価値のない不動産は、今後さらに「処分が難しいお荷物」となる可能性が高いと考えられます。

近年、相続財産の中に「負動産」(維持費や管理コストの方が価値を上回る不動産)が含まれるケースが増えています。「まさかこんなもので揉めるとは」と仰るご相談者様が多いのですが、実は価値のない不動産こそが、親族間の争い(争族)の大きな原因になりやすいのです。

負動産が相続を難航させ、親族間の溝を深める、主な2つの理由を解説します。

 

理由1: プラスの財産と違い、「負債の押し付け合い」になる

通常の相続では、現金や優良な不動産といった「プラスの財産」の取り分をめぐって協議が行われますが、負動産の場合はまったく逆です。

負動産は、単なる固定資産ではなく、以下のような「負債」の塊として扱われます。

  • 毎年発生する固定資産税

  • 定期的な草刈りや修繕などの管理コスト

  • 老朽化による倒壊・事故発生時の損害賠償リスク

この「負債」を誰が引き受けるのか、という「負の押し付け合い」が相続協議の中心になってしまうのです。

 

「私には関係ない」という主張が事態を悪化させる

特に、遠方に住んでいる相続人などから「実家に住んでいた人が引き取るべき」「利用していない私には管理責任はない」といった主張が出ると、協議はすぐにストップします。

しかし、法律上、遺産分割が完了するまでは、相続人全員が不動産全体に対して責任を負うのが原則です。誰か一人が勝手に処分することもできず、問題解決が遠のいてしまいます。

 

 代償分割も難航!「損したくない」心理

「負動産を引き取る代わりに、他の預貯金を多くもらう(代償分割)」という解決策もありますが、これも簡単ではありません。

  • 「この負動産を将来処分するために、いくら費用がかかるか?」

  • 「特定空家等に指定された場合、税金が何倍になるか?」

といった将来のリスクや不明瞭な価値をめぐって意見が対立し、交渉が難航するケースが多発します。誰もが「最終的に損をするのは自分ではないか」という心理に囚われ、合意に至らなくなるのです。

 

理由2: 誰も引き取らない結果、「共有名義」での放置が確定する

 

遺産分割協議で取得者が決まらない場合、とりあえず相続人全員の「共有名義」として登記されることがあります。

これは、その場しのぎで「公平」に見えますが、行政書士として最も避けたい「最も危険な選択肢」の一つです。

 

 意思決定の麻痺とリスクの温存

不動産を売却したり、解体したり、大規模なリフォームをしたりする行為は、原則として共有者全員の合意が必要です。

  • 共有名義になった途端、関心の薄い共有者が非協力的になる

  • 連絡が取れない共有者が一人でもいる

  • 費用負担をめぐって意見が対立する

このような状況に陥ると、その不動産は「永遠に誰も手を出せない」状態になり、結局、放置され続けます。

 

負の連鎖の加速

この共有名義のまま、さらに次世代の相続が発生するとどうなるでしょうか?

所有権は孫やひ孫の代へと雪だるま式に細分化し、権利関係は複雑を極めます。最終的には数十人規模の共有者となり、処分はほぼ不可能になります。これは、親が抱えた問題を次世代に「負の遺産」として引き継がせることに他なりません。

 

負動産による争いを防ぐために

負動産の相続で揉めないための最大の対策は、「早期の決断」と「全員の同意形成」です。

  1. 相続開始を知ってから3ヶ月以内の判断:負動産の負担があまりにも大きい場合、他のプラス財産も含めた相続放棄を検討する。

  2. 売却や有償引き取りの検討:「売れない」と決めつけず、隣接地の所有者への打診や、専門の買取業者など、あらゆる売却・処分手段を模索する。

  3. 専門家への相談:行政書士や弁護士といった専門家を交え、冷静に費用対効果を試算することで、「誰が引き取って、代わりにいくらの金銭を清算するか」という道筋を明確にする。

ご自身やご家族が抱える負動産の問題は、先送りせずに早期に対処することが、将来のトラブルを回避する最善の策です。

抱え込んだままでは解決しません。まずは、ご家族の未来のために一歩踏み出し、当事務所へお声がけください

行政書士に遺産分割協議書作成を依頼するときの利益相反リスク

遺産分割協議において、相続人全員から一人の相続人(または第三者)に、遺産分割協議に関する交渉や合意の権限を与える委任状が交付された場合、それだけをもって直ちに利益相反行為になるとは限りませんが、注意が必要です

利益相反行為となる可能性があるケース

利益相反(りえきそうはん)行為とは、代理人が本人(委任者)の利益と相反する行為をすることを指します。遺産分割協議では、各相続人は自分の取り分を最大限にしたいと考えるため、基本的に利害が対立しています。

  • 未成年者とその親権者(法定代理人)が共同相続人である場合

    • これは最も典型的な利益相反行為に該当します。親権者が未成年者の代理人として遺産分割協議に参加すると、親自身の取り分を増やすために未成年者の取り分を減らすおそれがあるためです。

 

なぜ利益相反になるのか?

想像してみてください。親権者は、自分の取り分と子の取り分を決めなければなりません。

親権者は、自分の利益(多く財産を得たい)と、子の利益(多く財産を得させてあげたい)という、相反する二つの目的を一つの頭で判断しなければなりません。

この状況では、親がどうしても自分の利益を優先してしまい、未成年者の子の権利が不当に侵害される危険性が極めて高いと法律は考えます。

もし親権者が「子の取り分を多くする」と決めれば、親自身の取り分は減ってしまいます逆に、親権者が「自分の取り分を多くする」と決めれば、それは子の不利益になります。この場合、親権者は子の代理人になれず、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求しなければなりません。

  • 成年被後見人と成年後見人が共同相続人である場合

    • これも利益相反行為となるため、成年後見人は被後見人の代理人にはなれず、特別代理人または後見監督人が代理することになります。

  • 一人の相続人が、他の複数の相続人全員の代理人となり、遺産分割協議を合意まで進める場合

    • 形式上は委任状により代理権を与えられていますが、代理人である相続人は、自分自身の利益と、他の相続人全員の利益(それぞれ異なる利害を持つ)を調整するという、非常に困難な状況に置かれます。

    • 代理人である相続人が、他の相続人たちの取り分について自己に有利な内容で合意を成立させた場合などは、実質的に利益相反の疑いが生じ、後に委任者である他の相続人から無効を主張されるリスクがあります。

 

利益相反行為となりにくいケース

  • 単なる「連絡」「情報収集」「書類の受領」などの事務的な行為を委任する場合。

  • 合意内容が確定しており、その確定した内容を遺産分割協議書に落とし込む署名押印するといった形式的な行為のみを委任する場合。

  • 専門家に委任し、かつその専門家がすべての相続人に対し中立的な立場で職務を遂行する場合(ただし、この場合でも専門家は利益相反の可能性について依頼者に説明し、理解を得るのが一般的です)。

 

重要なポイント

遺産分割協議の委任状は、誰が誰に、何を委任するかの内容が重要です。

  • 単に登記手続きなど遺産分割協議後の手続きを委任するだけであれば、通常は問題ありません。

  • 遺産分割の内容を決める行為(交渉・合意)を委任する場合、特に一人の相続人が他の相続人全員を代理するときは、利益相反のリスクを避けるため、委任状には具体的な分割方法が明記されている、または事前にその内容について委任者全員が了解していることが非常に重要です。

既に相続人全員の合意が成立している場合は、行政書士に依頼しても利益相反の問題は生じません

  • 行政書士は、その合意内容を正確に反映した遺産分割協議書を作成するという、事務的な業務を行うことができます。

 委任する上での注意点

  • 相続人全員が個々に行政書士と委任契約を結び、遺産分割協議書の作成を依頼することは問題ありませんが、以下の点にご注意ください。既に合意が成立しているため、行政書士に依頼することで、煩雑な書類作成や戸籍収集などを円滑かつ正確に進めることができるメリットがあります。

    1. 争いがない(紛争性がない):

      • 既に全員が「誰がどの財産を相続するか」で合意しているため、行政書士が特定の相続人に有利になるような交渉や調整を行う余地がありません

      • 行政書士の役割は、合意内容を文書化するという中立的なものです。

    2. 業務範囲内である:

      • 行政書士の業務は、権利義務または事実証明に関する書類を作成することです。

      • 遺産分割協議書は、まさにこの権利義務に関する書類に該当するため、行政書士の正当な業務範囲内となります。

    • 登記手続きは別途必要: 不動産(土地や建物)が含まれている場合、遺産分割協議書に基づいて名義変更(相続登記)を行う必要がありますが、これは司法書士の独占業務です。行政書士は登記手続きの代理はできません。

    • 税務申告は税理士へ: 相続税の申告が必要な場合、これは税理士の独占業務です。

    • 内容の変更は不可: 契約後に相続人間で「やっぱりこの分割方法を変えたい」といった意見の対立が生じた場合、行政書士はその後の交渉や仲介には関与できません。その時点で紛争性が発生したとみなされ、弁護士に相談し直す必要があります。

