいは「相続財産」ではない?

まず知っておいていただきたいのは、お墓(墓地利用権)や祭祀財産は、民法上の「相続財産」には含まれないということです。

お墓や仏壇、位牌などは、祭祀承継者が引き継ぐことになります。祭祀承継者は、故人様の指定があればその方が、指定がなければ慣習に従って、または家庭裁判所の調停・審判によって決められます。

つまり、遺言書で「長男にすべての財産を相続させる」と書かれていても、お墓は必ずしも長男が引き継ぐとは限らないのです。この点が、一般的な相続と墓じまいの手続きを複雑にする要因の一つとなります。

 

墓じまいには「親族間の合意」が不可欠

墓じまいは、単にお墓を撤去するだけの話ではありません。故人様やご先祖様の供養に関わる非常に重要な決断です。そのため、法的な義務はありませんが、トラブルを避けるために親族全員の合意を得ることが不可欠です。

特に、遺骨の移転先や費用負担について、親族間で意見が分かれるケースは少なくありません。事前に丁寧な話し合いを重ね、合意書を作成しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。

 

墓じまいの行政手続きは行政書士へ

墓じまいを行うには、「改葬許可申請」など、市区町村への複雑な行政手続きが必要です。

当事務所では、これらの手続きを代行し、皆様がスムーズに墓じまいを進められるようサポートしています。相続問題と合わせてご相談いただくことで、法的な側面だけでなく、ご家族の想いを尊重した最適な解決策をご提案いたします。

お墓のことでお悩みの方は、どうぞお気軽にやまもと行政書士事務所にご相談ください。

案外知らない葬儀費用についてお伝えします。

こんにちは、やまもと行政書士事務所です。

家族が亡くなり、覚悟はしていたものの一体どうすればいいのか?疑問がたくさんですよね。

ご家族が亡くなられた際、誰もが直面する「葬儀費用」「香典」「相続」という三つの問題。これらは複雑に絡み合っており、知識がないと後々のトラブルに発展する可能性があります。今回は、これらの関係を分かりやすく解説し、スムーズな手続きのためのポイントをお伝えします。

 

香典は誰のもの?

 

葬儀でいただく香典は、故人への弔意を示すとともに、葬儀の主催者である遺族への贈与とみなされます。そのため、法的には葬儀を執り行った「喪主」に贈られたものと解釈されるのが一般的です。

香典は故人の遺産ではないため、相続財産として他の相続人と分け合う必要はありません。

 

葬儀費用は誰が負担する?

 

葬儀費用は、原則として葬儀を主催した「喪主」の債務です。

しかし、実務上は、相続人全員の合意のもと、故人の預貯金など相続財産から支払われることが一般的です。これは、葬儀費用を相続税の計算で控除できることも理由の一つです。

特に注意が必要なのは、喪主が相続人でない場合です。この場合、故人の銀行口座から直接費用を引き出すことはできないため、喪主が立て替えた費用を後から相続人が精算するなどの対応が必要になります。

 

故人の銀行口座から葬儀費用を引き出す方法

 

喪主が故人の法定相続人であれば、故人の銀行口座が凍結されていても、「預貯金の仮払い制度」を利用して、葬儀費用を直接引き出すことができます。

この制度は、2019年の民法改正で新設されたもので、相続人全員の同意を待たずに迅速に費用を準備できる便利な仕組みです。

  • 引き出し上限額: 故人の預貯金残高と法定相続分に応じた金額、または150万円のうち低い方となります。

  • 必要書類: 故人や相続人の戸籍謄本、印鑑証明書などが必要です。

この制度を利用する際は、引き出した金額や使途を明確にし、領収書をすべて保管しておくことが大切です。

 

まとめ:トラブルを防ぐためのポイント

 

  • 香典は、原則として喪主のものであり、遺産には含まれません。

  • 葬儀費用は、原則として喪主の債務ですが、相続財産から支払うケースが多いです。

  • 喪主が相続人であれば、「預貯金の仮払い制度」で故人の口座から直接費用を引き出せます。

どの方法を選ぶにしても、最も大切なのは、家族や親族間で事前に十分に話し合い、合意を得ておくことです。葬儀や相続手続きでご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。

公正証書遺言を作る際、最も重要なのが「遺言能力」の確認です。公証役場で公証人からどのような質問をされるのか、またその確認がなぜ重要なのかを解説します。

1. 遺言能力の2つの要件

遺言が法的に有効であるためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。

  • 年齢の要件: 満15歳以上であること(親の同意は不要)。

  • 意思能力の要件: 遺言を作成する時点で、以下の3点を理解できる精神的な能力があること。

    1. 遺言の意味の理解: 自分の死後、法的な効力を持つ意思表示だと認識していること。

    2. 遺言内容の理解: 「誰に」「どの財産を」「どのくらい」与えるかを具体的に把握していること。

    3. 遺言結果の理解: 遺言によって、財産がどのように配分されるかを認識していること。

 

2. 公証人が行う「意思確認」とは?

公証人は、法律の専門家として、この「意思能力」を厳格に確認します。単に書類に署名・押印するだけでなく、遺言者と直接会って以下の点を多角的にチェックします。

  • 面談と質疑応答: 表情、言葉遣い、受け答えを通じて、意思疎通が可能か確認します。

  • 内容の確認: 遺言内容について、遺言者自身の言葉で説明できるか問いかけます。

  • 状況の確認: 遺言者が置かれている生活状況などを確認し、外部からの不当な影響を受けていないかを判断します。

 

3. 遺言能力が問題になりやすいケース

特に、以下のようなケースでは、遺言能力の有無が慎重に問われます。

  • 認知症(アルツハイマー病など)

  • 重い精神疾患(統合失調症や重度のうつ病など)

  • 重病による意識混濁

  • 薬物やアルコールの影響

 

4. 代理人が原案を持参した場合の注意点

代理人が遺言の原案を持ってきても、公証人が最終的に確認するのは遺言者本人の真の意思です。

もし、面談時に公証人が遺言者の認知機能に不安を感じた場合、手続きを中断して、医師の診断書や鑑定書の提出を求めることがあります。

 

5. なぜ医師の診断書が必要なのか?

