ご両親がお亡くなりになり、ご実家を整理する必要が生じたとき、何から手をつけて良いか分からず途方に暮れてしまう方は少なくありません。
私の実家は九州の大分にあります。余計なものは買わない主義らしく、綺麗に整っています。一方で、夫の実家は令和6年能登半島地震で被災しており、片付けはより複雑で慎重な対応が求められます。頭を抱えています。
「大量の荷物を前にどうすればいいんだろう?」 「どこに貴重品があるか分からない…」 「業者に頼むのは少し不安…」
こうしたお悩みをお持ちの方へ向けて、今回は相続とご実家の整理・遺品整理をスムーズに進めるためのポイントと、注意すべき点をお話しします。
1. 遺品整理の前に、まず「相続」を考える
多くの方が「片付け」から始めようとされますが、その前に絶対にやっておくべきことがあります。それが相続の手続きと財産の確認です。
故人の遺品は、法的には相続人全員の「共有財産」となります。そのため、ご自身の独断で物を処分してしまうと、後々の遺産分割協議でトラブルに発展する可能性があります。
【片付けを始める前に確認すべきこと】
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遺言書の有無の確認: まずは遺言書を探しましょう。遺産分割に関する故人の意思が記されている可能性があります。
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財産に関する重要書類の捜索: 預金通帳、銀行カード、不動産の権利証、株券、保険証券、年金手帳など、相続手続きに不可欠な書類は、片付けを始める前に必ず探して確保してください。
タンスや金庫、引き出しの中など、故人が大切に保管していた場所を、ご家族で協力して探すことをお勧めします。
2. 遺品整理業者との賢い付き合い方
「遺品整理は自分たちだけでは無理だ…」と感じたとき、専門の業者に依頼するのは非常に有効な選択肢です。しかし、一部には残念ながら、不当な高額請求や金品の持ち出しといった悪質な行為を行う業者も存在します。
安心して依頼するために、以下の3つのポイントを押さえて業者を選びましょう。
【1】「遺品整理士」の在籍を確認する 「遺品整理士」は、故人と遺族の気持ちに寄り添い、法律を遵守して適切な作業を行うための民間資格です。この資格を持つ従業員が在籍している業者は、信頼できる目安の一つとなります。
【2】「古物商許可」の有無を確認する 遺品整理業者の中には、故人の品物を買い取るサービスを提供している会社も多くあります。しかし、この「買い取り」には古物商許可が必須です。この許可を持たずに買い取りを行うことは法律違反となります。許可の有無は、その業者が法律を遵守しているかを見極める重要なポイントです。
【3】必ず複数の業者から見積もりを取る 一社だけでなく、複数の業者から相見積もりを取ることで、料金やサービス内容を比較検討することができます。極端に安すぎる、あるいは高すぎる見積もりには注意が必要です。
3. トラブルを避ける一番の秘策は「事前の整理」
それでも、やはりご不安な気持ちが残る方もいらっしゃるでしょう。そうした方にお勧めしたいのが、「ご家族である程度整理してから業者に依頼する」という方法です。
業者に依頼する前に、ご家族で協力して、以下のような作業を事前に済ませておきましょう。
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金品・貴重品・重要書類の回収: まずは現金や通帳など、お金に関わるものを確実に回収してください。
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思い出の品の選別: 写真、手紙、日記など、ご家族にとって大切な品は、事前に持ち出すか、業者に「絶対に処分しないでほしい」と明確に伝えておきましょう。
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大まかな仕分け: 「捨てるもの」「残すもの」を大まかに分類しておくことで、業者の作業量が減り、結果的に費用を抑えることにも繋がります。
このように事前に準備しておくことで、悪意のある業者による盗難リスクを最小限に抑え、また、ご自身にとって本当に大切なものと向き合う時間も確保できます。
最後に
遺品整理は、故人との思い出を整理する大切な時間でもあります。物理的な片付けだけでなく、心の整理も並行して進める必要があります。
ご実家の整理や相続手続きについてご不安な点、お困りの点がございましたら、お一人で抱え込まず、お気軽に当事務所にご相談ください。専門家として、皆様が安心して手続きを進められるよう、全力でサポートさせていただきます。