​​遺産分割協議は、ご家族の想いを形にする大切な手続きです。合意が成立している状況であれば、行政書士が中立的かつ正確に「遺産分割協議書」を作成することで、後の手続きをスムーズかつ確実に進めることができます。ご心配な点や複雑な相続関係がある場合は、ぜひ一度ご相談ください。

それぞれの概要と、法定後見人・任意後見人におけるカルテ開示の扱いについてご説明します

法定後見人 と 任意後見人 の違い

成年後見制度は、認知症や精神上の障害などにより判断能力が不十分な方を、法律的に保護し支援するための制度です。大きく「法定後見」と「任意後見」の2種類があります。

項目 法定後見制度 任意後見制度

制度開始のタイミング

判断能力が既に不十分になった後。 判断能力が十分あるうちに契約。
後見人等を選ぶ人 家庭裁判所が選任(申立人が候補者を推薦することは可能)。 ご本人が将来の任意後見人となる人(任意後見受任者)を契約で決める。

支援の内容・権限

法律で定められた権限(取消権がある)。判断能力に応じて後見・保佐・補助の3類型がある。 任意後見契約で定めた内容が基本(代理権の範囲を本人と受任者が決める)。取消権はない
監督 家庭裁判所が選任する後見監督人保佐監督人、または補助監督人がつく場合がある。 制度開始後、家庭裁判所が必ず任意後見監督人を選任し、その監督を受ける。
目的 判断能力が不十分な方を保護する側面が強い。 将来に備えてご本人の意思を尊重し、生活を支援する側面が強い。

重要なポイント:

  • 法定後見は、既に判断能力が不十分な方のために、家庭裁判所主導で支援者を決める「事後的な保護」の制度です。

  • 任意後見は、判断能力があるうちに、将来のために自分で支援者と支援内容を決めておく「事前の準備」の制度です。

カルテ開示(診療記録の開示)について

カルテ開示は、患者さんご本人や、ご本人に代わる方が、自分の診療情報(カルテ、検査記録など)の開示を医療機関に求めることです。

 

開示請求ができる主な人

診療情報の開示請求ができるのは、原則として患者さんご本人です。 ただし、ご本人が判断能力を欠く場合など、やむを得ない事由がある場合は、以下の代理人等が請求できます。

  1. 患者さんの法定代理人(患者さんが成年被後見人の場合の成年後見人など)

  2. 診療契約に関する代理権が付与されている任意後見人

  3. 患者さんから委任を受けた代理人

  4. 患者さんが死亡している場合のご遺族(配偶者、子、父母など)

 

後見制度とカルテ開示

  • 法定後見人(成年後見人)

    • 成年後見人は、患者さんの法定代理人として、原則としてカルテ開示の請求権を持ちます。

    • これは、成年後見人がご本人の財産管理や身上保護に関する契約等を代理して行うために、ご本人の医療情報を把握する必要があるからです。

  • 任意後見人

    • 任意後見人は、法定後見人と異なり、当然にはカルテ開示の請求権を持つわけではありません

    • カルテ開示の請求権を持つためには、任意後見契約書の中で、「診療契約に関する代理権」や「医療情報開示請求に関する代理権」が明確に付与されている必要があります。契約書にその定めがなければ、単に任意後見人という立場だけでは開示請求はできません。

カルテ開示の手続きや必要書類(身分証明書、後見人であることを証明する書類、任意後見契約書など)は、医療機関ごとに異なりますので、請求先の医療機関に事前に確認が必要です。

「遺産分割協議がまとまらない...」泥沼化を防ぐための3つのステップ

なぜまとまらない?主な原因を知る

  • 感情的な対立: 昔の不満や、故人への関わりの濃淡(寄与分)など、法律では割り切れない感情。

  • 財産評価の意見の相違: 特に不動産の評価額で意見が割れるケース。

  • 特別受益・寄与分の主張: 特定の相続人が故人から生前に利益を受けていた(特別受益)や、貢献した(寄与分)という主張がある。

  • 単なる知識不足: 法定相続分や手続きの流れに関する誤解。

 

【行政書士の役割】話し合いがまとまらない時の初期対応

  • 遺産分割協議がまとまらない場合、最終的な解決は家庭裁判所の調停・審判に進むことになりますが、その前段階に行政書士がサポートできることがあります。

  • 事実関係の整理:

    • 相続人調査: 誰が相続人なのかを確定する(戸籍謄本等の収集)。

    • 相続財産目録の作成: 財産を漏れなく、客観的にリスト化し、評価額の根拠(固定資産税評価額など)を明確にする。「財産の見える化」は、冷静な議論の土台作りに非常に重要です。

  • 遺産分割協議書の作成準備:

    • 協議がまとまりかけた際の合意内容の文書化。行政書士は、法的に有効な遺産分割協議書の作成をサポートできます。

    • 注意点: 行政書士は交渉の代理人にはなれません。交渉代理は弁護士の業務です。あくまで書類作成と事実整理の専門家であることを明確にしましょう。)

 

次のステップ:調停・審判への移行

  • 調停(家庭裁判所): 話し合いで解決できない場合、次のステップは家庭裁判所への遺産分割調停の申立てであることを説明する。

    • 裁判官や調停委員という第三者が間に入り、合意形成を促す手続きです。

    • 行政書士は調停申立に必要な書類作成のサポートが可能です。

  • 審判(家庭裁判所): 調停でも合意に至らない場合、裁判官が最終的に分割方法を決定する遺産分割審判に移行することを説明する。

 

 まとめと行動の呼びかけ

  •  協議がまとまらなくても、決して諦める必要はないこと。

  • 行政書士にできること: 客観的な事実整理と、次のステップ(調停など)へのスムーズな移行準備をサポートすることで、時間と労力の浪費を防げること。

遺産分割でお困りの際は、まずはお気軽にご相談ください

手続きの確実性と家族の絆、その両方を守るために

協議書作成の必要性と行政書士への期待

遺産分割協議書は単なる書類ではない! 行政書士が「公平」と「円満」を守る理由

相続が発生した後、被相続人(故人)の遺言がない場合、相続人全員で「遺産分割協議」を行い、誰がどの財産をどれだけ受け取るかを決定する必要があります。

この話し合いの結果を正式な文書としてまとめたものが、「遺産分割協議書」です。

この協議書は、単に家族間の約束事というだけでなく、その後の不動産の名義変更(相続登記)預貯金の解約・払い戻しを行う際に、金融機関や法務局へ提出が必須となる重要な書類です。

相続人の皆様が自力で作成しようとすると、法的な要件を満たせず手続きがストップしたり、感情的な対立が長期化したりするリスクがあります。だからこそ、行政書士のサポートが不可欠なのです。

 

役割1:【専門家】としての役割 — 法的な不備をなくし、確実な手続きを保証

「手続きが止まらない」確実性。行政書士は専門家として何をするのか?

遺産分割協議書は、記載内容に一つでも不備があると、その後の公的な手続きが全て滞ってしまいます。

行政書士は、行政手続きと法律文書作成の専門家として、以下の確実性を保証します。

  • 正確な財産目録の作成:不動産の正確な地番や預貯金の口座特定など、登記や解約に必要な財産目録の正確性を確保します。

  • 法的な有効性の担保:協議書が民法や戸籍法などの法律に基づき、法的に有効であることを確認します。

  • 要件の充足:署名、押印(実印)、印鑑証明書の添付といった法的な要件を完全に満たし、その後の登記や金融機関での手続きが確実に完了できるように導きます。

役割2:【中立】・【公平】としての役割 — 感情論ではなく、事実に基づく合意形成をサポート

 

争いを未然に防ぐ「調整役」。行政書士は中立・公平な立場で貢献します

相続の話し合いが、感情的な対立から「争い」に発展してしまうケースは珍しくありません。

行政書士は、相続人の誰か一人の代理人ではなく、文書作成のプロとして、中立的な立場を維持します。(※なお、個別の交渉や紛争性の高い案件は弁護士の領域となります)

  • 客観的な基盤の提供:相続人それぞれの主張や感情論に流されることなく、客観的な事実(財産評価、法定相続分など)に基づいた冷静な話し合いを促す基盤を提供します。

  • 公平な意見の反映:全ての相続人の意見を公平に文書に反映し、協議書の内容が偏ったものではないことを明確にします。

  • 記録の保全:後から「言った」「言わない」の争いにならないよう、合意内容を正確かつ明確に記録として残します。

役割3:【円満】としての役割 — 将来を見据えた、家族の絆を守るサポート

家族の「わだかまり」を残さないために。行政書士が目指す円満な終結

遺産分割協議の真の目的は、単に財産を分けることだけではありません。将来にわたって家族の絆を守り、故人の思いを円満に引き継ぐことにあります。

  • 将来のトラブル予防策の記載:単に財産を分けるだけでなく、「なぜその分け方になったか」という背景や、将来の祭祀承継(お墓や仏壇の管理)についての取り決めも文書に残すことで、将来的な親族間のトラブルを防ぎます。

  • 冷静な視点の導入:行政書士の中立的な関与は、感情的になりがちな話し合いに冷静な視点を導入します。これにより、話し合いをスムーズに進行させ、円満な合意形成を助ける「クッション材」の役割を果たします。