証人は医学の専門家ではありません。医師の診断書は、遺言者の健康状態や認知機能に関する客観的な評価を提供してくれるため、公証人の判断を裏付ける重要な証拠となります。

診断書の要求は、将来的な相続争いを防ぎ、遺言の有効性をより確実にするための重要な手続きです。遺言者本人にとっては少し面倒に感じられるかもしれませんが、これは遺言を確実に執行させるために不可欠なステップなのです。

公正証書遺言は、公証人という専門家が関わることで、法的な有効性が高く、将来的な争いを防ぐ効果があります。多少の手間はかかりますが、ご自身の思いを確実に未来へ託すための、最も確実な方法の一つです。大切なご家族のために、公正証書遺言の作成を検討してみてはいかがでしょうか。

まさかの「無効な遺言書」に直面して

父はとても几帳面な性格でした。きっと遺言書も、法律に則ってきちんと調べて書くだろうと信じていました。ところが、父が遺した遺言書には日付がなく、母が銀行に持ち込んでも、法的には全く認められないものでした。

父は、まさか自分の死後に家族がもめることはないだろう、と楽観的に考えていたのかもしれません。それゆえに、細部まで詰めることなく、形式を欠いた遺言書になってしまったのだと思います。

「家族は仲が良いから大丈夫」という思い込み。これは、多くの方が遺言書作成をためらう大きな理由の一つです。しかし、どれほど仲が良くても、遺産を前にすると家族が対立するケースは決して少なくありません。

 

日本人が遺言書を書かないのはなぜ?

日本では昔から、「お金の話は下品」という考え方が根強く残っています。「清貧を美徳とする」という風潮も、お金や財産についてオープンに話すことを躊躇させてきました。特に、身内や親しい間柄で金銭的なことを話題にすることは、人間関係を損なう原因になると考えられがちです。

こうした文化的・心理的な抵抗感に加え、遺言書には法律で定められた厳格な形式があり、書き方を間違えると無効になる可能性があることも、作成を阻む要因となっています。

 

「死」を避ける文化から「未来」を考える文化へ

遺言書を作成する人の多くは70代以上とされています。定年退職でまとまった財産ができた時や、病気や高齢化で自身の身辺整理を考え始めた時など、人生の節目がきっかけになることが多いようです。

一方で、近年はNISAなどの新しい制度が注目され、特に若い世代ではお金に関する話題が以前よりオープンになりつつあります。これは、「人生100年時代」を見据え、自分の資産を守り、将来のために活かしていく必要性を感じているからです。

お金に対する意識は少しずつ変わってきていますが、まだ多くの高齢者は、遺言書を書くことは「死」を意識することにつながり、「縁起が悪い」と捉えがちです。しかし、遺言書は「死後の争いをなくし、大切な家族の未来を守るためのもの」と捉え直すことが重要です。

遺言書は、単に財産をどう分けるかを記す書類ではありません。それは、あなたが家族を想い、最期まで責任を果たそうとした証です。形式を整えておくことで、あなたの「想い」は法的に有効な「意思」となり、残された家族を守る力になります。

人生の最終章を穏やかに過ごすため、そして何より大切な家族が、あなたの死後に遺産を巡って争うことがないように、元気なうちにぜひ一度、専門家への相談を検討してみてはいかがでしょうか。

【実家で話そう】「うちは揉めない」は危険?円満な相続のために今できること

こんにちは。お盆休み、皆さんはどのように過ごされましたか?

富山高岡にも、県外からたくさんの帰省者が戻ってきています。我が家にも、東京で歯科医をしている息子が帰省し、久しぶりに家族で顔を合わせることができました。

「何食べたい?」と聞くと、返ってきたのは「お寿司!」という即答。さすがは"すし県"富山です。美味しいお寿司を囲んで話したいところでしたが、人気店はどこも長蛇の列で、今回は泣く泣く諦めることに。

そこで向かったのが、富山のソウルフード「8番らーめん」。ここもやはり混雑していましたが、懐かしい味に舌鼓を打ち、久しぶりの家族団らんを楽しみました。

さて、こうしてお盆に帰省し、歳を重ねた親と直接話す機会を持つと、「このままでいいのかな」と将来を考える方も多いのではないでしょうか。

「うちは揉めないから大丈夫」「遺言書なんて縁起でもない」

そう思っていても、親が亡くなり、いざ相続が始まると、今まで仲が良かった兄弟姉妹でも、それぞれの配偶者や家庭の事情が絡み合い、すんなりとはいかないものです。特に、不動産の相続は大きな悩みの種となります。すでに家を別に建てている方が多い今、実家をどうするかは大きな問題です。

 

財産は「開示」し、「意思」を残すことが大切

子にとって、親の財産は意外と知られていないものです。だからこそ、みんなが集まったお盆という貴重な機会に、財産について話し合うことをお勧めします。

そして、その話し合いの内容を、どの財産を、誰に渡したいかを「遺言書」として形に残すことが、家族が揉めないための最も有効な方法の一つです。

「うちは仲が良いから」と安心しているご家庭でも、いざお金を目の前にすると、欲しくなるのが人間です。それは自然な感情であり、だからこそ、親の意思を明確にしておくことが大切になります。

意外と知られていませんが、有効な遺言書がない場合、原則として法定相続分で分割されます。「お世話になった息子の嫁」や「可愛い孫(子供が生存している場合)」には、遺言書に記さないと相続権がないのです。

 

「安心してください。遺言書は何度でも書き換えられます」

遺言書は、一度書いたら終わりではありません。考えが変われば、何度でも書き直すことができます。

家族が集まるお盆だからこそ、将来の不安を解消するために、そして何より愛する家族の幸せのために、遺言書について話し合ってみてはいかがでしょうか。

愛するペットの将来について、万が一の事態に備えて考えたことはありますか?

私は大の動物好きで、小さな頃は動物園の飼育係になるのが夢でした。そして、物心ついた頃からずっと犬を飼い続けています。

実は、九州から富山へ嫁いだばかりの頃、知り合いもいない土地で、唯一の友達がわんこでした。ペットは本当に、家族そのものなんです。

私は時々泊りがけで家を空けるたびに、愛犬(黒柴)のまるちゃんのことが心配になります。夫に世話を頼んではいますが、「ご飯は食べさせてもらえたかな?」と不安になることも。

そして、ふと「もし自分に何かあったら、この子は一体どうなるんだろう」と心配になることがあります。

遺言書や負担付贈与など、ペットの世話を託す方法はいくつかあります。しかし、愛するペットを、ご自身の生前から死後まで、途切れなく確実に世話を託したいのであれば、近年注目されている「ペット信託」が最も有効な手段となります。

この記事では、ペットの世話を託す主な方法とその違いを解説します。

 

1. 負担付贈与と遺言書による負担付贈与

負担付贈与は、財産を贈与する代わりに、特定の負担(例えばペットの世話)を負ってもらう契約です。これを遺言書に記載したものが「遺言書による負担付贈与」となります。

  • 効力の発生時期: ご自身の死後に初めて効力が発生します。そのため、ご自身の生前に、病気や高齢でペットの世話ができなくなった場合は対応できません。

  • メリット:

    • 遺言書に記載することで、口約束よりも法的効力と確実性が高まります。

    • 遺言執行者を指定しておけば、その執行者が遺言の内容を確実に実行してくれます。

  • デメリット:

    • 効力がご自身の死後にしか発生しないため、生前のリスクには対応できません。

    • 遺贈を受けた人が負担(ペットの世話)を怠った場合、強制的に履行させるのが難しい場合があります。

 