私たちは、財産を巡る「争続(そうぞく)」ではなく、故人の思いを受け継ぎ家族の絆を大切にする「想続(そうぞく)」へと導くことを使命としています。

行政書士に任せる安心感

手続きの確実性と家族の絆、その両方を守るために

相続は、誰にとっても一生に一度の大切な手続きです。遺産分割協議書は、相続人全員の合意と意思を後世まで残す、大変重要な「証」となります。

この重要な文書の作成を、中立的かつ専門的な行政書士にご依頼いただくことで、手続きの確実性はもちろん、「公平」で「円満」な家族関係を守ることに繋がります。

遺産分割協議書の作成はもちろん、その前提となる相続人調査財産目録の作成、さらには改葬許可申請(墓じまい)といった各種手続きでお困りの際は、ぜひ当行政書士事務所にご相談ください。

確実な手続きと、心穏やかな解決のために、私たち行政書士が全力でサポートさせていただきます。

富山県特有の文化と相続の現実

富山県は、全国トップクラスの持ち家率を誇り、「結婚したら新築の一戸建てを建てる」という文化が根付いています。この堅実な文化は素晴らしいものですが、残念ながら、親世代から子世代への相続という局面で、新たな問題を生み出しています。

それは、「空き家問題の深刻化」です。

 

1. 富山の相続で不動産が空き家になる構造

富山県の相続財産には、全国と同様に不動産(土地・家屋)が高い割合を占めます。

【問題の構造】

親御さんが亡くなり実家を相続する際、相続人である子の多くは既に自分の持ち家(新築)を持っているため、実家に住む必要がありません。結果として、「誰も住まない空き家」となってしまい、管理不全のリスクが高まります。

【空き家率の現状】

富山県の空き家率は全国平均を上回る水準(約15%前後)にあり、この課題は他人事ではありません。あなたの親御さんの家も、将来的に空き家になる可能性があるのです。

 

2. 相続した実家を「負動産」にしないために

相続した空き家を放置すると、以下のようなリスクから、その資産はまさに「負動産」と化します。

  • 経済的な負担: 固定資産税や維持管理費がかかり続ける。

  • 行政指導のリスク: 老朽化が進むと倒壊リスクなどから、行政から「特定空き家」に指定され、指導や罰則の可能性が発生する。

  • 「特定空き家」として市町村から勧告を受けると、土地の固定資産税の「住宅用地の特例」が適用されなくなり、税額が最大6倍に跳ね上がります。これは、固定資産税の優遇措置(小規模住宅用地では課税標準が1/6になる)が適用除外となるためです。

この状況を解決し、資産の価値を守る有力な選択肢が、「中古物件(空き家)のリノベーション」です。

 

3. 空き家リノベーションは富山県に最適

新築志向が強い富山県ですが、空き家をリノベーションして活用することは、多くのメリットがあり、むしろ富山特有の空き家問題に最適な解決策となります。

メリット 富山での具体的な利点
コストメリット 割安な空き家を取得し、新築よりも総費用を抑えて理想の住まいを実現できます。
自由な設計 構造体の制約はありますが、内装や間取りを自由にデザインし、新築に負けない個性的な家が作れます。
行政の支援 富山市をはじめとする各市町村で、空き家の取得・リフォーム省エネ改修に対する補助金制度が充実しています。
地域貢献 地域に増え続ける空き家を再生し、地域の景観維持や活性化に貢献できます。

4.専門家にご相談ください

「新築にこだわる」という富山の文化も素晴らしいですが、増え続ける空き家と向き合い、その活用を考えることも、大切な資産を未来へつなぐ上で非常に重要です。

相続が発生し、空き家の処分や活用、リノベーション計画に悩まれたら、まずは専門家にご相談ください。

当事務所では、空き家活用のための「相続手続き」はもちろん、「不動産の登記手続き(司法書士と連携)」「行政の補助金活用」に関するご相談まで、幅広くサポートしております。

お気軽にお問い合わせください。

遺言書を作成する。それは、多くの方が想像する以上に、骨の折れる、そして深く意義のある作業です。

自分の築いてきた人生を振り返り、ご家族、お世話になった方々への想いを整理し、そしてご自身の築いた財産をどのように次世代へ託すのかを決める、まさに「人生の総仕上げ」ともいえる大仕事だからです。

なぜ、今、遺言書を作成すべきか?

遺言書作成に取り掛かるきっかけは、「家族から促されて」という場合も少なくありません。もちろん、それは一つの動機として良いことです。しかし、遺言書は、ご自身の「最終意思」を最も明確に実現するための法的な文書です。

作成時には、ご自身の意思を正確に反映させるための高い判断能力が必要とされます。そのため、心身ともに健康で、物事をじっくり考える「余裕のある時」に作成されることを心からお勧めします。

「今、書いても大丈夫?」という疑問について

「一度書いたら変えられないのでは?」と不安に思われるかもしれませんが、ご安心ください。遺言書は、後からいつでも(ご自身の判断能力がある限り)内容の変更が可能です。状況の変化に合わせて、見直すことができる柔軟性を持っています。

費用対効果を考える

遺言書にはいくつか種類がありますが、最も確実な「公正証書遺言」を選ばれた場合、公証役場の手数料など費用は発生します。しかし、これはご自身の確固たる意思を法的・公的に担保し、将来的な家族の負担や争いを回避するための、必要不可欠な「先行投資」です。

終わりに:

私たちは、皆様の「人生の総仕上げ」である遺言書作成を、法律の専門家である行政書士として、心を込めてサポートいたします。ご自身の想いを形にするための一歩を、私たちと一緒に踏み出してみませんか。

なぜ今、「尊厳死宣言公正証書」が必要なのか?

まず、私の個人的な経験からお話しさせてください。

私の義父は、生前に延命治療に関する具体的な意思を伝えることなく、病状の悪化により胃ろうや気管切開といった延命措置を受け、最期を迎えました。

その時、私たち残された家族は、「父が本当に望んでいた最期はこれだったのだろうか?」「私たちは正しい判断をしたのだろうか?」と、深い葛藤と心身の負担を抱えることになりました。

ご本人の意思が明確でない場合、ご家族は苦渋の決断を迫られます。

  • 「意識がなくなった後、延命治療をどこまで続けるか、家族に判断を委ねるのは心苦しい」

  • 「自分らしい最期を迎えたいが、その意思を明確に残す方法が分からない」

このような不安を解消し、ご自身の尊厳を守り、そして何よりご家族を悩ませないために、生前に意思を明確にしておくことは、今や欠かせない終活の一環です。

日本の現状では、尊厳死に関する法律はまだ整備されていません。しかし、ご自身の生き方、そして最期を自分で決める「リビング・ウィル(生前の意思)」の重要性は、年々高まっています。

この「リビング・ウィル」を最も強力に残す手段が、今回ご紹介する「尊厳死宣言公正証書」です。

 

尊厳死宣言公正証書とは

尊厳死宣言公正証書とは、「延命治療の拒否」の意思を、国の機関である公証役場公証人に作成してもらう公文書(公正証書)のことです。

 

1. 尊厳死と安楽死の違い(読者の誤解を解消)

尊厳死宣言公正証書を正しく理解するために、混同されやすい2つの言葉を整理しておきましょう。

項目 尊厳死(Dignified Death) 安楽死(Euthanasia)
内容 不治で末期的な状況において、延命措置を差し控える・中止する。 薬物投与などにより、人為的に死期を早める
結果 自然な経過として死を迎える。 人為的な行為により死を迎える。
日本の現状 法制化はされていないが、リビング・ウィルとして意思表示は可能 刑法上、認められていない。

尊厳死宣言公正証書は、あくまで「尊厳死」、つまり苦痛を和らげつつ、自然な経過で最期を迎えることを選ぶ意思を表明するものです。

 

2. 公正証書にするメリットと、法的効力(専門性のアピール)

ご自身の意思を「公正証書」という公文書で残すことには、計り知れないメリットがあります。

 

強力な証拠力と保全性

  • 公証人が本人に意思確認: 公証人が宣言者ご本人に直接意思確認をして作成するため、「本人の真の意思である」ことの証明力が非常に高いです。

  • 偽造・変造の恐れがない: 公文書として作成されるため、後日の紛争リスクが極めて低いです。

  • 原本が公証役場に半永久的に保管: 紛失の心配がなく、いつでも謄本(写し)を取得できます。

 

法的効力

尊厳死宣言公正証書には、遺言書のような直接的な法的強制力はありません

しかし、公証人という国家資格者が厳格な手続きを踏んで作成した文書は、本人の意思を最も明確に示す公的証拠となります。これにより、医療関係者やご家族は安心して本人の希望を尊重しやすくなります。

 

3. 宣言書に記載する主な内容(行政書士のサポート範囲)

宣言書に記載すべき内容は多岐にわたりますが、特に重要なのは以下の点です。

  • どのような状態になったら延命措置を拒否するのか

    (例:不治かつ末期の病気で回復の見込みがない状態、植物状態など)を具体的に特定します。

  • 拒否を希望する具体的な延命措置

    (例:人工呼吸器の装着、胃ろうや点滴による栄養補給、心肺蘇生術など)を明確にします。

  • 苦痛を和らげる措置(緩和ケア)は最大限に希望すること(重要)