2. ペット信託

ペット信託は、ご自身(委託者)の財産を信頼できる人(受託者)に託し、ペットの世話という目的のために管理・運用してもらう仕組みです。信託契約はご自身の生前に締結されます。

  • 効力の発生時期: 契約の締結時から効力が発生し、ご自身の生前から死後まで継続します。

  • メリット:

    • 連続したお世話: ご自身の体調や生活環境の変化に関わらず、愛するペットんの世話を確実に継続できます。

    • 強力な法的強制力: 受託者は契約内容を遵守する義務を負い、違反した場合は責任を追及される可能性があります。

    • 監督人による監視: 監督人を指定することで、受託者が義務を怠っていないか監視してもらうことができ、より安心です。

    • 財産の確実な管理: 信託された財産は、ペットの世話という目的にのみ使われるよう厳密に管理されます。

 

3. 生前贈与契約との違い

ご自身の生前に行う贈与契約には、「通常の生前贈与契約」と「死因贈与契約」があります。

  • 通常の生前贈与: 契約締結時に財産が移転します。

  • 死因贈与契約: 契約自体は生前に結びますが、効力はご自身の死亡時に発生します。つまり、ペットの世話を死後に託す目的で結んだ契約は、ご自身が亡くなったことで初めて実行される段階に入るのです。

ご自身の生前から亡くなった後まで、愛するペットの世話を途切れなく、そして確実に託したいのであれば、ペット信託が最も有効な手段と言えるでしょう。遺言書や負担付贈与では対応できない、生前のリスクにも備えることができるからです。

ご自身の状況に合わせて、専門家と相談しながら、最適な方法を検討されることをお勧めします。

遺言における特定団体への寄付と相続人

遺言書に寄付の記載があったら?遺言執行者の役割と注意点

遺言書に特定の団体への寄付(遺贈)が記載されている場合、その遺言書に「遺言執行者」が指定されていれば、その役割は非常に重要です。遺言執行者は、亡くなった方の最後の意思である遺言書の内容を確実に実現するための手続きを行う人物です。

 

遺言執行者の義務と相続人の同意

遺言執行者には、遺言書に記載された通りの寄付手続きを行う義務があります。たとえ相続人全員がその内容に反対したとしても、遺言執行者は独自の判断で寄付の項目を無効にすることはできません。遺言者の意思は法的に尊重されるため、遺言執行者はその意思を忠実に執行する職務を負います。遺言執行者がいる場合、遺言の内容と異なる遺産分割協議を行うには、相続人全員の同意に加え、遺言執行者の同意も必要となります(民法第1012条)。遺言執行者が相続人の意向に沿って寄付を中止したり、内容を変更したりすることは、その職務を正当に果たしたことにはなりません。

 

遺留分を侵害している場合の対処法

もし寄付の内容が法定相続人の遺留分(いりゅうぶん)を侵害している場合、法定相続人は、寄付を受けた団体に対して、侵害された遺留分に相当する金銭の支払いを請求できます。この「遺留分侵害額請求」は、相続人固有の権利です。

また、遺言書で相続人以外の人に遺贈がされている場合は、その遺贈を受ける人(受遺者)の同意がなければ、遺言書と異なる遺産分割を行うことはできません。

 

遺言書は、故人の最後の意思を尊重するための大切な書類です。しかし、遺言執行者の役割や、遺留分などの専門的な知識がないと判断が難しい場面も少なくありません。

トラブルを未然に防ぎ、故人の意思を正しく尊重するためにも、遺言書の作成時や、遺言内容に疑問が生じた際には、安易な自己判断をせず、専門家に相談することをお勧めします。専門家の力を借りることで、故人の想いを尊重しつつ、相続人全員が納得できる解決策を見つけることができるでしょう。

今回は、この二つの違いと、勘違いが招くリスクについて解説します

相続財産に借金が含まれている場合、相続人はその借金を引き継ぐことになります。しかし、これを回避するための方法として、「相続放棄」と「相続辞退」という二つの言葉が使われることがありますが、この二つは全く異なるものです。

 

相続放棄は、法律で定められた正式な手続きであり、必ず家庭裁判所に申し立てる必要があります

この手続きが完了すると、相続人はその相続に関して初めから相続人ではなかったものとみなされます。これにより、プラスの財産(預貯金、不動産など)だけでなく、負の財産(借金など)も一切引き継がなくなります。

  • 期限: 相続放棄には「相続があったことを知った日から3ヶ月以内」という期限があります。

  • 証明: 手続きが完了すると、家庭裁判所から「相続放棄申述受理証明書」が発行されます。これを債権者や法務局、金融機関へ提出することで、正式に相続放棄したことを証明できます。

 

「相続辞退」は法的な効力がない

一方、「相続辞退」は、法律上の用語ではありません。相続人同士の話し合いの中で「私は財産はいらない、放棄するから貴方たちで分けて。」などと意思表示する行為に過ぎず、法的な効力はありません。

このような合意は、あくまで相続人の間でのみ有効であり、債権者に対しては主張できません。そのため、債権者から借金の返済を求められた場合、辞退した人にも法律で定められた相続分に応じた返済義務が生じる可能性があります。

  • 遺産分割協議書への記載: 遺産分割協議書に「相続分を辞退する」旨を記載し、辞退した相続人も署名・押印します。

  • 注意点: 遺産分割協議書に「放棄する」と記載したとしても、それは法的な「相続放棄」とはなりません。この点を混同してしまうと、自分は借金から免れることができないという重大なリスクを負うことになります。

このように、相続には複雑な法律が関係してきます。安易な自己判断で行動するのではなく、専門家に相談するなどして、正しい手続きを理解することが大切です。

尊厳死という言葉を聞いたことはありますか?

これは、回復の見込みがない末期状態に陥った際、本人の意思に基づいて、過度な延命治療を避け、自然な形で穏やかな最期を迎えることを希望する意思表示です。

「安楽死」と混同されがちですが、安楽死は薬物などを用いて意図的に死を早めること。日本では法的に認められていません。尊厳死はあくまで、自然な死を受け入れるための選択です。

尊厳死宣言書は、もしもの時に備え、あなた自身の「死の迎え方」を家族や医療従事者に明確に伝えるための、非常に大切なツールなのです。

 

「尊厳死宣言公正証書」がもつ3つの大きな力

尊厳死の意思を伝える方法として、最も確実なのが「公正証書」にすることです。公正証書とは、公証人が作成する公的な文書であり、高い証明力を持ちます。この公正証書には、以下の3つの大きな力があります。

力1:あなたの意思を「公的に証明」する力

公正証書は、公証人があなたの意思能力を直接確認した上で作成されるため、法的に非常に強い証明力を持ちます。これにより、将来的に家族や親族間で意見が対立したり、意思が不明確だと疑われたりするトラブルを未然に防ぐことができます。

力2:家族の「重い決断」を軽くする力

もしもの時、家族は「延命治療を続けるべきか、やめるべきか」という、非常に重く、つらい決断を迫られます。尊厳死宣言公正証書があれば、あなたの明確な意思が示されているため、家族はその決断を自信を持って下すことができます。これは、愛する家族への最後の思いやりと言えるでしょう。

力3:医療現場における「高い信頼性」

医療現場では、法的に有効な文書である公正証書は尊重される傾向にあります。日本尊厳死協会の調査によると、リビング・ウィルを提示された医師の9割以上がその意思を尊重したというデータもあります。しかし、残念ながら、すべての医療機関で必ずしも従わなければならないという法的な強制力はまだありません。それでも、公正証書にすることであなたの意思は最大限尊重される可能性が高まります。

尊厳死宣言公正証書は、ご自身の最期を「自分らしく」過ごすための、確かな準備です。ご興味がある方は、ぜひご相談ください。

見出し人生の最期を考えるとき、誰もが「誰にも迷惑をかけたくない」と願うものです。

最新のアンケート調査では、「最もなりたくない病気」として、多くの方が「がん」と並んで「認知症」を挙げています。その理由は、認知症が自分自身の尊厳を脅かすだけでなく、残された家族に大きな負担をかける可能性があるからです。

特に大きな問題となっているのが、認知症による「資産凍結」です。

日本銀行の最新統計(2025年3月末時点)によると、日本の個人金融資産は2,195兆円に上ります。そして、三井住友信託銀行の推計では、2020年時点で認知症高齢者が保有する資産総額は約250兆円、2030年には200兆円から220兆円に達し、日本の個人金融資産の約1割に相当すると見込まれています。

これら巨額な資産が、本人の判断能力低下により「凍結」してしまうリスクは、もはや他人事ではありません。

この記事では、認知症による資産凍結の対策としてよく耳にする「成年後見制度」「代理人カード」「遺言書」に加え、近年注目されている「家族信託」について、そのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。


 

認知症で資産が凍結するとは?

認知症になると、本人の意思確認が難しくなるため、銀行は不正な引き出しを防ぐ目的で、たとえ家族であっても預金の引き出しや解約などの手続きを制限します。これが「資産凍結」です。

身体的な理由で寝たきりになった場合も、本人が窓口に行けず意思表示が困難なため、実質的に同じ状況に陥る可能性があります。これにより、医療費や介護費の支払いが滞るなど、本人の生活に支障をきたす恐れがあります。

 

資産が凍結された場合の対処法

資産が凍結されたの解決策は、基本的に「成年後見制度」しかありません。

 

成年後見制度

認知症などで判断能力が不十分になった人を法的に支援する制度です。家庭裁判所が後見人を選任し、後見人が本人の財産を管理します。

  • メリット:本人の財産が法的に保護され、生活や医療の安心が確保されます。

  • デメリット後見人には専門家が選ばれることが多く、報酬が発生します。

    • 財産管理の自由度が低く、本人の財産を積極的に運用することはできません。

    • 親族が後見人になれる確率は、全国平均で約2割にとどまっています。

成年後見制度は強力な仕組みですが、「本人の判断能力が低下したに、家庭裁判所が介入する」という性質上、本人の意向が十分に反映されないことがあります。

 

認知症になる前にできる対策

そこで、認知症になるの元気なうちに、将来に備えることが重要です。

 

代理人カード

多くの銀行で、本人の同意があれば家族名義のキャッシュカードを発行できます。 北陸銀行、富山銀行、北國銀行、富山第一銀行、ゆうちょ銀行でも、ご本人が窓口で手続きを行うことを前提に発行が可能です。

  • メリット:ごく少額の生活費などを引き出す際に便利です。

  • デメリット本人の判断能力が低下した後は、不正防止のため利用停止されることがほとんどです。認知症になる前の段階での利便性を高めるためのものであり、認知症による「資産凍結」の抜本的な対策にはなりません。

 

遺言書

ご自身の死後、財産を誰にどのように引き継がせるかという「相続」のルールを定めます。 「予備的遺言」を活用すれば「私の有する財産すべてを妻〇〇に相続させる。ただし、妻〇〇が私よりも先に死亡したときは、長男△△に相続させる。」といった二世帯にわたる承継も可能です。(あくまで、相続時のお話し)

  • メリット:死後(相続時)の財産承継の意思を明確にできます。

  • デメリット生前の判断能力低下による資産凍結には一切対応できません。また、 遺言書は、財産を引き継いだ後の管理まではコントロールできないのです。

 

家族信託

近年注目されているのが、この「家族信託」です。 これは、ご自身(委託者)が元気なうちに、将来の財産管理と承継のルールを定めて、信頼できる家族(受託者)に財産を託す仕組みです。

家族信託の考え方

  • 目的: 財産を「託すこと」

  • 信託契約の目的:例えば「夫の死後、妻の生活費・介護費用に充てるため」

    • 信託財産:預貯金や不動産など

家族信託の3つの登場人物

  • 委託者:財産を託す人(夫・妻など)

  • 受託者:財産を管理・運用する人(子どもなど)

  • 受益者:信託財産の利益を受け取る人(夫・妻など)

この契約は、公正証書などの法的な書面で結び、不動産は「信託登記」を行うことで法的な拘束力が生まれます。

  • メリット

    • 生前と死後の両方をカバー:ご本人が認知症になっても、受託者が契約に基づいて財産管理を継続できます。(株式・有価証券の運用、売買。賃貸不動産の管理、契約、更新、修繕等、定期預金の手続き…。)

    • 柔軟な財産管理:成年後見制度と違い、自宅の売却や不動産の建て替えなど、積極的な資産活用も可能です。

    • 長期的な承継:「妻が亡くなった後も信託を継続し、財産を子どもに引き継がせる」といった、二世代、三世代にわたる円滑な財産承継が可能です。

  • デメリット

    • 専門的な知識が必要:契約内容が複雑なため、専門家のサポートが不可欠です。

    • 親族間の合意が前提:家族全員が納得して手続きを進める必要があります。

ここまで、認知症による資産凍結のリスクから、それを回避するための様々な対策についてお話してきました。

ご自身の財産をどうしたいか、そして何よりも、ご自身の「未来の安心」と、残される「家族の負担軽減」をどう両立させるか。この問いに向き合うことが、最も重要であると私たちは考えます。

遺言書は「死後の承継」に備える素晴らしい手段ですが、生前のリスクには対応できません。一方、家族信託は「生前からの財産管理」と「死後の円滑な承継」を両立できる、より包括的な備えです。

どちらの選択があなたにとって最適かは、ご家族の状況や財産の内容によって異なります。しかし、共通して言えるのは、「元気なうちに行動すること」の大切さです。

このブログが、ご自身と大切な家族の未来を考えるきっかけとなり、一歩踏み出す勇気を与えることができれば幸いです。もしご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

見出しなぜ「デジタル遺産」の整理が今、必要なのか?