    延命措置を拒否しても、苦痛を和らげるための治療は最大限に受ける意思を明記します。

  • 宣言書に基づき行動した医師や家族への免責

    ご自身の意思を尊重して行動した医師やご家族を、刑事上・民事上の責任から免除するよう表明します。

  • 家族の同意を得ている旨の記載

    (行政書士のポイント):家族の同意は必須ではありませんが、実務上、医療現場で意思が実現される可能性を高めるために、事前にご家族と話し合い、同意を得ている旨を記載することが望ましいです。

4. 行政書士に依頼するメリット

ご自身の最期に関わるデリケートな意思表示だからこそ、専門家である行政書士にご相談ください。

  • 適切な原案作成:

    「延命拒否」という抽象的な意思ではなく、医療現場で医師やご家族に伝わる具体的かつ法的に適切な文書の原案作成をサポートします。

  • 公証役場との連携:

    煩雑な公証人との事前打ち合わせや、必要書類の収集・準備を代行し、先生が公証役場へ行く手間を最小限に抑えます。

  • ご家族への配慮:

    デリケートな内容をご家族にどのように伝え、理解を得るかといった、精神的な側面に寄り添ったアドバイスも行います。

終活は「一連の流れ」で考えるのが効率的

尊厳死宣言は、残されるご家族への「最後の思いやり」であり、ご自身の尊厳を守る準備です。

元気なうちに、ご家族と話し合い、意思を明確に残すことが何よりも大切です。

(行政書士としての提案)

「尊厳死宣言公正証書」は、財産承継に関する「遺言書」や、将来の財産管理に関する「任意後見契約」とあわせて、終活の3点セットとして同時に検討されることを強くお勧めします。

これらの文書を同時に作成することで、公証役場に行く手間を一度にでき、時間的・費用的にも効率的に「自分らしい未来と最期」の準備を整えることができます。

当事務所では、これらの文書作成を一貫してサポートし、「最期まで自分らしく」をトータルで実現するお手伝いをいたします。

お気軽にご相談ください。

今日のテーマは、社会問題化している「空き家問題」についてです。

「いつか帰るかもしれない実家」「遠方に残されたままの家」。思い出の詰まった大切な不動産が、気づけば倒壊の危険、景観の悪化、そして税金の負担増という「負動産」に変わってしまう可能性があります。

「どうしたらいいかわからない」「誰に相談すればいいの?」そう立ち止まっている方も多いのではないでしょうか。

私たち行政書士は、空き家問題解決のプロフェッショナルとして、皆さまの悩みを法的な側面から整理し、解決への道筋をつけるお手伝いをしています。

この記事では、「放置は危険」な空き家が「負動産」になる理由と、円満に手放すための手続き、そして行政書士が具体的に何ができるのかを分かりやすく解説します。

 

1. なぜ空き家は「負動産」になるのか?~放置が招く2つの大きなリスク~

空き家問題の根は深く、主な原因は「相続」と「対策の複雑さ」にあります。特に放置していると、将来的に手の施しようがなくなる2つの大きなリスクがあります。

  • 所有者不明化のリスク(手続きの難化): 相続が発生しても、名義変更の手続き(相続登記)がされないと、所有者が曖昧になります。数十年経つと、相続人が数十人に増えてしまい、売却や活用をしたくても全員の合意を得ることが極めて困難になり、身動きが取れなくなってしまいます。

  • 「特定空家等」への指定リスク(税負担の増大): 適切な管理がされていない空き家は、自治体から「特定空家等」に指定される場合があります。指定されると、なんと固定資産税の優遇措置(最大6分の1減額)が解除され、税負担が大幅に増えてしまうのです。

この状態になる前に、手を打つことが何よりも重要です。

 

2. 行政書士ができること - 空き家問題へのアプローチ

空き家を再び「資産」に戻す、または円満に手放すためには、「法的な整理」と「行政との連携」が不可欠です。私たち行政書士は、その両面でサポートします。

 

(1) 権利関係・相続の整理

空き家を円満に手放すための第一歩は、「誰のものか」を明確にすることです。

  • 相続人調査・確定: 複雑な戸籍を読み解き、現在の正しい所有者(相続人)を特定します。

  • 遺産分割協議書の作成支援: 相続人全員の意見を調整し、空き家の所有者を決定するための重要な文書作成をサポートします。これにより、売却や利活用へ向けた土台を築きます。

 

(2) 行政手続きのサポート

空き家を売却・活用したり、公的な支援を受けたりする際には、行政への申請が欠かせません。

  • 空き家バンク登録の支援: 空き家を売りたい・貸したい場合に、自治体の制度を活用するための登録手続きをサポートします。

  • 補助金・助成金の申請代行: 解体やリフォームに関する国や自治体の支援制度を調査し、申請書類の作成を代行することで、費用の軽減をサポートします。

  • 利活用に伴う許認可申請: 例えば、空き家を地域交流スペースや民泊などに転用する場合の、行政への許認可申請をサポートします。

 

(3) 専門家とのスムーズな連携

空き家対策は、行政書士一人で完結するわけではありません。 登記は司法書士、売買の仲介は不動産業者、税金は税理士といったように、私たち行政書士が「ハブ役」となり、皆さまの状況に最適な専門家を紹介し、連携を取りながら迅速な解決を目指します。

 

3. 「いつか」ではなく、「今」ご相談ください

「まだ大丈夫だろう」「どこに相談すればいいか分からない」と問題を先延ばしにしていると、状況は悪化する一方です。空き家対策は、早ければ早いほど選択肢が広がり、費用も抑えられます。

「負動産」化してしまう前に、思い出の詰まったご実家やご自宅を「資産」として未来につなげるために、私たち行政書士にご相談ください。

一歩踏み出す「きっかけ」と「具体的な道筋」を、私が責任をもってご提案させていただきます。

空き家・相続に関する初回無料相談を随時受け付けています。 お気軽にお電話、またはメールフォームからお問い合わせください!

家族のもしもに備える生命保険は、相続発生後、すぐ現金化できる「動く財産」として、納税や代償金の準備に役立ちます。

1. 生命保険が「必須対策」である二つの理由

 

理由① 納税資金の確実な確保(最も重要な役割)

相続税は原則として現金一括で、相続開始から10ヶ月以内に納付が必要です。相続財産の大部分が不動産や非公開株式の場合、納税資金が不足しがちです。

  • 生命保険の役割: 被相続人が契約者・被保険者となり、特定の相続人を受取人とする保険に加入することで、相続発生後、最短数日で受取人(例:不動産を相続する妻)が現金(死亡保険金)を迅速に受け取れます。この現金を納税資金に充てられます。

 

理由② 相続税の非課税枠の活用(合法的な節税効果)

生命保険金は「みなし相続財産」ですが、非課税枠があります。

  • 効果: 現金にはないこの非課税枠を利用することで、相続財産の一部を課税対象から合法的に除外し、相続税を節税できます。

2. 代償分割の原資としての活用(遺産分割の円滑化)

代償分割とは、特定の相続人(後継者など)が分割しにくい現物財産(自社株や自宅)をすべて取得する代わりに、他の相続人に対し現金を支払うことで、相続分や遺留分の公平性を保つ方法です。

  • 生命保険の役割: 不動産や自社株を相続する後継者が、事前に受取人として受け取った死亡保険金を代償金の原資として他の相続人に支払うことで、公平な遺産分割を円滑に進めます。

贈与税リスクの回避

代償金の支払いが贈与とみなされないために、遺産分割協議書(または遺言書)には、「誰がどの財産を取得し、その代償として誰にいくら支払うか」という代償分割の意思を明確に明記することが必須です。相続税の申告書には、遺産分割協議書(または遺言書)を添付します。この際、遺産分割協議書(または遺言書)に以下の情報が明確に記載されていることが、代償金が贈与ではないことの「証拠」となります。

  • 誰がどの財産(例:自社株、自宅不動産)を多く取得したか。

  • その代償として、誰が(財産を多く取得した人)誰に(財産を少なく取得した人)いくら支払うか。

この書類があることで、税務署は「これは相続財産の公平な分割のための精算金であり、単なる無償の贈与ではない」と判断されます。

3. 生命保険を活用した代償分割の仕組み(自社株承継の例)

自社株を後継者(長男)に集中させる場合のモデルケースです。

 
ステップ 内容 ポイント
受取人指定 死亡保険金の受取人を後継者の長男に指定します。 自社株を集中させる後継者に現金を確実に渡すことが重要です。
保険金受取 長男が保険金を現金で受け取ります。 死亡保険金は、原則として相続財産ではなく受取人固有の財産です。
代償金支払い 長男が受け取った現金で、妻や長女の遺留分や法定相続分を調整するための代償金を支払います。 長男は自社株を取得し、他の相続人は現金を得ることで、円満な事業承継が完了します。

メリット:株式分散リスクの解消

死亡保険金は原則として遺産分割の対象外となるため、遺言書で長男に集中させた自社株が、遺産分割協議によって株式が分散されるリスクを回避できます。

この手法を用いることで、長男への経営権の集中と他の相続人への経済的な配慮を両立させ、円満な事業承継を目指すことができます。最適な保険金額や遺言書の作成について、お気軽にご相談ください。

事前予約は不要です。相続や遺言など、ちょっとしたご心配事やお悩みがありましたら、お気軽にお越しください。

相続や遺言のことで、ちょっと誰かに聞いてみたい…」という方へ

明日は、高岡市能町地域交流センター(能町公民館)で無料相談会を行います!