活というと、遺言書や相続、お墓のことをイメージしがちですが、現代ではもう一つ、見過ごせない大切な準備があります。それが「デジタル遺産」の整理です。

もし、あなたが突然亡くなったとしたら、ご家族はあなたの「デジタル」な世界をどうやって整理すれば良いか、途方に暮れてしまうかもしれません。

  • パソコンやスマートフォンのデータ

  • 月々の支払いが続くサブスクリプションサービス

  • 大切に貯めた各種ポイント

  • ネット銀行やネット証券の口座

これらは、IDやパスワードが分からなければ、処分も解約も、引き継ぎも非常に困難になります。

パソコンやスマホのデータ類

パスワードやパスコードが分からなければ、ご家族はあなたの端末を開くことすらできません。その中にある、財産に関する重要なデータや、ご家族との大切な思い出の写真なども、見ることができないままになってしまいます。もし重要なデータがあれば、後でご家族が分かるように、USBメモリーに残し、保管することをお勧めします。

見過ごしがちな「サブスクリプション」の罠

以前、相続のお手伝いをさせていただいた際、故人様がネットフリックスなどのサブスクリプションサービスに加入されていました。とても便利なサービスですが、IDやパスワードが分からず、解約に大変な手間と時間がかかった記憶があります。クラウドサーバーなどの各種ネットサービスや、月額課金されるアプリも同様です。契約を解約しない限り、故人様が亡くなられた後も課金され続けてしまいます。

「ネット銀行・ネット証券」の落とし穴

従来の銀行口座とは異なり、ネット銀行はセキュリティが厳重で、IDやパスワードがなければアクセスできません。ネット証券をご利用されていた方の相続業務は、特に多くの時間を要しました。また、クレジットカードの明細書から、何に支払っているか一つ一つ確認し、全てのサービスを解約しなければ、クレジットカードの解約もできません。

 

今からできる「デジタル終活」の第一歩

これらの問題を避けるために、まずは以下のことから始めてみませんか。

  • デジタル資産のリストアップ: 利用しているサービス(銀行、証券、サブスク、ポイントなど)を全て書き出してみましょう。

  • パスワード管理: IDやパスワードを紙のノートや専用のツールで一覧にして管理します。パスワード自体は直接書かず、ヒントや保管場所をエンディングノートに記す方法も有効です。

  • 不要なサービスの整理: そもそも使っていないサービスは、定期的に見直して解約しましょう。

「いつかやろう」ではなく、今日からできる小さな一歩が、ご自身の安心と、残されたご家族の負担を大きく軽減します。

「一人ではそもそもどこから手をつけていいのか分からない」と悩んでいらっしゃる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

終活は、決して「死」の準備ではありません。それは、あなたの人生の集大成を「あなたらしく」デザインし、残されるご家族が安心して未来へ進めるよう、最高の「ありがとう」を遺すための、未来に向けた大切な準備です。

この記事では、そんな「家族へのありがとう」を形にするための3つのツール、エンディングノート、遺言書、そして人生会議を、それぞれ単独で考えるのではなく、連携させて活用するメリットと具体的な方法をご紹介します。

 

1. なぜ「家族へのありがとう」を形にするのか?

私たちは皆、人生のどこかで「もしも」の時に直面する可能性があります。その時、最も心を痛め、困惑するのは、あなたを大切に思うご家族です。

  • 遺族の心労軽減: どこに何があるか分からない、故人の希望が分からないといった状況は、大切な人を失った悲しみに加え、大きな精神的・事務的負担となります。

  • 「言った、言わない」のトラブル防止: 財産の分け方や医療の希望などで、ご家族の間で意見の食い違いが生じるリスクを減らします。

  • あなたの意思の尊重: ご自身の希望を明確にしておくことで、最期まで「あなたらしい」生き方が実現されます。

この「ありがとう」を形にする準備こそが、残されたご家族にとっては何よりも大きな「安心」となるのです。


 

2. 「終活の三種の神器」それぞれの役割を理解する

まずは、それぞれのツールの役割を明確にしましょう。これらは互いに補完し合う関係にあります。

  • エンディングノート:【情報整理と想いの伝達役】

    • 役割: 法的効力はありませんが、あなたのあらゆる情報を整理し、ご家族への想いを自由に書き残せる「個人的な情報ブック」です。

    • 内容: 財産情報(銀行口座、保険、不動産など)、医療・介護の希望、葬儀の希望、デジタル遺品の情報、家族へのメッセージ、ペットの世話など、多岐にわたります。

    • 強み: 形式の自由さ、感情的なメッセージを伝えやすい。

  • 遺言書:【財産分配の法的決定役】

    • 役割: 民法で定められた形式に従って作成することで、法的な効力を持ち、財産を誰にどのように引き継ぐかを明確に指定できます。

    • 内容: 財産の分与方法が主な内容です。相続人以外への遺贈や、遺産の公平な分配に特に重要です。

    • 強み: 法的拘束力があり、遺産分割トラブルを未然に防ぎ、スムーズな相続手続きを可能にします。

  • 人生会議(ACP):【医療・ケアの希望を対話する場】

    • 役割: あなたが将来、意思を伝えられなくなった時に備えて、どのような医療やケアを受けたいか、どんな最期を迎えたいかを、家族や医療・介護の専門家と繰り返し話し合い、共有するプロセスです。

    • 内容: 延命治療の希望、緩和ケア、どこで過ごしたいか(自宅、病院など)、大切にしている価値観など。

    • 公正証書で尊厳死宣言する。

    • 強み: 状況の変化に応じて柔軟に意思を確認・更新でき、医療現場での判断に役立ちます。


 

3. 「ありがとう」を最大化する連携活用術

これら3つのツールを個別に考えるのではなく、互いに連携させることで、あなたの「ありがとう」のメッセージをより確実に、そして多角的に伝えることができます。

 

連携術①:エンディングノートを「人生会議」の準備書として活用

  • 活用法: まずはエンディングノートに、ご自身の医療・介護の希望や、人生で大切にしていることなどを書き出してみましょう。それが、ご家族や医療者と「人生会議」を行う際の、具体的な話し合いの「叩き台」となります。

  • メリット: 漠然とした話し合いではなく、具体的なテーマを持って人生会議に臨めるため、深い対話が生まれます。

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連携術②:遺言書で「法的なありがとう」を、エンディングノートで「心のありがとう」を

  • 活用法: 遺言書では法的に財産の分配を指定し、遺族間の争いを防ぎます。一方で、遺言書には書けない個人的な想いや、感謝のメッセージ、デジタル遺品の情報などはエンディングノートに詳しく記します。

  • メリット: 法的な手続きはスムーズに進み、同時にあなたの温かい気持ちや、残された家族が困らないための細かな配慮も伝わります。

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連携術③:人生会議の合意内容をエンディングノートに記録する

  • 活用法: 人生会議で話し合い、合意した医療・ケアに関する希望内容は、エンディングノートの該当箇所に具体的に記録しておきましょう。

  • メリット: 医療現場でエンディングノートが参照される際、あなたの意思がより明確に伝わりやすくなります。また、話し合いの経緯が記録されることで、ご家族も「本人の意思だ」と確信を持てます。

 

連携術④:定期的な見直しで「今」の気持ちを反映

  • 活用法: 人生や病状は変化するものです。これらのツールは一度書いたら終わりではなく、数年ごと、あるいは大きなライフイベントがあった際に、ご家族との「人生会議」を再度開き、エンディングノートや遺言書の内容も適宜見直しましょう。

  • メリット: 常に「今」のあなたの意思を反映させることができ、後悔のない終活に繋がります。


エンディングノート、遺言書、そして人生会議は、それぞれ異なる役割を持つ大切なツールです。これらを賢く連携させることで、あなたの「ありがとう」という想いを、残されるご家族への確かな「安心」と「導き」に変えることができます。

「どこから始めればいいか分からない」「複雑そうで一人では不安だ」と感じる必要はありません。私たちのような専門家は、終活全般のサポートを提供しています。

富山県高岡市を中心に、あなたの「ありがとう」の気持ちがご家族に届くよう、そしてご家族が安心して未来へ進めるよう、きめ細やかなサポートをさせていただきます。お気軽にご相談ください。

人生会議は、自分らしい最期をデザインする未来の対話

. 1.はじめに:訪問歯科で見た「ご家族の葛藤」と「病状の現実」

  • 共感と導入: 訪問歯科の現場で、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、進行性の難病と闘う患者さんと、そのご家族の姿を数多く見てきました。病状が少しずつ進行していく中で、何とか患者さんに寄り添い、最善を尽くそうと奮闘されるご家族の姿は、計り知れない努力と葛藤の連続だったことでしょう。

  • 問題提起: その中で、多くの患者さんに共通して見られたのが「嚥下(えんげ)障害」です。食べ物や飲み物をうまく飲み込めなくなり、それが原因で「誤嚥(ごえん)」を起こし、肺炎を併発して入退院を繰り返すケースが少なくありません。実を言うと、この「誤嚥性肺炎」は、日本人の死因の6位に挙げられる病気の一つなのです。 厚生労働省の「人口動態統計」主な死因の構成割合(令和6年)

  • 解決策の提示: 進行性の病気は、個人差はあれど、徐々に身体機能が低下していきます。だからこそ、まだ意思表示が明確にできる「その時」が来る前に、「人生会議(アドバンス・ケア・プランニング:ACP)」を開き、ご自身のあり方やご家族との関わり方について、じっくり話し合うことが何よりも大切なのです。


2. 「嚥下障害・誤嚥性肺炎」の影:進行性疾患と向き合う現実

  • 病気の進行: パーキンソン病やALSのような神経難病は、徐々に神経細胞が破壊され、身体の機能が低下していく特徴があります。初めは小さな変化でも、時間の経過とともに日常生活に大きな影響を及ぼします。

  • 嚥下障害のリスク: 特に、食べ物を飲み込むための筋肉や神経がうまく機能しなくなり、「嚥下障害」が起こりやすくなります。これにより、飲食物が誤って気管に入ってしまう「誤嚥」が頻繁に発生し、口腔内の細菌が肺に入り込むことで「誤嚥性肺炎」を繰り返すことになります。

  • ご家族への影響: 患者さんの状態が進行するにつれて、介護の負担は増大し、ご家族は身体的、精神的、そして経済的な面でも大きな重圧を抱えることになります。「どこまで治療を続けるべきか」「どんなケアが最善か」といった重い選択を迫られることも少なくありません。


3. なぜ今、「人生会議(ACP)」が必須なのか?

  • 「今」だからこそできること: 進行性の病気の場合、時間が経つほどご自身の意思を明確に伝えられなくなるリスクが高まります。まだ意思表示がはっきりできる「今」だからこそ、ご自身の希望や価値観を家族や医療・介護関係者と共有し、具体的な計画を立てることが重要です。

  • 「人生会議」とは: 終末期医療やケアに関するご自身の希望を、家族や医療・介護の専門家と繰り返し話し合い、共有するプロセスです。これは一度で終わるものではなく、病状や状況の変化に応じて見直していくものです。

  • 話し合うべき具体的な内容:

    • 「私のあり方」: どのような医療やケアを受けたいか(延命治療の希望、望まない医療行為、痛みのコントロールなど)、どこで最期を過ごしたいか(自宅、病院、施設)、人生で何を一番大切にしているか。

    • 「家族のかかわり方」: ご家族にどこまで判断を委ねたいか、ご家族にどのような負担をかけたくないか、どんな最期を共に迎えたいか。

    • 必要に応じて、尊厳死宣言公正証書や任意後見契約など、具体的な法的準備に繋げることも検討できます。​​

 

4. 富山で人生会議を進めるために:専門家と共に

  • ご家族だけでこの重いテーマを抱え込む必要はありません。富山県には、医療・介護の専門家や、私たち行政書士のような法律の専門家がいます。

  • 人生会議は、単に延命治療の是非を決めるだけでなく、ご自身の価値観や生き方を再確認し、大切な家族との絆を深める機会でもあります。

訪問歯科での経験から、私は患者さんとご家族の「もっと早く話し合っておけば…」という声にならない想いを何度も感じてきました。人生会議は、決して「死」を語ることだけではありません。それは、「自分らしい生き方」の最後までをデザインし、大切な家族との絆を深める「未来のための話し合い」です。

富山県で「人生会議」を始めたいけれど、どう切り出せばいいか分からない、話し合いの進め方に不安がある、あるいは具体的な法的準備について知りたい。そんな時は、いつでもお気軽にご相談ください。あなたの「想い」と「安心」を形にするお手伝いをさせていただきます。

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尊厳死宣言は、遺言書作成と同時に行うことで、ご自身の「もしも」と「その先」の安心を一度に形にできます。

尊厳死宣言とは? もしもの時の「あなたの意思」を明確に

「尊厳死宣言」とは、あなたが将来、回復の見込みがない末期状態に陥った際、いたずらに生命を長らえさせるための延命治療を拒否し、人間としての尊厳を保ちながら穏やかに死を迎えたいという意思を、事前に表明しておくことです。

この意思表示は、もしもの時にあなたが望まない医療行為で苦しむことを避け、ご家族が延命治療に関する重い決断を迫られる負担を軽減します。また、医療現場にとっても、患者さんの明確な意思があることで、安心して医療を提供しやすくなります。

 