  • 【事前予約は不要です】

  • 場所: 高岡市能町地域交流センター 研修室2

  • 内容: 相続・遺言等に関するお悩み相談

気になることがあれば、どうぞお気軽にお立ち寄りください。

お気軽にお問い合わせください。

遺産分割協議書のための財産評価

相続手続きにおいて、遺産分割協議書を作成する際、もっとも重要なのが「財産をいくらで評価するか」です。相続税申告とは異なり、遺産分割においては法律で定められた厳密な評価基準はありません

しかし、公平な分割を実現し、後のトラブルを防ぐためにも、原則として相続開始時(被相続人の死亡日)の「時価」で評価することが、最も妥当で公平とされています。

この「時価」を、客観的な根拠に基づいてどのように算出するのか、財産目録に記載すべき評価基準をまとめました。

 

1. 遺産分割協議における評価の基本原則

項目 評価の基準 重要なポイント
評価の基準日 原則として相続開始日(死亡日) 協議が長引いた場合、相続人全員の合意があれば協議成立時点の時価も可能。
評価の目的 市場における時価(客観的価値) 相続人全員の合意が最優先。合意形成のために客観的な資料(査定書、相場表など)が必須。

2. 主要財産の評価方法一覧(遺産分割協議用)

遺産分割協議書に添付する財産目録の評価基準をまとめました。

財産の種類 評価の基準日 評価方法の原則(時価の求め方)
不動産(土地・建物) 死亡日

死亡日時点の固定資産税評価額(市町村が定める)をもって評価します。固定資産税評価額は、通常、時価の約7割とされます。または複数の不動産業者の査定価格による時価。なお、相続税上は土地は路線価方式で評価します。

預貯金・現金 死亡日 死亡日現在の残高。金融機関発行の残高証明書(死亡日基準)を使用。
有価証券(上場株式) 死亡日 上場株式の評価方法死亡日終値(市場価格) 原則は相続開始日(死亡日)の終値です。なお、「遺産分割協議書における評価額」と「相続税における評価額」は、それぞれ目的が異なるため、その評価基準と金額が異なることがほとんどです。
金(地金、金貨など) 死亡日 死亡日店頭買取価格など、客観的な市場相場。
自動車(車) 死亡日 死亡日現在の売買実例価額(中古車買取業者の査定額など)。
会員権(ゴルフなど) 死亡日 死亡日現在の市場での取引価格(時価)

3. 【深掘り解説】高騰する金と変動する有価証券の評価

金相場の高騰や株式市場の急変(特定の方の総裁選出など)があった場合、その変動を公平に反映させることが重要になります。

 

 金(ゴールド)の評価

金は日々相場が変動します。遺産分割の評価では、相続税申告のような特別な評価規定はなく、あくまで死亡日時点の客観的な市場価格(グラムあたりの小売価格や買取価格)を基準とします。

 

 有価証券(上場株式)の評価

株価は時として乱高下しますが、遺産分割においては、相続税のように「最も低い価格」を選ぶという納税者に有利な規定は適用することは難しいです。公平を期すため死亡日当日の終値を客観的な時価とします。遺産分割では時価(市場価格など)で公平な分割を目指しますが、相続税では税法上のルール(死亡日を含む3ヶ月間の最低価格など)で評価するため、その金額は一致しないことが一般的です。

ただし、協議が長期化し、死亡時の株価と協議時の株価に大きな開きが出た場合は、全相続人の同意を得て、協議成立時点の時価を採用することも有効な選択肢です。

 

 遺産分割のための評価を一覧表で作成しましょう

財産目録の作成には、以下の項目を含む一覧表を作成し、評価の客観性を高めることが必須です。

財産の種類 財産名(銘柄名・所在地など) 数量・面積 評価の基準日 採用した評価額(時価) 評価額の根拠資料
不動産 〇〇市△△番地 土地 100 ㎡ 死亡日 3,000万円 不動産業者査定書
有価証券 〇〇株式会社 株式 1,000 株 死亡日 500,000円 証券会社残高証明書(死亡日終値)
金地金 500 g 死亡日 1,100万円 貴金属業者買取相場表
預貯金 〇〇銀行 普通預金 1 口 死亡日 1,250万円 銀行残高証明書

遺産分割協議をスムーズに進めるためにも、まずは客観的な「時価」の把握から始めましょう!

遺産分割協議をスムーズに進めるための鍵は、評価額の「公平性」と「客観性」にあります。

複雑な不動産の時価評価や、非上場株式の評価、そして高騰する金の相場確定など、ご自身で進めるには難しい点が多いのも事実です。

「評価額の算定根拠」を明確にし、「揉めない遺産分割協議書」を作成するため、専門的な視点からしっかりサポートいたします。評価基準の確定や、協議書の作成について、ご不明な点やご不安な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

お電話またはお問い合わせフォームよりご連絡をお待ちしております。

遺言書を作成する目的は、大切な家族のために財産の分け方を明確にし、将来の「争族(争いのある相続)」を防ぐことにあります

しかし、財産を法的にどう分けるか(遺言事項)だけを記載した遺言書は、かえって家族の感情的な対立を招くことがあります。なぜなら、遺言者の「想い」「理由」が伝わらないからです。

そこで重要になるのが、法的な効力を持たない「付言事項(ふげんじこう)」です。

この記事では、付言事項の役割と、家族が遺言の内容に納得し、争族を回避するための具体的な4つの書き方と例文を行政書士の視点から解説します。

 

1. 付言事項とは?法的な「効力」と「役割」

「付言事項(ふげんじこう)」とは、主に遺言書の本文に記載する、法的な効力を持たないメッセージや補足的な説明などのことです。

 

法的効力がないのに、なぜ重要?

付言事項は、遺産分割の内容そのもの(法的な効力を持つ「遺言事項」)とは異なり、遺言者の想いや気持ちを伝えるために使われます。

その主な目的は、相続人や受遺者(遺産を受け取る人)が遺言の内容を感情的に理解し、受け入れることです。

特に、法定相続分と異なる遺産分割を行った場合など、一見不平等に見える分け方であっても、遺言者の真意を伝えることで、争い(争族)が起きるのを防ぐという、非常に重要な役割を果たします。

 

2. 争族を回避する!付言事項の4つの具体的な書き方と例文

付言事項に決まった形式はありませんが、以下の4つのパターンで想いを伝えることで、遺言の目的が達成されやすくなります。

 

1. 遺産分割の理由・補足説明を伝える

特定の相続人に多くの財産を相続させるなど、遺言の内容が一見不平等に見える場合の理由を説明するものです。これにより、他の相続人の納得を得やすくします。

目的 例文
長男に自宅を多く相続させる場合 「長男〇〇は、長年にわたり私と妻の面倒を献身的に見てくれました。そのため、長男にはこの自宅と土地を相続させることにしました。他の家族も、この私の想いを理解し、今後も兄弟仲良く助け合って暮らしていってくれることを願います。」
家業を継いだ子に株式を多く相続させる場合 「私が経営する会社の株式や事業用資産をすべて長男に相続させるのは、長男が会社の存続と発展に多大な貢献をしてくれたからです。他の子たちも、この私の判断を尊重し、遺留分の請求をしないようお願いします。」

 

2. 家族や関係者への感謝の気持ちを伝える

これまでの人生を振り返り、家族や世話になった方々へ感謝の気持ちを伝えます。

 
目的 例文
妻や子への感謝 「私は、素晴らしい妻と子どもたちに恵まれ、とても幸せな人生でした。私が亡くなった後も、家族で互いに助け合って、どうか幸せな人生を送ってください。ありがとう。」
介護をしてくれた人への感謝 「私の介護をしてくれた長男の嫁〇〇さんには、本当に感謝しています。心ばかりですが、私の財産の一部を彼女に遺贈するのは、その苦労に報いるためです。」

3. 相続人への願い・要望を伝える

相続人に対して、今後どのように暮らしてほしいか、遺言の内容以外でやってほしいことなどを伝えます。

目的 例文
家族の平和を願う 「私の家族においては、私亡き後も相続争いが起きることはないと確信していますが、皆が力を合わせ、仲良く協力して暮らしていくことを心から願っています。」
先祖供養やお墓に関する願い 「長男〇〇には、先祖代々のお墓を守り、お盆やお彼岸には供養を怠らないようにお願いします。その他の家族も、先祖を大事にする気持ちを忘れないでください。」
ペットの世話の依頼 「私が長年飼ってきた愛犬〇〇の世話を、動物好きの次女〇〇にお願いします。〇〇が最期まで安心して暮らせるように、よろしくお願いします。」