尊厳死宣言は「公正証書」にするのが安心な理由

尊厳死宣言は私的な文書でも可能ですが、最も確実で法的に強い証拠能力を持つのは「尊厳死宣言公正証書」として作成することです。

【公正証書にするメリット】

  • 本人の意思を明確に証明: 公証人が直接本人から意思を確認し作成するため、「本人の意思ではなかった」といった争いを防ぎます。

  • 紛失・偽造のリスクが低い: 原本が公証役場に保管されるため、紛失の心配がなく、偽造のリスクも極めて低いです。

  • 医療現場での高い信頼性: 公正証書であれば、医療機関も安心してあなたの意思に従いやすくなります。

尊厳死宣言公正証書には、延命治療の拒否だけでなく、苦痛緩和措置の希望、家族や医療関係者への免責、そして宣言の撤回可能性などを記載します。

 

救急現場での対応と、尊厳死宣言の意思を伝える対策

尊厳死宣言をしていても、救急車で運ばれた場合、救急隊員は原則として救急蘇生措置を開始します。これは、現場で患者さんの病状や宣言の有効性を瞬時に判断することが困難なためです。

しかし、あなたの尊厳死の意思を尊重してもらうための対策はあります。

  • 公正証書の携帯と周知: 尊厳死宣言公正証書のコピーを常に携帯し、家族やかかりつけ医にもその存在と保管場所を共有しましょう。

  • ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の活用: 将来の医療やケアについて、ご家族や医療専門家と話し合い、あなたの意思を深め、共有する「人生会議」を行うことも大切です。

  • かかりつけ医との連携: 普段から診てもらっている医師に延命治療を望まない意思を明確に伝え、カルテに記載してもらいましょう。これにより、病院に搬送された際に情報がスムーズに共有されやすくなります。

  • DNAR/DNRオーダー(医療機関内で医師と合意): 終末期医療の段階にある場合、医師と相談し、具体的な蘇生措置を行わないよう依頼する指示を出すことも可能です。


 

尊厳死宣言は、ご自身の「人生の最期」をどのように迎えたいかという、非常に個人的で大切な意思表示です。また、遺言書はあなたの財産に関する最終的な意思を明確にし、残されたご家族の「争続」を防ぐための重要な手段です。

このように、尊厳死宣言と遺言書は、それぞれ異なる目的を持ちながらも、あなたの生前から死後にかけて、切れ目なく「想い」と「安心」を繋いでいくための大切な準備となります。

特に、相続人がいらっしゃらない方は、ご自身の判断能力が低下した際の支援(任意後見契約)から、ご逝去後の事務手続き(死後事務委任契約)、そして財産の行方(遺言)まで、包括的に備えておくことで、最大限の安心を得られます。

どこから手をつければ良いか分からない、自分の場合はどうすれば良いのか、そんな時はどうか一人で悩まず、お気軽にご相談ください。あなたの「もしも」と「その先」の安心を、一緒に形にするお手伝いをさせていただきます。

【徹底比較】遺言・任意後見・死後事務委任|時系列でわかる終活の全貌

これらの契約や制度は、ご自身が元気なうちに準備しておくことで、「もしも」の時や「亡くなった後」の不安を解消し、大切なご家族やご親族の負担を軽減するためのものです。

 

1. 任意後見契約(にんいこうけんけいやく)とは?

  • 目的: ご自身が将来、身体保護(または身上監護)・財産管理に関する事務を委任する契約です。

  • 効果が始まる時期: ご自身の判断能力が低下し、なおかつ、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任した時点から、任意後見契約の効力が発生します。ご本人が生きている間(判断能力が低下した後)の財産管理や身体保護(または身上監護)が主な目的です。

 

2. 死後事務委任(しごじむいにん)契約とは?

  • 目的: ご自身が亡くなった後に発生する様々な事務手続き(葬儀・埋葬に関する手続き、医療費や公共料金の精算、家財道具の処分、行政への届出など)を、あらかじめ信頼できる人(受任者)に委任する契約です。

  • 効果が始まる時期: ご本人の「死後」に効力が発生します。通常、相続人が行うべき手続きですが、相続人がいない場合や、相続人に負担をかけたくない場合に有効です。

 

3. 遺言(いごん)とは?

  • 目的: ご自身が亡くなった後に、誰にどの財産をどれだけ渡すか(遺産分割の指定)などを法的に有効な形で意思表示するものです。

  • 効果が始まる時期: ご本人の「死後」に効力が発生します。主に財産の承継(誰が何を相続するか)について定めます。


  • このように、遺言、任意後見契約、そして死後事務委任契約は、それぞれ異なる時期と目的で効力を発揮し、あなたの生前から死後にかけて、切れ目なく「想い」と「安心」を繋いでいくための大切な準備となります。

    ご自身の希望や状況に合わせて、適切な準備を進めることが何よりも重要です。

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    複数の契約を同時に進めるメリット

    これらの契約は、個別に考えることもできますが、同時に進めることで、よりスムーズで包括的な備えが可能です。

    • 遺言書と死後事務委任契約を一緒に: 財産を誰にどう遺すかという「想い」を遺言書に記し、その後の葬儀や手続きといった「事務」は死後事務委任契約で明確にしておくことで、残されたご家族の負担を大きく減らせます。

    • 任意後見契約と死後事務委任契約を同時に: 特に、相続人がいらっしゃらない方にとっては、この組み合わせは非常に重要です。ご自身の判断能力が低下した際の財産管理や身体保護(任意後見)から、ご逝去後の葬儀、各種精算、遺品整理まで(死後事務委任)を、同じ信頼できる人に託すことができます。こ

     

    困った時は、お気軽にご相談ください

     

    これらの制度は複雑に感じるかもしれません。どこから手をつければいいのか、自分には何が必要なのか、どう準備を進めればいいのか、わからないこともあるでしょう。

    そんな時は、どうか一人で悩まず、お気軽にご相談ください。あなたの「もしも」と「その先」の安心を、一緒に形にするお手伝いをさせていただきます。

 

相続のことって、遠い未来の話だと思っていませんか?

「有効な遺言書がない場合の相続は法定相続分になる」と、なんとなく分かっていても、実際にその時が来ないと、なかなか身をもっては分からないものです。人はつい、ぼんやりとやり過ごしてしまうものですよね。

ただ、いざ相続となれば、残された相続人は、目の前の財産に心がざわざわしてくるものです。これは本来、ごく自然な感情です。その時、もし故人様が「あー、あの子には特別世話になったのに、他の相続人と同じ取り分になってしまった…」と、あの世からどんなに大きな声をあげても、残念ながらもう届きません。

また、もしお子さんもいらっしゃらない独り身で、他に相続人がいない場合はどうでしょう? その財産は最終的に国の一般会計に入り、ご自身の意図しないところで使われてしまうかもしれません。


 

なぜ遺言書は「たった1割」しか用意されていないのか?

 

現在、日本で遺言書を用意してある方は、なんと約1割程度と言われています。

日本には最近まで、死後のことや財産について口にすることは、どこかタブー視され、あまり積極的に話さないような風潮がありました。「縁起でもない」と感じる方も少なくなかったのかもしれません。

しかし、遺言書がないことで、残された家族が「争族」になってしまったり、本当に助けたい人に財産を渡せなかったりするケースが後を絶ちません。


 

富山での家族会議がチャンス!今こそ「想い」を伝える時

 

まもなく、お盆を迎えますね。上京したお子さんやご親戚が一斉に富山に帰省し、久しぶりに家族みんなで顔を合わせる絶好の機会です。

そんな時だからこそ、ぜひ家族会議を開いてみてほしいのです。

美味しい富山の海の幸や山の幸を召し上がりながら、普段は話しにくいけれど大切なことを、ゆっくりと語り合ってみてください。

例えば、「お父さんは延命治療をしたくない。尊厳死宣言公正証書(公証役場にて作成する公正証書)をしておきたいんだ。」といった医療に関する意思や、具体的な財産の分け方、あるいは「まる(ペットの名前)のこと、頼むね」といった、本当に伝えたい「想い」を話すのです。

きっと、それは家族の絆を深め、将来の不安を解消する、非常に有意義な休日になるはずです。

 

遺言書は、単に財産を分けるための書類ではありません。それは、あなたが家族や大切な人たちへ贈る、「最期に伝えたい感謝と愛情のラブレター」です。

そして、遺言書があることで、残された家族が迷ったり、争ったりするのを防ぎ、故人様の「想い」を形にすることができます。

このお盆、富山で家族が集まる機会に、ぜひ一歩踏み出して、未来に向けた大切な話し合いを始めてみませんか? 必要であれば、専門家がそのお手伝いをさせていただきます。

土地の評価方法は大きく分けて4種類!価格の高い順に解説

相続手続きを進める上で、不動産が遺産に含まれる場合、その「評価額」を正確に把握することは非常に重要です。なぜなら、この評価額が遺産分割の基準となります。

しかし、不動産の評価には複数の方法があり、それぞれ異なる目的や使われ方をします。ここでは、主に土地の評価方法について、その種類と注意点をご説明しますね。

土地の評価額には、目的や状況に応じて主に以下の4つの方法があります。これらの価格は、一般的に高い順に、実勢価格 > 公示価格 > 路線価 > 固定資産税評価額となる傾向があります。

  1. 実勢価格(時価)

    • これは、実際に市場で取引されている価格、つまり「売買されるならいくらになるか」という、最も現実的な市場価格です。

    • 主に、遺産分割協議で相続人同士が不動産を「公平に分ける」際の目安や、売却を検討する際の参考価格として用いられます。

  2. 公示価格

    • これは、国土交通省が毎年1月1日時点の価格として公示する、適正な地価の目安です。都市計画区域内にある標準地について鑑定評価を行い、公表されます。

    • 公共事業用地の取得価格算定の基準や、一般的な土地取引の指標として利用されます。実勢価格に最も近い公的な価格とされています。

  3. 路線価(ろせんか)

    • これは、主要な道路に面した土地の1平方メートルあたりの評価額で、国税庁が定めます。毎年7月に公表されます。

    • 相続税や贈与税を計算する際の土地の評価額として、最も多く用いられます。原則として、実勢価格の約8割程度の水準に設定されています。路線価が設定されていない地域では、「倍率方式」で評価します。

  4. 固定資産税評価額

    • これは、市町村(富山県では市町村、東京23区は都)が、固定資産税や都市計画税、不動産取得税、登録免許税などを計算する際の基準となる評価額です。3年に一度見直されます。

    • これらの税金の計算のほか、遺産分割協議で相続財産の評価基準の一つとして用いられることもあります。一般的には、実勢価格の約7割程度の水準に設定されています。

 

不動産評価の特に注意すべきポイント

相続では、見落としがちな不動産が後で問題になることがあります。特に以下の2点には注意しましょう。

  • 未登記不動産にも注意が必要 建物が建っているにも関わらず、法務局に登記されていない「未登記不動産」が存在することがあります。これらの不動産も相続の対象であり、遺産分割の対象となるとともに、名義変更の手続きが必要になります。見落とすと後々のトラブルの原因になるため、必ず確認しましょう。

  • 公衆用道路(公道)にも注意が必要 私道であっても、不特定多数の人が自由に通行できる「公衆用道路」として使われている場合、その部分の土地は相続税評価額がゼロとなる特例があります。つまり、相続税はかからないケースが多いです。 しかし、たとえ評価額がゼロであっても、その土地は故人様の名義であることに変わりはありません。将来の売却や建て替え、あるいは管理上の問題を避けるためにも、必ず名義を相続人に変更しておく必要があります。「評価額がないから手続き不要」と放置すると、後々大きな手間や費用がかかる可能性があります。

不動産の評価は、その金額が大きいため、評価方法の違い一つで相続人の取得分や相続税額に大きな差が生じる可能性があります。相続手続きにおいて不動産評価の基本を知ることは、適正な遺産分割と、後々のトラブル防止に繋がります。

富山県での相続手続きについてご不安な点がありましたら、ぜひお気軽にご相談くださいね。

前日までにTEL0766-75-7176までにご予約ください。

相続は、誰もが一度は直面する大切な問題ですが、その手続きや準備は複雑で、なかなか専門家へ相談する機会もないと感じている方が多いのではないでしょうか。

そんなあなたの不安を解消するため、この度、高岡市能町公民館にて遺言・相続に関する無料相談会を開催することになりました!


 

遺言・相続無料相談会の詳細

今回の相談会では、遺言書の作成方法から、相続手続きの進め方、遺産分割のお悩みまで、専門家が分かりやすくアドバイスさせていただきます。

  • 開催日時:

    • 2025年8月2日(金) 9:30~12:00

    • 2025年8月16日(金) 9:30~12:00

  • 場所: 高岡市立能町公民館 研修室2 (〒933-0008 富山県高岡市能町708番地)

  • 内容: 遺言書の作成、相続手続き、遺産分割、相続税対策など、相続全般に関するご相談

  • 参加費: 無料

  • 予約制

  • ご注意: 現在、調停や裁判中のご相談は対象外となりますので、ご了承ください。

 

こんなお悩みはありませんか?

  • 遺言書を書きたいけど、何から手をつければいいか分からない

  • 家族に負担をかけずに相続を進めたい

  • 遺産分割で揉めないための準備をしておきたい

  • 相続手続きの全体像を知りたい

  • 「うちはこれで大丈夫?」と専門家の意見を聞いてみたい

一人で悩まず、この機会にぜひ専門家にご相談ください。あなたの疑問や不安を解消し、円満な相続への一歩を踏み出すお手伝いをさせていただきます。

まずは、ご予約ください。

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