4. 葬儀や納骨に関する希望を伝える

遺言事項(法的に効力があるもの)ではありませんが、遺言者が希望する葬儀の形式などを伝えます。

目的 例文
葬儀に関する希望 「私の葬儀は、家族葬として身内だけで執り行ってください。参列者に負担をかけたくありません。」

 注意!葬儀の希望と「死後事務委任契約」の違い

付言事項として葬儀の希望を伝えることはできますが、これには法的な拘束力がない点に注意が必要です。遺言者が亡くなった後の事務を確実に行うためには、別の契約が必要になる場合があります。

 

付言事項の効果と限界

付言事項は、あくまで遺言者の「希望」や「メッセージ」を伝えるものであり、家族や遺言執行者に対して「〇〇のような葬儀をしてほしい」とお願いするに過ぎません。法的な拘束力がないため、家族がその希望通りに実行する義務はありません。

 

確実な執行には「死後事務委任契約」

死後事務委任契約は、生前に委任者と受任者(第三者や専門家)との間で締結する法的な契約です。

これにより、受任者には以下の事務を遂行する義務と権限が発生します。

  • 葬儀・埋葬に関する事務: 葬儀の形式、業者、費用の支払い、納骨や散骨の手配

  • 医療費の精算、賃貸借契約の解除

  • 行政への届出(死亡届の提出など)

家族に負担をかけたくない方や、ご自身の希望を確実に実行してほしい方は、付言事項だけでなく、この死後事務委任契約の検討をおすすめします。

 

4. まとめ:想いを「遺す」ことから、家族を「守る」へ

付言事項は法的な義務ではないため、自由な言葉で書くことができます。しかし、

遺言の効力に影響を与えないよう、法定の遺言事項とは明確に区別して記載すること。

特定の相続人への否定的な感情を露骨に書くことは、かえって感情的な対立を生む可能性があるため避けるべきことが重要です。

付言事項は、単なるメッセージではなく、残された家族が遺言者の想いを理解し、円満に助け合って生きていくための「道しるべ」です。

遺言書作成の際は、行政書士などの専門家にご相談いただき、財産のことだけでなく、家族への「愛のメッセージ」をしっかりと遺すことをお勧めします。当事務所でも遺言書作成サポートを行っておりますので、お気軽にご相談ください。

「遺言書はまだ早い」「うちは財産がないから関係ない」…そう思っていませんか?

しかし、人生の終盤を考える「終活」は、もはや特別なものではありません。そして、遺言書はあなたの想いを叶え、大切なご家族を守るための「安心のバトン」です。

今回は、日本財団の「遺言・遺贈に関する意識・実態把握調査」(2025年3月31日)の最新データから、皆さんが遺言書を作成する「リアルなきっかけ」と、作成しない理由に潜む「誤解」について解説します。

 

遺言書を作りたい動機トップ3!皆さんの本音は?

調査によると、遺言書を作りたいと思うきっかけは、やはりご自身の将来への不安と、家族への配慮が大きな割合を占めています。

順位 動機 割合
1位 自身の高齢化 55.1%
2位 相続トラブルを避けるため 32.2%
3位 配偶者や子の為に 27.2%
4位 自身の病気 15.2%

「自身の高齢化」をきっかけに、残される家族が困らないように「相続トラブルを避けるため」に行動に移す方が非常に多いことが分かります。これは、遺言書が単なる財産分けの書類ではなく、「家族への最後の思いやり」として認識されていることの表れでしょう。

ちなみに、財産を残したい相手は子供(52.8%)、次いで配偶者(36.5%)が上位でした。

 

 遺言書で最も重視したいことは「自分の意思」

遺言書を作成する上で、皆さんが最も重視するポイントは何でしょうか?

順位 重視点 割合
1位 できる限り自分のしたいように決めること 42.4%
2位 相続内容を平等にすること 37.2%
3位 生前の関わり度合いの応じて相続の内容を検討すること 16.2%

1位は「自分のしたいように決めること」で、「公平に分ける」という考えを上回っています。ご自身の人生で築いた財産だからこそ、最後はご自身の意思を最大限に反映させたいという強い思いがうかがえます。

そして、実際に遺言書に書いた内容は「誰に何を相続させるか(62.7%)」が最多ですが、「家族やお世話になった方へのメッセージ(23.9%)」も多く、やはり単なる法的書類以上の意味を持っていることが確認できます。

 

 遺言書を書いて「得られる安心感」

遺言書を作成された方が「書いてよかった」と感じる点は、非常に示唆に富んでいます。

  • 1位:気持ちの整理になった(44.8%)

  • 2位:相続トラブルの心配が減った(31.3%)

  • 2位:死後の不安が減った(31.3%)

法的な効果はもちろんですが、ご自身の人生を振り返り、意思を明確にすることで得られる「精神的な安心感」こそが、遺言書作成の最大のメリットと言えるかもしれません。

 

 作成しない理由に潜む「2大誤解」を行政書士が解消します

遺言書に興味はあるものの、作成していない方には共通の理由があります。

順位 遺言書を作成しない理由 割合
1位 遺言を書くほどの財産を持っていないから 27.8%
1位 遺言書を作るのは、手間がかかりそうだから 27.8%

この2つは長年のトップ争いですが、行政書士から見ると、これらは「誤解」に基づくものが多いです。

  1. 「財産がないから」という誤解

    • 不動産(持ち家など)を持っている場合、預貯金が少なくても、不動産の分割で揉めるケースは非常に多いです。

    • 相続財産の配分に関するトラブルを防ぐためには、「財産の多寡」ではなく、「財産の分け方」を明確にすることが重要です。

  2. 「手間がかかりそう」という誤解

    • 「遺言書の書き方がわからない(18.3%)」という不安の裏返しでもあります。

    • 行政書士などの専門家に相談すれば、財産調査から遺言書の文案作成まで、法的に有効な遺言書をスムーズに作成することが可能です。

トラブルを防ぐために必要なこととして、「相続対象となる財産の内容を普段から整理しておくこと(64.3%)」や「遺言書を書くこと(55.4%)」が上位に挙がっていることからも、事前の準備が重要だと皆さんも感じています。

当事務所では、この「手間がかかりそう」という不安を解消し、お客様の想いを反映した遺言書作成をサポートしています。「どこに相談したらよいかわからない」という方も、ぜひ一度ご相談ください。

あなたの「したい」を叶え、ご家族に「安心」を届けるために、遺言書作成をサポートいたします。

終活で「やりたいこと」は多岐にわたりますが、アンケート調査や専門家の意見を総合すると、多くの人が「家族の負担を減らす」ことと「自分の意志を明確にする」ことを重要視していることがわかります。

以下に、「終活で最初に取り組みたいこと」「重要度が高いこと」としてよく挙げられる項目をランキング形式でご紹介します。

 

終活でやりたいことランキング(重要度・着手意向順)

 

第1位:身辺整理(モノの整理・断捨離)

終活を始めるにあたって、最も多くの人が「最初に取り組みたい」と回答するのが、洋服や家具、日用品などの私物の整理です。

 ・理由:

  • 残された家族が遺品整理で困るのを避けたい。

  • 物の量が多いため、体力があるうちに早めに着手したい。

  • 身の回りを整理することで、気持ちの整理もつけやすい。

 

第2位:エンディングノートの作成

自分の考えや希望をまとめる「エンディングノート」の作成は、終活の「要(かなめ)」とも言えます。

  • 理由:

  • 自分の財産、医療、介護、葬儀、お墓に関する意思を明確に家族へ伝えられる。

  • 家族が手続きで困らないよう、連絡先や重要事項を一冊にまとめられる。

  • 遺言書と違い、法的効力はないものの、気軽に始められ、何度も書き直しができる。

 

第3位:財産整理と相続対策(遺言書含む)

家族間の金銭的なトラブルを防ぐため、また手続きの負担を減らすために、財産を整理することは非常に重要です。

  • 具体的な内容:

    • 預貯金、不動産、保険、株式などの財産一覧表を作成する。

    • デジタルデータ(ネット銀行、ネット証券、暗号資産など)のパスワードや契約情報を整理する。

    • 必要に応じて遺言書を作成し、遺産の分け方を明確にしておく。

 

第4位:医療・介護に関する意思決定

自分が病気になったり、介護が必要になったりした場合に、どのような処置を望むかを事前に決めておくことです。

  • 具体的な内容:

 ・ 延命治療の希望の有無(尊厳死の意思表示)。

  • 認知症になった場合の介護施設や療養の希望。

  • これらの意思をエンディングノート事前指示書などに残し、家族と共有しておく。

 

第5位:葬儀やお墓の準備

自分の「最期」に関する希望を決めておくことで、残された家族が迷うことなく準備を進められます。

  • 具体的な内容:

    • 葬儀の形式(家族葬、一般葬など)や規模、呼んでほしい人。

    • お墓の希望(先祖代々の墓、樹木葬、散骨など)を決めておく。

    • 葬儀社や費用について事前に調べておく。

 

終活をスムーズに進めるコツ

終活は、「これをしなければならない」という決まった順番はありません。ご自身が「最も気になっていること」や「体力的に無理なくできること」から始めるのがおすすめです。

  1. 「エンディングノートの作成」から始める

  2. 「身の回りの断捨離」から始める

  3. 「遺言書の作成」など、専門家への相談が必要なことから始める

ご自身に合ったペースで、少しずつ進めてみてくださいね。

お気軽にご相談ください。

お悩みのある方、どうぞお気軽にお越しください。

インターネットで多くの情報が得られる時代だからこそ、断片的な情報の誤解や、「誰かに話を聞いてほしい」という感情的なニーズが置き去りにされがちです。検索だけでは、あなたの心のモヤモヤは晴れません。

そんな時、最も敷居が低い相談相手が「街の法律家」である私たち行政書士です。

 

行政書士が選ばれる3つの理由

  1. 圧倒的な敷居の低さ: 「まだ手続きじゃないけど…」という段階から、気兼ねなくご相談いただけます。

  2. 厳格な守秘義務: ご相談内容は厳重に守られます。特に相続など、「ちょっと言いにくい」デリケートなお悩みも、安心してお話しください。

  3. 傾聴と専門性: 市民の皆様の「聞いてほしい」という願いに応えるのが行政書士の役目です。私自身、ケアマネジャーの試験にも合格しており、高齢者のお悩みに関して特に深くサポートできると自負しております。


無料相談会のご案内

まずは話を聞いてほしい、という方のために、無料相談会を実施しています。

  • 個別相談

    • 場所: 高岡市立能町公民館 研修室2

    • 時間: 9:30~12:00

  • 行政書士会による定期相談

    • 場所: 高岡市役所

    • ※開催日程の詳細は高岡市行政書士会にご確認ください。

「こんなこと聞いていいのかな」と迷う前に、ぜひ一度お気軽にお越しください。

遺品整理の物理的・精神的な重荷「何から手をつけていいか分からない」

1. 遠方の実家と、親の「手伝い拒否」に悩むあなたへ

「親孝行だから」「将来のため」と頭では分かっていても、実家の遺品整理生前整理はなかなか進まないものです。特に、遠方に住んでいる場合(私の実家は九州です)、頻繁に帰省して手伝うのは難しいでしょう。

そして、「手伝おうか?」と言っても嫌がる親の気持ち。まだ元気だというプライドや、自分のテリトリーに踏み込まれたくないという心理も働いているかもしれません。そうしたご家庭は決して少なくありません。

本記事では、将来的に後悔しないために、遠方の実家の遺品整理をスムーズに進める心構え、具体的な手順、そして相続を意識した実務情報まで、分かりやすく徹底解説します。

 

2. 遺品整理の「時期」と「心構え」:焦らず、心を優先する

 

2-1. いつから始めるべきか?

遺品整理を始める時期に「正解」はありませんが、一つの目安として「四十九日法要後」が挙げられます。

  • 四十九日まで: 葬儀や各種手続き(死亡届、年金・保険の手続き)で心身ともに疲弊している時期です。焦らず、重要書類の確認に留め、遺品の本格的な整理は法要を終えてからにしましょう。

  • 相続との関連: 相続には「相続放棄」の期限(死亡を知ってから3ヶ月以内)や、「相続税の申告」期限(死亡を知ってから10ヶ月以内)など、重要な期限があります。これに間に合うよう、実家にある貴重品や財産に関わる書類の探索は、最優先で進める必要があります。

 

2-2. 故人を偲ぶ「心構え」と「供養」の側面

遺品整理は単なる「モノの処分」ではありません。故人を偲び、思い出と向き合う「供養」の側面も持っています。

  • 無理をしない: 精神的にも肉体的にも負担の大きい作業です。手が止まってもいい、泣いてもいいと自分を許し、休憩を挟みながら進めましょう。

  • 誰かに頼る勇気: 物理的に遠方である、量が多すぎる、感情的になりすぎる場合は、無理せずプロの業者や親族に頼ることも、故人への最良の供養の一つです。

 

3. 遺品整理の「手順」と「分類」:何から手を付けるか

 

「何から手を付けていいか分からない」という悩みは、具体的な手順で解消できます。

 

ステップ1:最優先!貴重品・重要書類の探索

まずは、タンスの引き出しの奥や金庫などから、以下の「貴重品・重要書類」を最優先で探し、一箇所にまとめましょう。

貴重品・重要書類 目的
通帳・証書・実印 相続手続き、預金解約
生命保険証書 保険金請求手続き
権利書・登記簿謄本 不動産の名義変更
年金手帳・領収書 未支給年金・医療費控除
ID・パスワード デジタル遺品の整理(後述)

すべての遺品を手に取る前に、以下の分類用の箱(段ボール)を用意し、迷わず仕分けられるようにします。

  1. 残す・形見: 家族や親族で受け継ぐもの、特に大切な思い出の品

  2. 売る・譲る: リサイクルショップやフリマアプリ、親族・友人に譲れるもの。

  3. 捨てる: 明らかに不要なゴミ、劣化が激しいもの。

  4. 供養する: 仏壇、神棚、故人が愛用した人形など、お焚き上げが必要なもの。

 

ステップ3:場所別(小さなスペース)から着手

リビング全体や押入れ全体ではなく、「引き出し一つ」「棚の1段」といった小さな範囲から手を付け、達成感を得ながら進めましょう。

 

4. 知っておきたい「実務的な情報」

 

4-1. 処分方法と個人情報の注意点

  • 大型ゴミ・リサイクル法: 大型ゴミは自治体への事前申請が必要です。また、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンは家電リサイクル法の対象のため、特別な方法で処分しなければなりません。

  • 個人情報の扱い: 郵便物や請求書などの書類は、シュレッダーにかけるなど個人情報が漏れないよう徹底的に処理しましょう。

 

4-2. デジタル遺品の取り扱い

スマートフォンやパソコンに残されたデジタル遺品は、物理的な遺品整理とは別に迅速な対応が必要です。

デジタル遺品 対処法
サブスクリプション 有料サービスは死後も課金が継続します。サービスの停止・解約手続きを急ぎましょう。
SNSアカウント 故人のアカウントを「追悼アカウント」に切り替えるか、削除申請を行います。
写真・データ ログイン情報が分かれば、写真やメールなどのデータバックアップを優先します。

 

4-3. 業者に依頼する場合:安心できる選び方と注意点

遠方で手が回らない、または量が多すぎる場合は、業者への依頼は有効な解決策です。

【業者選びのポイント】

  1. 見積もり: 必ず複数社(3社程度)から見積もりを取りましょう。「一式」ではなく、作業費、処分費、車両費などの内訳が明確かを確認します。

  2. 許認可・資格: 遺品整理士の資格保有者がいるか。また、一般廃棄物収集運搬業の許可を持っているかを確認しましょう。無許可業者は不法投棄のリスクがあります。

  3. 実績: ホームページなどで作業実績や顧客の評判を確認します。

【悪徳業者に引っかからないための注意点】

  • 極端に安すぎる料金: 処分費用を削っている可能性があり、不法投棄につながるリスクがあります。

  • 契約は必ず書面で: 作業内容、料金、追加料金の有無など、口頭ではなく書面(契約書)で確認し、残しましょう。

5. 「生前整理の重要性」

遺品整理を経験した人は皆、「もっと早く生前整理をしておけばよかった」と感じます。実家が遠方で、親御さんの協力を得るのが難しい場合でも、焦らず「小さな一歩」から働きかけてみてください。

  • 親の気持ちを尊重: 整理を嫌がる親には、「整理」ではなく「思い出話を聞かせて」とアプローチを変えてみましょう。話を聞く中で、大切なものを一緒に確認するきっかけが生まれます。

  • 最低限の確認: 「万が一に備えて、この書類だけはどこにあるか教えてほしい」と重要書類の場所だけでも把握しておくことが、将来のあなたの負担を大きく減らすことにつながります。実は私もこれはやりました。

遺品整理は、故人への感謝を込めて行う最後の共同作業です。焦らず、無理せず、故人とあなた自身の心を大切にしながら、一歩ずつ進めていきましょう。

遺品整理等でお悩みの方、お気軽にご相談ください。

近年、「おひとりさま」の方や、親族との関係が疎遠な方が増える中、自分の最期を迎えた後のことをどうするか、心配する声も多く聞かれます。

そんな不安を解消し、「残される人に負担をかけたくない」「自分の望む形で送られたい」という願いを実現するための仕組みが、「死後事務委任(しごじむいにん)契約」です。

遺言書と並行して作成する方が増えており、終活の重要な柱として大きく脚光を浴びています。

 

死後事務委任契約とは?

死後事務委任契約とは、ご自身が亡くなった後のさまざまな事務手続きについて、生前のうちに信頼できる第三者(受任者)に任せるための契約です。

通常、人が亡くなると、死亡届の提出や葬儀、病院費用の精算など、多くの手続きが発生します。これらは法律上、相続人が行うのが一般的です。しかし、以下のような理由から、あらかじめ受任者に事務を託しておくことで、大きな安心を得ることができます。

  • おひとりさま(身寄りがない、または親族と疎遠な方)

  • 家族・親族に負担をかけたくないと考えている方

  • 自分の希望通りの葬儀・埋葬を確実に実行してほしい方

 

遺言書だけでは足りない?死後事務委任の役割

亡くなった後のことを決めるものとして「遺言書」がありますが、遺言書が主に「財産」の相続に関する法的な効力を持つ(例:誰に何を相続させるか)のに対し、死後事務委任は、「事務」の手続きを委任するものです。

「直葬で送ってほしい」「このお墓に納骨してほしい」といった葬儀や供養の希望は、遺言書に書いても法的な強制力がありません。そのため、ご自身の死後の手続きや希望を確実に実行してもらうには、財産に関する「遺言書」と、事務に関する「死後事務委任契約」セットで準備することが非常に有効です。

 

委任できる主な事務の内容(一例)

死後事務委任契約で依頼できる内容は幅広く、ご自身の希望に応じて細かく定めることができます。

 
分類 委任できる事務の一例
葬儀・供養 死亡届の提出、火葬・埋葬の許可申請、葬儀社との契約・費用の支払い、納骨・永代供養の手配
生活の精算 入院費、介護施設利用料、家賃などの未払い費用の精算、公共料金や携帯電話、クレジットカードなどの解約・精算
行政手続き 年金や健康保険の資格喪失届、免許証等の返納
関係者への連絡 親族・知人への死亡通知、SNSやメールアカウントの削除(デジタル遺品の整理)
住居・遺品 賃貸物件の解約・明け渡し、遺品整理業者の手配と家財道具の処分

【深掘り解説】負担が大きい「遺品整理・住居の明け渡し」

死後事務の中でも、特に時間と労力がかかり、残された方にとって大きな負担となるのが「遺品整理」と「住居の明け渡し」です。

  1. 賃貸物件の明け渡し: 賃貸住宅や入居していた施設の場合、契約を解除し、原状回復したうえで、速やかに明け渡す必要があります。この手続きが遅れると、家賃や利用料が余計にかかり、相続人に経済的な負担がかかります。受任者は、賃貸借契約の解除手続きや、敷金の精算などを代行します。

  2. 遺品整理と家財道具の処分: 亡くなった方の住居にある家財道具や日用品は、すべて整理・処分しなくてはなりません。受任者は、契約に基づき、遺品整理業者を手配し、ご自身があらかじめ定めたルールに従って、形見分けをするもの、処分するものを選別し、家財一式の処分を完了させます。

遺品整理の費用は、住居の規模や物量によって異なりますが、数十万円かかることも少なくありません。この費用の負担も踏まえ、あらかじめ預託金(を準備しておくことが不可欠です。

 

誰に頼む?かかる費用は?

 

契約の相手(受任者)

死後事務の受任者は、身近な家族・親族友人・知人のほか、専門的な手続きが多いことから、行政書士などの士業といった専門家に依頼するのが一般的です。

契約内容は、ご自身の意思を明確に反映させるため、公正証書で作成することが推奨されています。

 

費用について

主な費用は、「契約の作成・報酬」と、「事務の実行に必要な実費の預託金」に分けられます。

  • 契約作成の報酬:専門家への報酬、公正証書作成費用など。

  • 事務の実費の預託金:実際に葬儀費用や施設費用、家財道具の処分費、受任者の交通費などにあてるための資金を、あらかじめ受任者に預けておきます。

預託金は、直葬(火葬のみのシンプルな葬儀)一つをとっても、約70万円前後が目安となるなど、ご希望の内容によって大きく変動します。残金は事務完了後に相続財産として精算されます。

「死後事務委任契約」は、ご自身の「最期まで自分らしく」を叶えるための、現代の終活に欠かせない備えの一つと言えるでしょう。

ご自身の状況や希望に合わせて、信頼できる受任者と契約内容を検討することが、未来の安心につながります。当事務所でも死後事務委任契約のご相談ができます。

どうぞお気軽にお問い合わせください。

相続人が散らばっている、前妻の子、日頃から交流がない等々

1,なぜ協議は難航するのか?

遠方に住まいがある、前妻の子、日頃から疎遠になっている場合は、協議も簡単にまとまりません。

  •  遺産分割協議は、お金の問題だけでなく、感情的な対立長年の確執が表面化しやすく、まとまらないのは特別なことではありません。

  •  協議がまとまらない原因を理解し、その膠着状態を打開するための具体的な手順を解説します。

 

2. 膠着状態に陥る主な3つの原因

  • 原因A:感情的な対立

    • 「公平だと思えない」という不満や、特定の相続人に対する感情的なわだかまりが背景にある。

  • 原因B:財産の評価が難しい

    • 不動産の評価額で意見が割れる、未上場株など評価が難しい財産がある。

  • 原因C:専門知識の不足

    • 法定相続分や特別受益、寄与分などの法律知識が曖昧なため、議論が堂々巡りになる。

 

3. 協議を前に進めるための具体的なステップ

まとまらない場合に、家庭内で無理に解決しようとせず、外部の専門家や公的機関を頼るステップを紹介します。

 

Step 1:情報整理と第三者の意見

  • 財産目録の正確化: まずは誰が見ても納得できる正確な財産目録を作成し、感情論ではなく事実ベースで議論する土台を整える。

  • 士業への相談(初期): 全員の代理人としてではなく、まず自分の状況を整理し、法的視点でのアドバイスをもらう。

 

Step 2:調停(家庭裁判所の活用)

  • 遺産分割調停の申し立て: 家庭裁判所の調停委員という第三者を交えて話し合いを進める方法を紹介する。

  • 調停のメリット: 裁判と違い、あくまで話し合いの場であり、費用や時間を抑えつつ、冷静に解決に導いてくれる。

 

Step 3:審判(裁判所の決定)

  • 審判とは: 調停でも合意に至らなかった場合、裁判官が最終的に「こう分けなさい」と決定を下す手続き。

  • 審判のデメリット: 相続人全員の意向が反映されにくく、法的な判断に基づいて決定されるため、理想の結果にならない可能性があることを伝える。長期に渡る恐れがあります。

4. トラブルを避けるために今できること

  • 遺言書の重要性: 故人が生前に遺言書を作成していれば、多くの場合、このトラブルは避けられます。

  •  現在協議で揉めている人は、感情的にならず「調停」という公的な手段あることを知っていると冷静になる場合があります。また、まだ健康な人は、「自分らしい終活」の一部として、遺言書作成を検討しましょう

当事務所では遺言書のサポートを行っています。些細な聞いてみたいことや相談に乗ってもらいたい等々お気軽にご相談ください。

マイナ保険証の完全移行と救急現場での活用「マイナ救急」

マイナンバーカードの活用範囲は、医療分野を中心に大きく広がっています。特に、従来の健康保険証の廃止と、救急現場での活用は重要なポイントです。

 

マイナ保険証の完全移行スケジュール

国が定める大きな節目は、2025年12月2日です。

これは、従来の紙やプラスチックの「健康保険証」の新規発行が廃止され、原則としてマイナンバーカード(マイナ保険証)を基本とする仕組みへ完全に移行する日です。

  • 経過措置について: 2024年12月1日までに発行された有効な健康保険証は、その有効期限まで、または最長で2025年12月1日までは引き続き使用できます。

命を守るマイナ保険証の活用:マイナ救急

マイナンバーカードは、緊急時の救命率向上にも貢献します。「マイナ救急」とは、救急隊員が傷病者のマイナ保険証(健康保険証として利用登録したマイナンバーカード)を活用し、医療情報を迅速に閲覧する仕組みです。(本格的な全国展開は2025年10月1日からの予定です。)

 

マイナ救急の主な目的と効果

この取り組みは、救急現場において、傷病者の過去の受診歴処方薬などの正確な医療情報を迅速に把握し、より適切で円滑な救急活動を行うことを目的としています。

  1. 傷病者やご家族の負担軽減: 意識がない、体調が優れない、あるいは薬の名前を覚えていないなどの場合でも、正確な医療情報が救急隊に伝わります。

  2. 迅速かつ適切な処置・搬送: 正確な病歴や服薬情報に基づき、現場での適切な応急処置と、傷病者に最適な搬送先病院の選定がスムーズに行えます。

  3. 搬送先病院での治療準備促進: 事前に医療情報が病院に共有されるため、病院側が早期に治療の準備を整えることができます。

 

仕組みのポイント

  • 情報の閲覧方法: 救急隊員は、救急車に備え付けのカードリーダーとタブレット端末を使い、マイナ保険証を読み取ります。

  • 閲覧情報の限定: 閲覧できるのは、氏名、住所などの基本情報と、救急活動に必要な受診歴、薬剤情報などの医療情報に限定されています(税や年金などの情報は閲覧できません)。

  • 同意と本人確認: 原則として傷病者本人またはご家族の同意を得て情報を閲覧します。また、本人確認は顔写真で行うため、暗証番号の入力は原則不要です。

この重要な取り組みの恩恵を受けるため、万が一に備えて健康保険証として利用登録したマイナンバーカード(マイナ保険証)を常に携行することが推奨されています

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2025/09/02
「無料相談会のお知らせ」ページを公開しました。
2025/06/21
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2025/06/20
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